「人工呼吸器も、車椅子も、冒険を諦める理由にはならない。」。そんなキャッチコピーを掲げたドキュメンタリー映画『Return to My Blue』が、2026年7月24日(金)から全国順次公開されます。人工呼吸器をつけた10歳の少年・壮眞(そうま)くんが、家族や仲間とともに、電気も水もない沖縄の無人島をめざす物語です。きっかけは、「春休み、小学校の連絡帳に『無人島へ冒険に行ってきました』って書いたら、格好良くない?」という一言。多くの大人が「難しい」と感じる挑戦に、家族とチームが動き出します。子どもと、家族と「生きていく」ことを見つめるこの作品を、未来へいこーよ編集部がご紹介します。

映画『Return to My Blue』は2026年7月24日(金)公開 ©スタジオなあに
人工呼吸器の少年が挑む、無人島の冒険

医師やボランティアに支えられ、海をわたって無人島をめざします ©スタジオなあに
『Return to My Blue』は、高度な医療的ケアが必要な車椅子の少年とその母親が、電気も水もない無人島への旅に挑む姿を追った、39分のドキュメンタリーです。
舞台は沖縄。冒険に出るのは、人工呼吸器をつけた10歳の壮眞くんをはじめ、障がいや難病とともに生きる7組の子どもたちとその家族です。飛行機に乗ったことのない子もいるなかで、座席にひとりで座るための工夫を重ね、主治医と何度も相談を重ねながら、一歩ずつ準備が進んでいきます。
支えるのは、医師やボランティアが集まった少人数のチーム。「不可能」に見える条件のなかで、子どもたちは「無人島に冒険に行きたい」という願いを胸に旅立ちます。
最初は止めた主治医が、「それなら一緒に行く」と言った

海辺で壮眞くんに寄り添うお母さん。子どもを支える大人たちの存在が、挑戦を後押しします ©スタジオなあに
印象的なのは、子どもを支える大人たちの姿です。
登場する子どもたちは、人工呼吸器や胃にたまった空気の吸引など、日々とても手のかかる医療的ケアを必要としています。その毎日は想像を超える大変さです。
けれど、最初のオンライン会議やインタビュー時も、どの家庭の保護者も驚くほど明るく、朗らかでした。大変なことは、もちろん大変。それでも、子どもが「やりたい」と思ったこと、笑顔になれることのためなら、全力を尽くします。そのうえで、たくさんのエネルギーを使って、安全な方法を考え、一つずつ形にしていくのです。
ただ命をつなぐのではなく、「生きていく」ために、子どもに何をさせてあげたいか。この映画は、子どもたちの生きる力とともに、それを支える保護者の生きる力にも、そっと光を当てています。
たとえば壮眞くんの主治医は、当初は何かあったときに、命をかけなければいけなくて、しんどい想いをするのが壮眞なので、全力で止めようとしていました。けれど、本人が心から「行きたい」と願っていることを知り、方針を変えます。「それなら、自分も一緒に行く」。緊急時に備えた持ち出し用のセットまで用意して、旅に加わりました。
できない理由を並べるのではなく、どうすれば叶うかを考える。一人では難しいことも、それぞれが得意なことを持ち寄って実現していく。子どもの「やりたい」を真ん中に、大人たちの本気が集まっていきます。
海に入った瞬間の、まぶしい笑顔

海に入った瞬間、壮眞くんの顔いっぱいに笑顔が広がりました ©スタジオなあに
長い道のりの先にたどり着いた無人島で、子どもたちは海に入り、スイカ割りをし、キャンプファイヤーを囲み、特別な食事を味わいます。
スクリーンには、その一つひとつの瞬間に広がる、子どもたちの表情がていねいに収められています。困難の手前で立ち止まるのではなく、その先にある景色まで映し出す。挑戦の先にある喜びを、まっすぐに描いた作品です。
監督は朝ドラ『あんぱん』『エール』、大河ドラマ『どうする家康』の野口雄大さん
監督・プロデューサーを務めたのは、連続テレビ小説(朝ドラ)『あんぱん』『エール』、大河ドラマ『どうする家康』などで監督を務めてきた野口雄大(ゆうた)さん。本作が、自身初のドキュメンタリー作品です。
野口監督は、この作品についてこう語っています。
旅人で作家の高橋歩さんの「障がいを抱えた子どもたちと無人島に行くツアーの映像、撮ってよ」という一言から、すべてが始まりました。(中略)彼らと時間をともにする中で、自分が無意識に「障がい者」「健常者」という枠で人を見ていたことに気づきます。そして、ただ一人の人間として、目の前の命に向き合えばいいのだと、ようやく理解しました。
タイトルに込めた「Blue」は、誰もが心の奥に持っている原点のようなものです。この作品が、それぞれの“自分だけの青”に立ち還るきっかけになれば、監督としてこれ以上の喜びはありません。
国内外の映画祭で高い評価!各界から届く応援の声
今年5月に開催された第24回中之島映画祭でグランプリを受賞。さらに、ミラノ・ゴールド・アワードの短編ドキュメンタリー部門で金賞、ロンドン映画祭の短編ドキュメンタリー部門で銀賞を受けるなど、国内外20以上の映画祭で高く評価されています。
公開に向けて、俳優や音楽家、クリエイターなど、各界からたくさんの応援コメントが寄せられています。
誰かの苦手なことを、誰かが得意なことでカバーする。(中略)そんな、ゆいま〜るな空気を広げてくれる、最高の作品。全面的に、応援します!
(作家/自由人・高橋歩さん)
子どもたちの未来を狭めるのは、病気や障がいではなく、私たち大人の「想像力」なのかもしれない。
(俳優・サヘル・ローズさん)
壮眞くん達の輝く笑顔、「大変です」じゃなく「やりたいです」に集まる仲間。この映画はその大冒険の記念写真でもある。
(クリエイティブディレクター/東京藝術大学教授・箭内道彦さん)
母の胎内から命がけで、この世に生まれてきた全人類が、それぞれの〝青い炎=Blue〟を熱源にして、それぞれの人生を必死に生きているはず。壮眞くんが〝全力で命を生きる姿〟はきっと、ぼくらにその答えを教えてくれる。すでに、ぼくの魂は震えている。
(作家/森の生活者・四角大輔さん)
未来へいこーよ編集部より
オンライン試写で、この映画を拝見しました。約39分の短編ですが、登場人物の言葉や行動に胸を打たれ、自分自身も前を向いて生きていきたい、という気持ちになれる作品でした。
なかでも、「命をつなぐことに関して協力してくれる大人はたくさんいる。でも(子どもにとって)『生きていく』って、そういうことじゃない」という言葉に、心の底からうなずきました。私自身、自閉症で知的障がいのある子どもを育てる保護者のひとりです。命が続けばいい、という話ではなく、その先にある“生きている意味”をどこに見い出せばいいのか。作中に出てくる「人のために新しいチャレンジができるというのは、プラスの力になる」「やればできる。やっちゃおう」といった言葉が、その問いに、やさしく、けれど力強く寄り添ってくれます。
子どもと、家族と「生きていく」ためのヒントが、この39分にはたくさん詰まっています。ぜひ、ご家族で観てほしい一本です(KAZ)。
・タイトル:『Return to My Blue』
・公開:2026年7月24日(金)よりキノシネマ新宿ほか全国順次公開
・上映時間:39分
・監督・プロデューサー:野口雄大
・プロデューサー:中臺孝樹
・ラインプロデューサー:小宮誠
・アソシエイトプロデューサー:松井佳敬、小林由佳
・出演:吉原壮眞、吉原純代、加藤真心、加藤さくら、山本英世
・配給:ギグリーボックス/制作プロダクション:スタジオなあに
・公式サイト:https://return-to-my-blue.studio.site/
・©スタジオなあに
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