読書ノート

本が好きになって読書感想文のコツにもつながる!小学生にピッタリの「読書ノート」【子育て文房具】

ペンをはじめ、ハサミや定規、絵具、カッターなどの文房具は生活していくためになくてはならないものです。とくに「書く」「描く」「切る」などの基礎を学ぶ、未就学児や小学校低学年のタイミングで文房具を楽しく使えるようになれば、一生の宝物になることでしょう。そこで、文房具のさまざまな魅力を知っている「文房具プレゼンター」のふじいなおみさんに、子どもと一緒に楽しく使えて、子どもの成長に役立つ文房具を紹介していただく企画です。今回は読んだ本を気軽に記録して振り返れる「読書ノート(販売:株式会社コクヨ工業滋賀)」です。(株式会社コクヨ工業滋賀から献本いただきました)

読書ノートを作っている会社ってどんなところ?

ふじいなおみさん(以下、ふじい):「読書ノート」の特徴についてお話する前に、この商品を販売している株式会社コクヨ工業滋賀さんがどんな企業なのかをお話したいです。

未来:作り手のことを知ると、商品に込めている想いや価値がわかりやすいですからね。ぜひお聞かせください。

ふじい:コクヨ工業滋賀さんは、キャンパスノートやルーズリーフ、複写式伝票を作る工場がある会社です。この会社は、琵琶湖の環境保全にも力を入れていて、ヨシという植物をつかったノートをはじめとしたエコ文具「ReEDEN(リエデン)」を販売しています。「読書ノート」も環境にやさしいノートということで、中紙に琵琶湖・淀川水系のヨシを使っています。

未来:コクヨさんの公式サイトによると、ヨシ(葦)は水環境や生態系、二酸化炭素の回収に重要な役目を果たしているのですが、「ヨシ葺き屋根」「すだれ」等が使われなくなって、近年数を減らしているそうです。そのヨシを商品に使うことで、ヨシ自体の需要を作るという、環境活動にとても力を入れている会社ですね。

ふじい:環境活動だけでなく、会社自体もユニークなんです。コクヨグループの創業の精神は「商品を通じて世の中の役に立つ」で、コクヨ工業滋賀は会社の「ありたい姿」に「おもしろい会社(商品がおもしろい、仕事がおもしろい、仲間がおもしろい)」を掲げています。さらに会社の行動基準として「買う身になって作りましょう」で、この3つを体現したブランドのひとつが「すぐつく」です。

未来:「すぐつく」とは、どんなブランドなのですか?

ふじい:ブランドのコンセプトは「熱い生産現場のアイデアを冷めないうちにすぐ作る!」です。社員が思いついたアイデアをすぐに作って、お客様に「これどうですか?」と実験的に作ってみたものを提案する仕組みです。第一弾が「夏休みの小学生に最適な3アイテム」として発売されました。そのひとつが「読書ノート」です。

未来:なるほど、おもしろい会社の従業員が、買う人(今回は夏休みの小学生)の身になって考え、ゆくゆくは「世の中に役立つ」ことを目指す、まさに先ほどの3つの言葉を体現していますね。

読書ノート

ふじい:数量限定で作っているので、お試し価格で安くなっているのも魅力です。最近のノートって200円近くするのですが、このノートは165円(税込)です。

未来:これは良心的! 少数生産は高いというイメージでしたが、あえて安くしているわけですか。

ふじい:そうですね。「こういう商品で受け入れられるかなあ」という提案の方向で作っているので、そのおかげで安くなっているのかなと解釈しています。

読書ノートのコンセプトは「知識が増える」「読書を楽しむ」「読む気持ちを高める」

ふじい:この商品は、読書好きの従業員さんが「子どもが本から得た知識、心に感じたことを記録できるように導くノートがあればいいな」と思い、企画したそうです。そのポイントは3点。「知識が増えるノート」「本を読むことを楽しむノート」「読む気持ちを高めるノート」です。

読書ノート

ふじい:見開き60ページで、全部で30冊分記録できます。左側のページではまず「何冊目の本」か、「本を読んだ日」「本のタイトル」「作者と絵を描いた人」「心に残ったところと好きなセリフ」「そう思った理由」があって、そのほかに「お気に入りメーター」と「読んだ後の気持ち」をマークで記入するようになっています。

未来:これなら小学生でも簡単に記録できそうですね。

ふじい:試作品では「何か感想や気持ちを書いてください」という項目があったそうなのですが、試作品を実際の小学生に使ってみてもらったとき、そこが子どもにとって「作業的」に感じたり、「面倒くさい」という印象を持たれてしまったそうなんです。

未来:わかります。小学生時代に読書感想文で難しかったのも感想や登場人物の気持ちを文章で書くことでした。

ふじい:そのほかには「上手く感情を言葉にできなかった」という子もいたそうです。そこで「お気に入りメーター」という分度器のような形をしたマークを設けました。当てはまる度数に丸を書いて線を引くだけで簡単に書けるようになっています。

読書ノート

ふじい:読んだあとの気持ちも、アイコンの中から選んで、もし該当しなければ「自分で顔を描いてみましょう」という感じです。とにかく簡単に、気持ちが楽にかける作りがポイントです。心に残ったところを書く欄もかわいらしくなっています。

未来:ひとことだけ書けばいいので、ハードルは低くなっていますね。コンセプトの「本を読むことを楽しむノート」が、このあたりの工夫に見えるところですね。

ふじい:見開きの右側はドット方眼になっているので、文章を書いたり、絵を描いたりとフリーに使えます。最後に「次に読みたい本」という項目があります。続きものの本があれば、そのパート2や上巻下巻などを書くのかなと感じてます。

読書ノート

右ページはフリーの欄。読みながら登場人物の名前や特徴をまとめたり、印象的だったシーンの絵を描くなど、いろいろな使い方ができます

未来:読んだ本がよかったら同じ作者の違う本を選んでみたり、ファンタジー小説やエッセイ、ミステリーなど同じジャンルの作品を選ぶのもアリです。コンセプトの「本を読むことを楽しむノート」に沿った部分でもありますし、次に読みたい本を見つけるところでページを締めくくるのは「読む気持ちを高めるノート」にもなっていますね。

大人にもぜひ使って欲しい一冊

ふじい:このノート、子どもが使うのはもちろん、大人にもおすすめしたいです。例えば図書館で本を借りた履歴を、図書館側で残せないようになってる話はご存じですか?

未来:そうなんですか?

ふじい:図書館で借りた履歴は基本的には残せないんです。「その人がどんな本を読んだか?」というのは「思想の自由」につながってくるので、基本的に「図書館は利用者の秘密を守る(日本図書館協会の『図書館の自由に関する宣言 1979年改訂』より)」ようにと言われているんです。

未来:うちの市の図書館は、会員証に紐づいてオンラインで予約できますし、履歴や延長した記録などが分かるようになっています。そういう意味では、昔あったような図書カードのようなものは今はないんですね。

ふじい:何年か前に調べたときに、最近記録を残す市町村が出てきたという記事があったんです。去年の6月にも、どちらがいいのか議論が起こっている記事が出ています。

未来:確かに、誰がいつどんな本を読んでいるかは立派な個人情報です。

ふじい:個人の考えていることや、知られたくない部分、知られちゃいけない部分に直に接しているセンシティブな情報で、デリケートな問題なのです。それを踏まえて、履歴が残らないのであれば「自分でつけるしかない」と。このノートだと大人でも簡単に書けると思うんです。

未来:読書感想文みたいにしようと思うとハードルが高くなってしまいますが、読書ノートなら気楽に書けます。

ふじい:例えば、このノートをお子さんのために借りた絵本の履歴とかにすると、かなり使いやすいと思うんです。お気に入りメーターもお子さんがどれぐらい楽しそうに聞いてたかや「読んだあとにすごく笑っていた」というのもマークでつけられます。「好きなセリフ」や「心にのこったところ」は、どういう場面に反応したか、どのページを見せたらすごく笑ったなどを書き残せるといいですね。小学生くらいのお子さんでも、最初はタイトル・作者などは大人が書いてもいいかなと思っていて、お子さんは気持ちとメーターを書くだけでもいいかなと思います。

未来:「読書ノート」1冊で30冊まで記録できるというのも、ちょうどいい量ですよね。本をすごく読める子なら一日1冊で1カ月分。そこそこ読める子でも月10冊など、目標を立てて読みやすいですし、1冊ぶん書き終わったら達成感もすごそうです。

ふじい:全部読み終わったら、表紙の裏に「お気に入りベスト3」という欄があるので、どの本がよかったかとかを記録できたりします。

読書ノート

未来:これはいい遊び心! この欄があることで、30冊終わった時点であらためて読んだ本を振り返りますし、その内容も思い出すのがいいですね。まさにコンセプトにある「知識が増えるノート」です。

ふじい:すごろくのようにスタートした日から、1冊読み終わったら色を塗っていく仕組みも達成感も得られるし、すごく考えられてるなと思います。この「読書ノート」を使っていくなかで、私が一番大事だと思うのは「読んだ」ということを残すことです。「前に読んだあの本はなんだっけ?」というのをさかのぼれますし、「こんな本を読んだことあったんだ」とあとで知るのも財産になるのかなと思っています。こういう手軽に残せるものからスタートすると「子どもの記録を残す」というのもやりやすいのでおすすめです!

「読書ノート」を通して自分の心と向き合う機会を作れる

自分自身の経験を振り返ると、小学生低学年の読書感想文は大抵あらすじを書いてちょっと感想書いておしまいというのが多かった覚えがあります。「読書ノート」には「好きなセリフ」や「心に残ったところ」のスペースがあるので、この2つを意識しながら読み進めていくと「あっ、このセリフいいな!」「この言葉は何か引っかかったな」というのに気づきやすくなります。すると「なぜそのセリフがいいと思ったのか?」「どうして心に残ったのか?」を考えるだけで、読書感想文の軸ができあがります。「読書ノート」で本を読んでいると、自然と読書感想文が上手になっていく仕組みがあるわけです。

読書感想文でなくても好きなセリフや気になったシーンを自分で振り返ると「なぜそう思ったのか?」という自問自答が自然にできて、それが自分自身の心と向き合う積み重ねにつながっていく機会にもなりそうなところが、ふじいさんのお話を聞いていていいなあと感じたところです。

自分が同じ本を読み返したとき、年齢や境遇が違うと別の見え方や感じ方をすることがあります。この場合も読んだ時期を記録してあると、過去の自分と対話するきっかけになっていいですね。僕自身、昔読んだ本を買ったり図書館で借りてきてしまうことが何度かあり、その本を読むと「読んだはずなのに、細かいところをすっかり忘れている」ので(笑)、「読書ノート」で記録を取って好きなセリフなどの違いを見比べてたらおもしろそう。このように、子どもと一緒に大人もやってみるというのもおすすめの使い方です。(KAZ)

「読書ノート」公式サイト

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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