今回の相談者さんは、小学3年の男の子を持つパパ。子どもが興味を示すことや好きなことがわからず、興味関心の広げ方もわからないという相談内容です。このお悩みについて、専門家の先生に答えて頂きました。
このお悩みにアドバイスをくれたのは…
瀧 靖之先生
東北大学加齢医学研究所教授、医師、医学博士。脳の発達や加齢のメカニズムを明らかに。脳科学の知見と自身の子育て経験を活かして、メディア出演など幅広く活動中。
Q:何かに興味を持ってもらうには…?
小学3年生の男の子の父親です。子どもが何をやるにもやる気がなく、毎日をダラダラと過ごしているのが心配です。夢中になっているものがあまりなく、何に興味があるのか、何が好きなのかよくわかりません。テレビのアニメやタブレットで動画をみたりしている時間が長く、本はあまり読みません。学校にいくのは好きで、友だちも多くいるようです。その分、友だちが持っているゲームや流行しているもの、「鬼滅の刃」のグッズなどを買ってほしいとよく言ってきます。でも、流行りが終わると飽きて見向きもしまったりするので、あまりそういうものは買わないようにしています。流行り物だけでなく、ほかに何か興味を持ってくれたらと思うのですが、どのようにそれを促したらいいでしょうか。
(小学3年男の子のパパ)
A:子どもを動かすよりも親が楽しむ姿を見せる!
子どもが毎日ダラダラ過ごしているのが心配だということですが、小学校低学年~中学年の子どもはだいたいそんなものだと思いますよ(笑)。この年齢で「あれがやりたい」「これが好きだ」というのを持っている子の方が圧倒的に少ないと思います。ですから、そもそも今の状態はそんなに心配するものではなく、意外に普通だと思います。
そのうえで、脳科学の観点から子どもの好奇心についてお話をすると、やはり子どもというのは「模倣」で育つ生き物です。親を見て、さまざまなことに興味を持ったり、考えたり、やってみたりするんですよね。ですから今回の場合で言うと、この父親が自身の趣味を楽しみ、その姿を子どもに見せることが大切なんじゃないかと思います。お父さんでもお母さんでも構いませんが、スポーツでも楽器でも親が自分の好きなことを楽しくやっている姿を見たり、それを一緒にやるということが効果的です。子どもにとって模倣の対象である親が何かを楽しそうにしていれば、子どもは間違いなく興味を持ちます。だから子どもに何かをさせようとするのではなく、まずは親が自分の好きなことを楽しめばいいんです。親が好きなことを親子で一緒にやってみて、子どももそれにハマればそれはそれで素晴らしいですが、そうでなかったとしてもいいんです。親の姿を見ることで、人がなにかにハマって趣味を持つとすごく楽しいんだということがわかる、それだけで素晴らしいことです。
テレビアニメやタブレットで動画を見ていることが多く、本はあまり読まないということですが、お子さんに読書習慣をつけたければ、まずは「一緒に」というのが大切です。寝る前の15分間に家族みんなで本を読むなど、少しのことでいいんです。ほんの少しずつでもそのような時間を共有するといいと思います。子どもは親が楽しそうにやっていることを何でも真似をするという「模倣」の特性をうまく利用して、子どもにやらせるというよりもまずは自分が楽しむ、そして一緒に楽しめばいいと思います。
子どもに何かやらせようと考える親は多いですが、まずは親自身が楽しんでいる姿を見せることが大切なんですね。さらに親子でそれを共有できる時間があれば、親子のコミュニケーションも深められそうですね。子どもが親の真似をするという「模倣」の特性をうまく利用するということもいろいろな子育てに応用できそうです。
東北大学加齢医学研究所教授、医師、医学博士。脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上る。10万部を突破するベストセラーとなった「賢い子に育てる究極のコツ」の他、多数の著書を執筆。脳科学の知見と自身の子育て経験を活かして「こんなカンタンなことで 子どもの可能性はグングン伸びる!」「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える こどもの頭がよくなるルールブック」を出版するなど、メディア出演など幅広く活動中。
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