「友達・兄弟姉妹の真似」が子どもの成長に欠かせないって本当?

2歳〜3歳くらいの幼児が友達を真似(まね)して困るという話をよく聞きますが、じつは「まね」をすることは成長に欠かせないのだとか。では、子どもにとって「まね」とはどんなもので、どうして子どもは「まね」をするのでしょう。新潟大学の有川宏幸先生にお話を伺いました。

「まね」は社会性を身につけるための健全な成長

幼稚園や保育園のお友達と同じ粘土細工を作っていた、同じ絵を描いていた、給食を同じ順番で食べようとするなど、子どもの「お友達の真似」に悩むパパやママたちの話を聞くことがあります。しかし、新潟大学で 心理学を教え、臨床発達心理士でもある有川先生は「周囲の行動を真似るのは成長の過程」だと言い、「まね」が子供の成長において重要なものだとしています。

そもそも真似をする行動は新生児から始まっており、ママの行動を真似する新生児の報告も上がっているそう。また、幼児がフォークをつかんでお皿をたたいて鳴らしているのも、食事をする大人の真似をしているのだとか。

このように、子どもは社会的な振る舞いを周囲の真似をしながら学ぶのだそうです。

「周りの人たちの動作を見て真似ようとするのは、周囲を見ている・関わろうとしているということ。社会性を身につけようとする健全な成長です。」

2歳〜3歳の幼児が兄弟姉妹や友達の真似をするのも、その一環ということなのですね。

「まね」を積み重ねて、個性や独創性が生まれる

それでも、「お友達の『まね』ばかりで個性が育つのかな?」と心配になるママやパパも多いはず。これに対して、「子どもの個性や独創性は、その子ども自身で成り立つものではありません」と有川先生は話します。

むしろ、その子の個性や独創性は周囲の「まね」の積み重ねによって成り立っているのだそうです。

たとえば、隣の子と同じ絵を描いてみようと真似ることや、ごっこ遊びの中でお友達と同じキャラクターを演じること。そんな「一度おなじことをしてみよう」という体験が積み重なって、「自分はこうしてみよう」という発想がわいてくるのだとか。

「『まね』は遊びの進化の段階であって、独創性を阻害するものではありません。」

また、真似る時期が4歳や5歳まで続いたとしても「それがその子の成長の過程」と見守ることが大切だと話します。

「まずは真似てみよう」とする子どもの行動は、パパやママや兄弟姉妹やお友達と関わりながら成長する中で、自然な行為として受け入れることができそうです。

良い「まね」か?悪い「まね」か?どう判断する?

では、良い「まね」と悪い「まね」を親はどう見極めたらいいのでしょうか?
有川先生は、「基本的には『まね』に良い・悪いはない」と前置きした上で、次のように話してくれました。

「『まね』は社会的な振る舞いを身に付けたり、生活環境の中でその子らしい成長を遂げるための基盤となります。だから、周囲に受け入れられる『まね』はOK。受け入れられない『まね』はダメ、ということですね。」

たとえば、お友達の「たたく」という行為を真似したとき。その「まね」は周囲に受け入れられない「まね(悪いまね)」として教えなければなりません。ただ、その「まね」によって、その子が本当は何を真似たかったのかを考えることも大切なのだとか。

「お友達のたたくという行為が周囲の大人をどう反応させたのかを、真似をする子どもは見ています。自分が同じことをしたときに、周囲の大人が同じ反応をするのか。それを確認したくて、悪い『まね』をする場合があります。」

悪い「まね」をする理由には「構われたい」という思いなどもあるのかもしれません。お友達と同じように、周囲の大人は自分と関わってくれるのかを試している場合も考えられそうです。そんな子どもの思いも含めて、子どもの「まね」と周囲との健全な関わり方を導いていくのが大人たちの役割なのですね。

まったく真似をしない子どもも気にかけて

「まったく真似をしない子どものことも、気にかけてほしい」と有川先生は言います。子どもの「まね」が成長に欠かせない過程である、ということは、子どもがまったく「まね」をしない場合は対人関係や発達に困難を抱えているケースも考えられます。

「周囲の理解が必要な場合もあるので、お子さんや周りのお子さんをよく見てあげてくださいね。」

『真似をする』という行為には、成長過程の証や生活環境との関係性が大きく関わっているようです。健全な発育を経ているのかどうかの、ひとつの指標ともなるかもしれませんね。

★この記事のポイント★

  1. 周囲の行動を真似るのは成長の過程
  2. 個性や独創性は周囲の「まね」の積み重ねによって成り立っている
  3. 基本的には『まね』に良い・悪いはない
  4. その子が本当は何を真似たかったのかを考えることも大切
  5. 子どもがまったく「まね」をしない場合は対人関係や発達に困難を抱えているケースも

 

お話を聞いたのは…
有川 宏幸先生
新潟大学教授(教育学部・大学院教育学研究科)。障害児心理学、応用行動分析学、発達障害(特に自閉症)が専門。研究テーマは「応用行動分析学に基づく就学前児童の気になる行動へのアプローチ」など。著書に「発達が気になる乳・幼児のこころ育て、ことば育て-子どもを育む話100選-」(ジアース教育新社)などがある。
ありちゃんねる(公式HP)

ライター紹介
笹谷 優
フリーランスのライター・プランナーとして活動中。フードコーディネータとしても活動しており、「食」との関連から歴史・文化・経済・農業・育児・シニア・健康など、幅広く執筆。約20年間の京都・大阪在住を経て、名古屋に拠点を変えたばかり。

※2016年11月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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