何より大切なのは子育てを楽しむこと!
未来:本山さんは5人のお子さんのパパとのことですが、ご自身の子育てで一番大切にされているのはどんなことですか?
「まずは自分自身が子育てを思いっきり楽しむということです。子どもを育てるというのは本当に大変なことも多いですが、それ以上に子どもと過ごせることは幸せだと感じています。実際に子育てをしていると、大人になって忘れかけていた気持ちを思い出すことが多々あるんです」
未来:忘れかけていた気持ちというのは?
「たとえば子どもが昆虫に興味を持ち、昆虫採集に夢中になっている姿を見て、自分も子どもの頃は昆虫が大好きだったのに大人になってその興味を失っていたことに気付いたり…。子どもと一緒に過ごすうちに『こんなに楽しいんだ!』と、自分も再び興味を持ったり、好奇心が刺激されることがあります。これは子育てしているからこそ経験できることだと思うので、子どもと一緒に自分も成長しながら子育てを楽しみたいと思っています」
未来:5人もお子さんがいらっしゃると、きょうだいの中でも興味の対象や好きなことがバラバラだと思いますが、それぞれに同じ体験や機会を与えるようにされているのでしょうか?
「できるだけ同じ経験をさせてあげたいという気持ちもあるので、共通の体験を用意することもあります。とはいえ、そこから何に興味を持つかは子どもによって違うので、やはり一人ひとりの個性に合った機会を提供するというのは意識するようにしていますね」
「たとえば親子で一緒にカブトムシを幼虫から育てるという体験は、長男もその下の妹たちも共通して行ったのですが、その体験から広がった先はそれぞれ異なります。長男は中学生になった今でも昆虫や生物全般が大好きで、幼少期はいろんな昆虫を捕まえ、それを観察してノートに記録するなどしていました。女の子たちも生き物に関して興味を持ちましたが、長男のように昆虫にのめり込むという反応は見られませんでした」
「結果的に下の子たちが強く関心を示したのはハムスターだったのですが、それならばハムスターを通して何か広げられれば…と思い、ハムスターのマンガなど関連するものを用意したり、ハムスターがキャラクターのオリジナル絵本をつくったりしていました。このようにそれぞれの個性と好奇心に合わせて機会を提供するようにしています」
未来:さまざまな体験や機会を用意して、その中で子ども自身がハマるものを一緒に探す。そして見つかったら、それぞれの興味関心を深めるための機会をさらに用意してあげているんですね。
「子どもがなにかに没頭している姿を見るのは、親にとってもうれしいものです。親子で一緒に楽しむことでさらに広がっていくので、これからも子どもと過ごす時間を大切に子育てを楽しみたいと思います」
未来:最後に、本山さんご自身の今後の目標を教えてください!
「日本を世界で一番子どもを大切にする国にしたいです。深刻な少子化問題により社会がどんどん縮小していく傾向にありますが、それは子どもを本当に大切にすることができれば変えられると思います。社会を一気に変えることは難しいですが、いま目の前にいる子ども一人ひとりに愛情を注ぎ大切にすることはできます。時間をかけて子どもを大切に育てれば、子どもは着実に成長します。それを社会全体でできるようにすることが、日本の成長に繋がると思います」
未来:現在運営されている「子ども第三の居場所」もまさに、一人ひとりの子どもを大切に育てることに繋がっていますよね。
「今の仕事は自分にとって天職だと思っています。僕自身も貧困家庭で育ちましたが、たくさんの人のサポートを受け、希望の大学に進学し自分の夢を叶えることができました。ですからこの事業を通して、今度は僕が社会に恩返しする番だと思っています」
未来:仕事を通してやりがいを感じる瞬間も多そうですね。この仕事をしていてよかったと感じるのはどんなときですか?
「現場を見に行って、日々変化していく子どもたちの様子を目の当たりにしたときはいつも喜びを感じています。なかでもとくに忘れられないのは、全国各地の拠点から子どもを集めて合同で沖縄旅行をしたときのことです。それまで自分が住んでいる地域以外に行ったことがない子どもたちなので、それはそれは特別な体験だったと思いますが、そのときの子どもたちの表情がとても輝いていて…非日常の体験がいかに大切なのか改めて実感しました」
「実際に子どもたちは旅行から数年経った今でもそのときの話をしていたり、旅行で出会った他拠点の友だちとオンラインで交流したりしています。このように子どもたちにとってかけがえのない体験を提供できたと感じられる瞬間は、やはりとてもやりがいを感じます」
未来:現在「子ども第三の居場所」はどのくらい拠点があるのですか?
「現在は20都道府県に39の拠点があります。これを全国500拠点へ拡大し、この活動を社会全体に広げていくことが目下の目標です。そのためには、人材育成や資金確保、企業や国を動かしていくことが必要不可欠です。ですから多くの人にこの活動を知ってもらい、理解を得るために今後も活動を続けていきたいです」
未来:私は喧嘩ばかりしていた子どもが「子ども第三の居場所」での生活を通して、お友だちのことを褒められるようになるというお話を聞いて、子どもを大切に育てることが社会を変えることに繋がるのを実感しました。人間は自分の存在を受け止め、認めてくれる人がいることで初めて、他人のことを認められるようになるんですよね。これは、SNSなど顔が見えないコミュニケーションツールの発達により、共感力の低下が叫ばれる現代の問題にも直結するように感じます。
自己肯定感を育むことを大切に目の前の子どもと向き合うことが、他人を思いやれる大人を増やし、日本社会全体を明るく変えることにも繋がるというこの事業に非常に共感しました。本山さん率いる子どもサポートチームの活動が、今後社会に大きく広がっていくのを私たちも応援していきます。貴重なお話、ありがとうございました。
日本財団子どもサポートチームチームリーダー。東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース卒業、ハーバード教育大学院国際教育政策修士課程修了。小学校から高校まで地方の公立学校に通い、独学だけで東京大学やハーバード大学院に合格する。「学びの革命」をテーマに言論活動を行い、「16倍速勉強法」や「最強の独学術」「好奇心を伸ばす子育て」など著書多数。5児の父親で、これまで育児休業を4回取得。独自の子育て論も展開している。
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