難病などで外出困難の人が働ける!分身ロボットカフェで見つけた「出会いと発見」

予約不要で気軽に利用できるエリアも

窓際やガジュマルの巨木付近にある「CAFE Lounge」は予約不要で利用できるスペースです。店内にはいろいろなタイプのイスがあり、空いていれば車イスに座ってカフェタイムを楽しむこともできます。

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

お店の入口付近には受付を担当する「OriHime-D」がいます。取材時に担当されていたのは大野智裕(おおのっち)さん。以前は飲食業に従事していましたが、数年前に頸髄損傷を患い、今は「首から下が動かせない状態」とのことです。分身ロボットカフェで働くことになり、遠隔地から操作して仕事ができるのはもちろん「受付から外の景色が見えたり、いろいろな人と話せるのがうれしい」と語っていました。

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

入口に向かって左手は、分身ロボットカフェに協賛している企業のPRコーナーや、カフェで提供しているコーヒー、オリジナルグッズを購入できる物販コーナーがあります。エントランスが広く、店内全体がバリアフリーになっているので、車いすやストレッチャーで来店するお客さんにも優しいレイアウトです。取材時にもストレッチャーのお客さんが来店されていました。

分身ロボットカフェDAWN ver.β 店内

缶バッジやメモ帳、シールなどのグッズが販売されている場所にはOriHimeが常駐していて、パイロットとお話できるようになっています。取材時に担当していたのは、重症心不全になって心臓移植待機者の松島尚樹(なおき)さんです。

OriHimeは両手や頭を動かすことができ、写真撮影のときは挨拶をしているかのように片手をあげてくれました。なおきさんが緊張しているときは両手をバタバタさせる動きで表現したり、商品の説明をするときは首を動かして視線を送るなど、OriHimeの動きだけでも多彩なコミュニケーションができます。

このように、予約をしていなくても受付や物品販売コーナーでOriHimeパイロットと触れ合えるのはうれしいところです。

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

訪れた客と働く人の両方に「出会いと発見」があるカフェ

OriHimeを開発した株式会社オリィ研究所の代表取締役所長・吉藤オリィさんは6月21日に行われたオープニングセレモニーで「分身ロボットカフェは、亡き秘書であり親友・番田雄太さんの念願だった」と語っています。頸髄損傷のため4歳から亡くなる28歳まで寝たきりで過ごした番田さんは「寝たきりであっても自分らしく働ける場所を世に示したい」と強く願っていました。彼は「外出ができないことによる一番のデメリットは『出会いと発見がないこと』」と言っていたそうです。

取材した分身ロボットカフェDAWN ver.βでは、OriHimeパイロットとお話をすると「自宅から働けてうれしいです!」「いろんな人とお話できて楽しいです!」という喜びの声をどの方からも聞きました。番田さんが強く願い、吉藤オリィさんと進めてきたこのカフェは、外出困難なOriHimeパイロットに「出会いと発見」をもたらしています。

それだけでなく、訪れた筆者自身にとっても「外出が難しい」方とお話をすること自体が、とても貴重で「出会いと発見」があるものにも感じました。パイロットの中には、世界中で数十人しかかかっていない難病にかかっている方もいます。さまざまな事情で外出ができないパイロットと直にコミュニケーションをとることで、病気について調べるきっかけになったり、外出困難な人たちが日々どういう暮らしをしてどんなことを考えるのかを知ることは、生きていく中での「発見」として大きな価値があるのではないでしょうか

SDGsの観点からも注目!

また、寝たきりであっても接客業ができる分身ロボットカフェ DAWN ver.βは、SDGs(持続的な開発目標)の観点からも「3.すべての人に健康と福祉を」「8.働きがいも経済成長も」にあてはまる事業です。前者の補足文には「あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」とあり、「働きたい気持ちがある人が寝た切りの状態でも働ける」ことは「健康的な生活」に含まれているといえます。後者の補足文には「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する」とあって、補足文を現実として形にした際のひとつの好例といえるでしょう。

子どもを連れて来店するのもおすすめです。予約をせずに来店した場合でも、ロボットが実際にコーヒーを運んでいる様子を見たり、OriHimeパイロットとお話することができます。楽しい時間を過ごすとともに、学びや新たな興味につながる体験ができるカフェです。

ちなみにコーヒーが世界的に広がった17世紀半ばでは「カフェ」は「コーヒーハウス」と呼ばれ、コーヒーやチョコレートを楽しみながら新聞や雑誌などを読んだり、客同士で雑談や情報交換をする社交場のような存在でした。OriHimeパイロットとお話するお客さんの様子を見ていると、かつてのコーヒーハウスの熱気にも似た社交場としてのにぎやかで心地よい雰囲気を感じます

コロナ禍で互いに距離を取って話さなければいけない時代にとって、OriHimeを通した会話は「心に新しい風」をもたらすものでした。記事で興味を持った方は、ぜひ分身ロボットカフェDAWN ver.βで新しい「出会いと発見」に触れてみてください。

分身ロボットカフェDAWN ver.β公式サイト

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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