「保育園留学」や「山村留学」という言葉をご存じでしょうか? 近年、子どもが多様な体験ができるプログラムとして注目を集めています。そこで今回は、「保育園留学」と「山村留学」がどれくらい認知されているのか、保護者がどのように考えているかなどについて、いこーよ総研が実施したアンケート結果をご紹介します!
保育園留学についての認知はどれくらい?
「保育園留学」とは
1~2週間ほどの期間で、こどもが保育園に通いながら家族で好きな地域に滞在し、暮らし体験をすることができるプログラムのことです。(株式会社キッチハイクのサイトから引用)子どもは保育園に通いながら自然と親しみ、保護者はリモートで仕事をするなど多様な過ごし方ができます。
まず、「保育園留学」という言葉を聞いたことがあるかを尋ねました。
制度の内容まで理解しているという人は少数でしたが、「聞いたことがある」と回答した人は30%以上でした。全く知らないという人もまだ多くいるものの、「保育園留学」の認知は低くはないようです。
出典:いこーよ2023年10月ユーザーアンケートより
保育園留学に興味はあるが不安がある人も多い
つぎに保育園留学についてどの程度興味があるか聞きました。
「体験したことがある」「具体的に検討」という人はごくわずかでしたが、「体験してみたい」「もう少し詳しく制度を知りたい」と前向きな興味を示す人は約3割。「特に興味がない」という人は全体で見ると少数派で、保育園留学について関心は予想以上に高いのですね!
その一方で「体験してみたいが状況的に難しい、不安がある」という回答も4割近く見られ、ハードルの高さも感じられます。
出典:いこーよ2023年10月ユーザーアンケートより
体験してみたい理由を聞いたところ、「子どもや家族で自然豊かなところで一時的に暮らしてみたい」が最も多い結果に。子どもの幼少期には「親子一緒」に自然が多いところで暮らしてみたいと考える人が多くいることがわかります。
つぎに「ただ旅行に行くよりもその地域に深く触れる体験ができそう」という理由が続いています。普段の生活とは少し違った体験ができるため、子どもの教育的観点から保育園留学に興味を示す人も見られます。
また、「ワーケーションの一つとして体験してみたい」という理由も多くありました。
出典:いこーよ2023年10月ユーザーアンケートより
保育園留学の不安は「親の仕事」
では、保育園留学のどういったところが難しく、不安と感じているのでしょうか。
特に多く見られたのは、「親の仕事の問題」です。「長期的に休むことができない」「リモートワークができない」といった声がとても多く目立ちました。
【仕事の都合がつかない】
・週に何回かは出勤しないといけないから
・共働きで、リモートワークが難しいので、その期間仕事が休めない。
・仕事が長期間休めない
・夫婦で日程調整が難しい
・リモートワークが出来ない職種の仕事をしているから
・仕事をどうしているのかが気になる、テレワークでないから
・働いているので現実的には難しい
また、一時的な環境の変化への不安を感じる声も見られます。
【環境の変化への不安】
・すでに保育園に子どもが通っているので、急な環境の変化が子供にとって良いことなのか悩む
・合わなかったらどうしよう
・知らない地域にいかせるのが心配
・いつもと違う環境に慣れるのか
・違う環境で体調を崩したりしないか
・子どもが内向的な性格のため、1~2週間では環境に馴染めなそう
・子供が人見知り
・知らない土地での子育て
・子供が仲の良い友達ができても2~4週間ですぐに離れることになり子供の精神的影響が懸念される
他にも、金銭面の問題、兄弟姉妹の問題などもあげられました。
山村留学の認知は?
つぎに、「山村留学」について調査した結果を見てみましょう。
「山村留学」とは
「自然豊かな農山漁村に、小中学生が一年間単位で移り住み、地元小中学校に通いながら、さまざまな体験を積む」活動です。(NPO法人全国山村留学協会のサイトから引用)
保護者と離れて子どもだけ寮生活をしたり、家族で転居したりするなどいろいろなケースがありますが、子どもは地元の小中学校に通いながら様々な体験をします。
「山村留学」を聞いたことがあるか尋ねたところ、制度の内容まで知っている人は少数でしたが、聞いたことがあるという人は3割を超えました。
出典:いこーよ2023年10月ユーザーアンケートより
山村留学に興味がない人は保育園留学よりも多い結果に
では、山村留学への興味についてはどうでしょうか。
「体験したことがある」「検討している」という人はごく少数ですが、「体験してみたい」「もう少し詳しく知りたい」は全体の約4分の1。山村留学も、前向きな興味を示す人は決して少なくないようです。
また、「体験してみたいが状況的には難しい・不安がある」が約3割。現実的に利用するのは難しく不安はあるものの、取り組みに対して好意を持つ人が多く見られます。
一方で、「特に興味はない」という人も4割強でした。山村留学は、1年単位という長期的スパンのため、利用するには家族の生活のスタイルを大きく変える必要があります。現状の生活環境を変えてもいいというくらいの強い意向や必要性がなければ、なかなか山村留学をやってみようと思えないということかもしれません。
出典:いこーよ2023年10月ユーザーアンケートより
「具体的に検討」「体験してみたい」という人にその理由を聞いたところ、「子どもにその地域ならではの様々なことを体験してほしい」「旅行よりもその地域に深く触れる体験ができそうだから」という声が多く寄せられました。「子どもたちには自然豊かな場所で多様な体験をしてほしい」という教育的観点から、山村留学に魅力を感じている人が多くいますね。
山村留学は「親と離れる不安」が大きい
「状況的に難しい、もしくは不安がある」と思うのは、具体的にどういったことなのでしょうか。
最も多く寄せられたのは、「親と離れる不安」でした。
【親と離れる不安】
・せっかくの小学生の時期を一緒に過ごしたい
・親元から離れて生活させる事が色々な面で不安
・子供だけでは心配だが、親も仕事でついて行けない
・今親と離れるのを嫌がるので、状況的に厳しいから
・小学生で家族と離れて住むには抵抗がある為
・まだ判断力も未熟なので子供だけで離れて生活をして事件や事故に巻き込まれてしまったりしないか
・安心できると思えないので
・子供が親と離れて生活したことがなく、子供自身が体験してみたいと思っていないため
また、環境変化への不安も多く見られます。
【現地での環境変化の不安】
・留学先の土地に馴染めなかった場合、一年とはいえ子供にとっては長く精神的にどうなんだろうと思います。早く帰ってきた場合、地元の小学校にすぐ戻れるのかも不安です
・いい面ばかりではないと感じる
・トラブルもあるのかな、と思い少し不安があります
・相手方の他人の子供に対しての扱い方とか気になる
・現在、小学校に通う子供の特性から、生活環境に変化がある事が難しい
・何かあった時の対処・対応等に不安があります。何かあってからでは遅いので、そういったところで気掛かりです
・子どもがちょくちょく転校することに抵抗あり
・馴染めるか不安
そのほか、現在の生活環境が変わることへの心配や、親の仕事の都合、金銭面、期間の問題なども不安点としてあげられました。
現地での体験や生活をより具体的にイメージする準備期間が大事
今回の調査では、保育園留学と山村留学について、認知が広がってきていることがわかりました。また、どちらの取り組みに対しても、前向きな興味を持つ人は多くいました。一方で、現実的な制約や不安を抱える人も多く、課題点もあげられています。体験者に話を聞く機会が増えたり、短い滞在からトライするなど、現地での体験や生活をより具体的にイメージする準備期間が大事となってくるかもしれませんね。
保育園留学や山村留学に興味がある方は、いろいろな地域で実施されているのでぜひ調べてみてくださいね。
■いこーよユーザーアンケートの調査概要
調査方法/インターネットアンケート
調査地域/全国
調査対象/いこーよ及びいこーよアプリを利用したユーザー
調査期間/2023年10月3日~10月19日
サンプル数/343サンプル
調査分析/いこーよ総研
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