【世界の子育て:ハワイ】5歳から義務教育!親が多忙な理由とは?

文化や習慣が違えば、子育ての常識も変わるもの。そこで、世界の子育て事情を国別にシリーズで紹介していきます。海外ではどんな子育てが行われているのか、実際に現地で暮らすママに実情を明かしてもらいます。

今回は、アメリカのハワイ州・ホノルル在住で、2人の子どもを育てる堀内章子さんに子育て事情を聞きました! 年に150万人以上の日本人が訪れる人気都市の一つであるホノルル。多くの芸能人やママたちも、子どもを連れて短期、長期を問わず滞在しています。そんなハワイの子育てについて紹介してもらいます。

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【学校教育】5歳から13年間の義務教育

ハワイの子育て事情を紹介!

アメリカの教育システムは、幼稚園(1年間)プラス小学校5年間、中学3年間、高校4年間と続きます。幼稚園では5歳の誕生日を過ぎた8月から入学となりますが、親御さんの中には「レイトボーン」といって、その年の10月〜12月に5歳になる子、つまり4歳で入学させる場合もあります。

これは親と学校が決めることですが、その理由の一つにプリスクールの授業料の高さも関係しています。ハワイでは共働きも多く、プリスクールの利用も検討しないといけませんが、プリスクールの学費は月に8万〜10万円になるところも多いです。公立に入れば、高校卒業まで授業料は無料なので、早く入れたい家庭もあります。

ただ、物価高のハワイですが、私立学校に通わせる親が多いのもハワイの特徴です。年間2万ドル(220万円)という授業料は、世帯収入とのバランスを考えると厳しいのですが、私立学校に通わせる割合はアメリカの中でも高い州といえます。

5歳から通う「キンダーガーデン」は、日本でいう幼稚園にあたります。小学校の敷地にクラスがあり、フォニックスというアルファベットでいう発音を練習し始めます。また、ハワイは、ほかの州に比べて多民族が多く暮らしていることもあり、公立学校でも第2言語を学ぶ機会があります。

違うことが当たり前で、それを尊敬し合う環境ができあがっています。また、自己主張ができる教育に力を入れていて、小学校時代からみんなの前で発表したり、グループで討論をしたりと、多くの場面で自分の意見を述べることが求められます。

夏休みは5月下旬〜8月上旬まで!

自宅の共同プールにて

ハワイの学校生活は8月から始まり、翌年5月下旬にあるメモリアルデーの祝日前までの期間です。そのあと、5月下旬〜8月上旬までの2カ月半近くの長い夏休みがあります。ただ、夏休みが終わってもハワイの8月はかなり暑いため、「エアコンが入っていない公立学校では、授業に集中できないのでは」「州が予算を作ってエアコンを買うべきではないか」という討論が、ここ数年ニュースで取り上げられています。

中学生までの子どもは、ハワイでのんびり過ごす派と、イギリスやアメリカ本土、日本などへ旅行する派に分かれます。一方で、アメリカの法律で「13歳未満の子供は、家に一人でおいてはいけない」となっているので、日中親が働いている家庭では、サマースクールやキャンプなどに行かせることも多いです。

高校生は、大学での単位取得にも認められるAP (Advanced Placementの略:上級科目)や、通常の教科を取るため忙しくなりますが、サマースクールへの参加が授業単位として認められています。

スポーツ三昧になる子どもとその理由

ハワイのサッカーチームの試合

公立学校での宿題はそれほど多くなく、多くの子どもがサッカーや野球、水泳などのスポーツに力を入れます。その理由の一つとして、「大学入学時にスポーツ奨学金を狙う家庭が多い」ことが挙げられます。

また、1年を通して1つのスポーツに打ち込むのではなく、春から夏はサッカー、秋から冬はバスケや野球という感じで、子どもが小さなうちはさまざまなスポーツをするチャンスがあります。これは、自分に何が向いているのかを試す良い期間でもあります。

【労働環境】物価高であり共働きが多い

ハワイカイにある公立小学校のファンドレイジングのためのイベント

ハワイで現在定められている法定規則としての産休・育休は12週間です。「子どもが生まれてからが大変」ということで、生まれるギリギリまで働いているママもよく見かけます。

その後、3カ月ほどで職場復帰となるため、事前に子どもを見てくれる場所を探さなければなりません。育休中は、国からTDI(Temporary Disability Benefit:一時的休業給付)という名称で、6週間にわたり給与の約6割が支給されますが、生まれた直後のプリスクールの枠数は限られていて、空きも少なく、1,000ドル(約11万円)以上かかるなど、かなり高額料金になるので共働きのパパママは大変です。

それもあって、ハワイでは義理の両親や、一人が数人の幼児を見る育児支援サービスを利用するというケースもあるようです。また、ワイキキなど旅行客を対象としたレストランやホテルなどでは、週末や夜間帯の勤務もあるので、夫婦が昼夜交代で子どもを見ているというケースもあります。

休日の一コマ

一方で、働いているママやパパに対して会社や社会の理解は高いです。授乳を続けたいママたちのために、会社内の冷蔵庫に授乳したミルクを冷やしておくケースもよく見かけます。ただ、育児グッズは日本よりも割高なものが多く、オムツは28枚〜34枚入りで1,500円弱、缶に入っているタイプの粉ミルクは2,600円〜3,300円ほど、離乳食は2,300円ほどかかります。

【医療】医療費に驚き! 保険適用でも高額

アメリカは「生地主義」を採用しているので、アメリカで生まれた子どもは両親の国籍に関係なくアメリカ国籍を取得できます。日本語を話せる医師や看護師もいるので、語学の面では安心できますし、3カ月、6カ月の検診や予防接種はすべて無料で受けられます。

悩ましいところは、保険が効いても値段が高いこと。緊急時の救急車もお金がかかりますし、骨折などした場合はエマージェンシー費、レントゲン費、麻酔と各所から請求書がやってきます。たとえば、骨折のケガなどでエマージェンシーを利用した場合は、700〜800ドル(約8〜9万円)にもなります。もちろん、保険適応でこの金額です。

また、虫歯の有無や年齢に関係なく、年に2回の検診があります。虫歯があった場合は、それを直すのに1本1万円なんてザラです。

【子育て】年中常夏のハワイでは服装も気楽

冬服を買う必要なし!

日本のように四季がめまぐるしく変化するわけではなく、年中常夏のハワイ。冬服を買う必要がありません。成長が著しい乳幼児期にかかる洋服代は、毎年夏服だけでいいため、お金がかからず非常に助かります。

ベビーフードも充実していて、ミルクもパウダーだけなく、水不要の「缶入りミルク」もあって便利です。離乳食はひと瓶丸々取ると少々割高ですが、旅行などに行く時用など、上手に利用するママが多いようです。

また、ママとパパが週末デートや記念日デートなどをすることも普通の光景です。ママ友との話の中でも、ロマンチックなデートをしたなんて話が出てきます。「ママになっても気晴らしやデートは必要!」という考え方が強くあり、そのような予定がある際は、祖父母やシッターさんに子どもを預けます。子育てに対してもおおらかで、子ども好きな人が多いです。

ハロウィーンの一夜

育児やしつけの面では、「子どもを褒めて育てる」という意識が非常に強いです。サッカーなどの練習でも全然上手でなくても、「あなたは上手だったわ」と人目も気にせずに我が子を褒めまくります。

一方で、自立心を強めるため、一人で寝かせる家も多いです。ハワイはアジア系の人種の比率も高いので、一緒に寝るという家庭がほかの州より多いですが、それでも一人で寝る癖をつける家庭が多いのも現状です。

公共のビーチや公園で遊ぶことがストレス発散に

高校生同士でビーチキャンプに出向く

ハワイ島はビーチで囲まれていて、なかには幼児にぴったりの浅瀬のビーチもあります。友人たち数グループで、ゆっくりビーチでお話ししたり、週末になるとパパも参加してグループでBBQを楽しんだりする姿をよく見かけます。

また、「ポットラック」と言って、各自「スパムすび」や、焼きそば、カットフルーツなど持ち寄って、公園やビーチのすぐそばに集まったり、ボール遊びや水遊びをする家族もよく見かけます。数グループで集まってこんな過ごし方をすることが、ママの育児ストレス解決につながっているのかもしれませんね。

以上がハワイの子育て事情です。人気観光地のイメージが強いので、子育ての様子に驚いた人も多いのではないでしょうか。次回はアルゼンチン編をお届けします。

ライター紹介
堀内 章子
ハワイ州、ホノルル在住。19歳と15歳の二児の母。ハワイへは11年前に移り家では日本語と英語で生活中。旅行が好きで、海外、国内を問わず様々な都市を巡っている。
ホリ・コミュニケーション

※2018年7月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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