英会話教室や英語教材、何を基準に選ぶ?

小学校でも英語が必須科目となり、「子供には英語で苦労させたくない」と、小さいうちから英会話教室に通わせたり、英語教材を購入しているご家庭も多いのでは?そこで、2011年までの約15年間、英語教育業界に携わった経験があり、日英バイリンガル教育に取り組むパパでもある川合亮平さんに、英会話教室や教材の選び方、親のサポート方法についてうかがいました。

幼児期なら、英語に触れることを楽しめる教室選びを

子供の英語ブームとあって、ネイティブスピーカーの先生がいることを売りにしていたり、英語でリトミックしたり、と英会話教室も多種多様。どの部分を重視して選べばよいのでしょうか。

1.英語に触れることが楽しいと思える教室

お勉強的な雰囲気の教室、先生と遊びながら英語を使う教室など、教室によってやり方は様々。どのようなタイプの教室を選ぶのがよいのでしょうか。

一番大切なのは、子供が『英語に触れることが楽しい』と思えるかどうかです」と川合さん。

単にお友達とワイイワイして楽しかった、でもかまわないので、子供が教室で心から楽しめているかどうかが大切なのだとか。

「母国語以外の言語を習得するには、日常生活の中で4割以上を別の言語にしないと身につかないと言われています。つまり、週1、2回の英会話教室では英語がペラペラにはなれないんです。では、何を目的に行けばよいのか。それは、英語に対するポジティブな体験をするため、と考えるのがよいでしょう。」

「確かに英会話教室に行けば、簡単な挨拶や質問をしたり返答したり、ということはできるようになるでしょう。でもその程度であれば、中学生になれば1週間で習得できる範囲なんです。スイミングスクールは、通えばある程度は泳げるようになります。しかし週1、2回の英会話教室ではそうはいきません。『学び』という意味では得られるものが少ない。それを重々分かった上で、『英語は楽しい』と思わせてくれる教室を選ぶとよいと思います。」

週1、2回の英会話教室は、子供を英語好きにして、将来、自主的に勉強するようになるための先行投資、と考えるのがよさそうです。

2.先生は外国人でも日本人でもどちらでもOK

先生はネイティブスピーカーがいい、いや、日本語も理解できる日本人の先生がいい、など意見が分かれるところですが、それについてはどうなのでしょうか。

先生は外国人でも日本人でもどちらでもかまわないと思っています。ある説によると、英語を聞いて英語のまま理解するには約700時間英語に触れる(読み、書き、話す、聞く)必要が、そして、非ネイティブとしてある程度支障なく英語をインプット・アウトプットできるようになるには3000時間英語に触れる必要があるとのこと。」

「週1、2回の英会話教室でそれだけの時間を取ることは不可能です。となると発音の良し悪しはそんなに問題ではなくて、むしろ、『子供のできる感』を引き出してくれる先生かどうか、という部分を重視すべきだと思います。」

3.中学受験を考えるなら英検対策のある教室

また、小学生の場合、もしこれから中学受験を考えているなら、英検対策をしてくれる教室を選ぶことも大切なんだとか。

「最近では、中学受験の優遇内容に英検を採用している学校が増えているようです。小学校中学年以上で中学受験を予定しているのであれば、英検対策をしている英会話教室を選ばれるとよいでしょう。」

英語教材は、目的に合わせて選ぶことがポイント

自宅でできる英語教材は種類も値段もさまざま。中には高額な教材もあります。そんな中から何基準に選べばよいのでしょうか。

1.英語に親しむ、読み、書きetc. 目的が明確な教材を選ぶこと

「英語に親しむため、英語を読めるようになるため、英語が書けるようになるため、教材にはそれぞれの目的と強みがあるはず」と川合さん。

一見、すべてをカバーしているように見えても、本当にそれでできるようになるのか、親がしっかり吟味してから選ぶ必要があるのだそう。

「我が家には今、幼い3人の子供がいます。日本の普通の教育を受けていますが、 妻がイギリス人で、家庭では英語を使っています。イギリスでの教育方法と同じように、まず最初にフォニックス(英語においてスペルと発音との間の規則性を明確にし、知らない単語でも正しい読み方ができるようになる方法)を専用教材で学び、その後リーディングに取り組んでいます。フォニックスは日本のお父さんお母さん世代にはなじみがないかもしれませんが、最近では英会話教室でも取り入れているところも多いようです。」

リーディングを学ぶために選んだのは、オックスフォードのレベル別絵本です。同年代のイギリス人の子供と同じレベルでリーディングできるように、と妻がセレクトしました。ちなみに長男は現在はリーディング素材のみ、次男はフォニックスとリーディングの過渡期にあります。」

オックスフォード・リーディング・ツリー

※イギリスの約80%以上の小学校で採用されている「国語」の教科書。 かわいいキャラクター達が登場するユーモアあふれる「オチ」がある短いお話が200話以上あり、すべてネイティブの子供たちが使う自然な英語でつづられています。(公式HPより説明文抜粋)日本でもネット通販などで購入できます。

「オックスフォード・リーディング・ツリー」の詳細はこちら

2.子供が好きな海外アニメや映画も、英語教材として活用できる

特別な英語教材でなくても、子供が好きなアニメや映画を活用する方法もあるのだとか。

「我が家の息子たちは、ディズニーチャンネル、ディズニーXD、カートゥーンネットワークなど、英語の子ども向け番組を見ています。 BBCが運営する6歳以下の幼児向け専門チャンネル『CBeebies』がCS専門チャンネル『キッズステーション』で視聴できるので、こちらもおすすめです。」

「キッズステーション」の詳細はこちら

「ディズニー映画など、お子さんが大好きでストーリーも分かっている、という映画があれば、それを英語で観てみるのもとてもよいと思います。10回、20回、何度でも繰り返し見聞きしているうちに自然と英語のフレーズが聞き取れるようになるのではないでしょうか。」

親が海外文化に親しむ姿を見せることも大切

それでは、子供の英語学習において、親はどのようなサポートをすれば効果的なのでしょうか。それには、子どもが英語に取り組む姿勢を上手に褒めるとともに、親も海外の文化に親しむ姿を見せることが大切だそうです。

1.英語に取り組む姿勢をほめる

「我が家ではバイリンガル教育を行っていますが、一般のご家庭でそこまでは難しい、という方は、英語に取り組むお子さんの姿から何かひとつ特化してほめてあげてください。『アルファベットを丁寧に書いてるね』、『発音がいいね』などなんでもいいので、親が本当によいと思う部分を思いっきりほめる。そうすればそれが英語に対する子供の自信となって、将来、英語を勉強する際に大いに役立つと思います。」

実はこのアドバイス、川合さんご自身のご経験に基づくものなのだそう。

「私は高校まで日本の公立校に通い、英語は大の苦手でした。私が英語の勉強を始めたのは実は20歳になってからなんです。大学を中退し、1日8時間以上英語に触れる、と自分に課して、日本にいながら英会話を身につけました。そのときフックとなったのが、小さいころ、母が言ってくれた『あなたは英語の発音がいい』という言葉。『自分は発音がいいんだ』という思い込みとも言える自信があったからこそ、英語の勉強に打ち込めたんだと思います。」

2.親が海外に親しむ姿を見せる

「言葉は文化。親が海外の文化に興味を持っていなければ、子供が海外に目を向けるのは難しいでしょう。メジャーリーグでもサッカーでも、なんでもよいので親子で一緒に海外の文化に親しむことで、子供は英語に興味を持つようになるのではないでしょうか。」

3.親子で一緒に英語の歌を歌う

歌の良い所は、発音と、英語独特のリズムが自然に身に付くことです。英語の歌を一緒に歌う(練習する)ことは、子供にとっても大人にとっても、発音強化のよい練習になりえます。大人は意味を意識した方が学習効果が上がりますが、子どもは意味が分からなくても全然大丈夫です。一世を風靡した、アナと雪の女王の『Let It Go』など、よいと思いますよ。」

子供が楽しみながら英語に親しむことができる。
将来、英語好きに育ってくれることを期待するならば、英会話教室も英語教材も、そこを基準として選ぶのがよさそうです。

お話を聞いたのは…
川合 亮平さん
メディア・ジャーナリスト。AllAboutイギリスガイド。流暢なイギリス英語を話すのが特徴。英国の観光、文化、エンタメ分野の価値ある情報を独自の視点で発信中。登場メディアは多岐に渡る。家族の夕食を毎晩自分で料理するのが喜び。著書に『つながる英会話 –ネイティブとの会話が楽しく続くテクニック50– 』(アスク)等。プライベートでは英国人の妻と3人の子どもを持つ父親でもある(子どもは現在、ほぼ日英バイリンガル)。
川合さんのブログ「イギリス英語LIFE」

ライター紹介
青柳 直子
ライター暦16年。神戸生まれ・育ち・在住のアラフォー世代。芸能・インタビュー、舞台・コンサートレポをメインに、子育て関連、街取材まで“守備範囲を広く”がモットー。小学1年生の長男、1歳の長女、ヨーゼフ(ハイジの犬)似の夫+猫2匹と、毎日てんやわんやな暮らしぶり。娘が歩けるようになったのを機に、家族キャンプ再デビューを計画中。

※2016年3月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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