3歳までの愛着形成がカギ! 困難に立ち向かう力をつける方法とは?

昔から、人の性格は3歳までに決まるという意味で「三つ子の魂百まで」と言いますよね。脳の発達は、3歳までに8割が決まるという研究データもあるようですが、実際に、3歳までに子どもの性格は決まってしまうのでしょうか?専門家に聞いてみました。

3歳までの愛着関係が性格に影響する

『三つ子の魂百まで』の三つ子とは、いわゆる数え年での年齢です。つまり、ここで言う三つ子とは、2歳0カ月の子どものことだと思います。」

こう話すのは、小児科医で福岡新水巻病院周産期センター長の白川嘉継さん。白川さんは、2歳という年齢が、子どもの成長にとって一つの節目だと話します。

「2歳というのは、ほとんど歯が生えそろう時期。この頃からおなかがすいたら自分で食べ物を口に運び、咀嚼して飲み込めるようになるのです。これは、動物で考えるなら、一人で生きていくための最低限の能力を備えたということと同じです。」

さらに、脳は3歳で8割方の形態ができあがるのだとか。つまり人間は、3歳までに生きていくために必要な機能・能力が備わるということで、逆に言えば、それまでは母親がいなければ生きていけない時期ということです。

「この、一人では生きていけない3歳までの時期に、親との愛着関係を持てるかどうかが、その後の子どもの性格に影響するのは確かです。愛着関係とは『困ったときに助けてくれる』という信頼関係。これは、子どもが将来、困難を乗り越える力を持てるかどうかにも大きく関わってきます。」

子どものヘルプに気づくこと

「困ったときに助けてくれる」とは、具体的にどういったことなのでしょうか。
「寒そうだなと気づいたらあたたかくしてあげる、おなかがすいているのなら満たしてあげるなど、子どものヘルプ(要求)に気づいて助けてあげることです。」

「自分は守られている」と感じることで、子どもは安心して外の世界に飛び込むことができ、「困ったことがあれば助けてくれる」と思うからこそ、難しそうなことにも挑戦していけるのだとか。

ただし、言葉よりも日々のふれ合いの中でそう感じさせてあげることが大切だと白川さんは言います。

「例えば『今日はお母さん、時間があるから遊んであげるね』は愛着とはまた違います。あくまでも、親の都合ではなく子どものヘルプに答えてあげるのが愛着。こうしたヘルプは脳の機能上、女性の方が圧倒的に気づきやすいので、できるだけ気にかけてヘルプに答えてあげてほしいですね。」

一方で、感情の発達のためには色々な表情を「見せる」ことも大切だそう。

「人はマネをしていろんなことを覚えていきます。ですから、お母さんの表情を見せてあげるのも、感情を刺激する上でとても大切。ただし、目が合っていないと赤ちゃんは顔の表情の区別がつかないので、目をちゃんと見た状態で、にっこり笑うなどの表情を見せてあげてくださいね。」

依存症につながるケースも

では、愛着関係を築けなかった場合、こんな性格になりやすいなどの傾向はあるのでしょうか。

大人になって対人関係がうまく取れない症状で悩まれている方は、子どもの頃に親の愛着を受けていない人に見られることがあります。愛着は一種のコミュニケーションですから、こうした症状と関係が深いようです。」

ほかにも、愛着を受けていないことが原因の一つと考えられている症状はいくつもあると言います。

タバコやアルコールなどの依存症をお持ちの方も、幼いときに愛着を受けていないケースが多いですね。安心できる心の居場所がないから、何かに依存して心の居場所を作ろうとするのでしょう。また、拒食症や嘘と盗みを繰り返すのも愛着を受けなかった人に多いと考えられています。」

幼いときにたくさん怒鳴られたり、ひどい言葉を言われたりした場合は、聴覚と密接に関わる、脳の側頭葉という場所が機能障害を起こすケースも。これは、脳の機能の違いから、男の子だけに見られる症状ですが、聞いたり、話したりといったことが難しくなるといいます。

「脳の機能上、記憶が長く残るようになるのは5歳から。それでも、3歳までの環境は、その後の性格や趣向に大きな影響を与えることがわかってきています。動物の本能のようなレベルで刻み込まれるのかもしれませんね。」

親子の愛着関係があれば困難に立ち向かえる!

3歳までの愛着関係が、性格の形成に大きく関わることがわかりました。それでは、しっかりとした愛着関係を持てれば、おおらかで、積極的で、元気な子どもに育つのでしょうか。

「そうした性格に関しては、一概には言えません。一卵性の双子の子どもでも、性格がまったく違うということはよくあります。同じ遺伝子を持ち、同じ環境で育ち、同じように愛着を受けているように見えても違うのですから難しいですよね。」

ただし、0歳児から愛着関係を大切にしてきたのなら、あとはあたたかく子どもの成長を見守ればいいと白川さん。

積極的だったり、人見知りだったりという性格の部分では、遺伝子や脳の仕組みだけでは説明しきれません。でも、しっかりと愛着関係を築けていれば、少なくとも依存症や盗みグセなど、精神上の大きな問題を抱える可能性はぐっと減ります。愛着関係は、何よりも『困難に立ち向かう』という、生きていく上でもっとも必要な力を与えてくれるので、できるだけ子どものヘルプに気づけるよう気遣ってあげてくださいね。」

我が子が「居場所」を見つけるまでの大切な3年間。「困ったときにはいつでもママがいるよ!」と伝わるように、しっかりとフォローしてあげたいですね。

お話を聞いたのは…
白川 嘉継(しらかわ よしつぐ)先生
福岡新水巻病院周産期センター長、みずまき助産院ひだまりの家顧問。小児科医として新生児や未熟児、発達症児の医療に携わりながら、母子を長年支え続ける。5万人以上の新生児を健診、面接した家族は23000世帯を超える。著書「人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる:人生でいちばん大切な3歳までの育て方」
福岡新水巻病院周産期センター

ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

※2016年1月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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