夏はトイレトレーニング(トイトレ)に最適といいますが、いったいなぜなのでしょう? また、実際にトイトレをどのように進めればいいのでしょうか? トイレトレーニングアドバイザー(R)の珠里友子さんにお話を伺いました。
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トイトレが夏に適している理由とは?
夏はおしっこを失敗してパンツや洋服を汚しても洗濯物がすぐに乾くので、たくさんの着替えを用意しなくても大丈夫、というメリットのほかに、気温が高いので「パンツ一丁で過ごせる」という利点もあるそうです。
「家だったらズボンをはかないで過ごせますよね。ワンピースも下にスパッツやタイツをはかなくていいし、子供の脱ぎ着がラクなので、『脱がせている間におもらし』ということが少なくなります」
また、夏は冬よりもおしっこの間隔が空きやすいことや、「トイレが寒くて行きたくない」といったこともないので、子供をトイレに誘いやすいことも、夏に行う人が多い理由のようです。
まずはトイレの使い方を知ることから
基本的にトイレトレーニングの進め方は、子供への「トイレ行く?」という声掛けからのスタートですが、それには準備段階が肝心だと珠里さんは言います。
まずは、親のトイレを見学させて、トイレの使い方、トイレでの手順を教えてあげるのが大切。
「おしっこはトイレでするということと、一連のトイレの流れを理解している子に『今日からトイレでおしっこしてね』って言えば、最初からトイレでできる子もいます。でも、もういい年頃になっていても、お父さんお母さんがトイレでしている姿を見せていなければ、やり方を知らないからできないんですよね」
何事も「百聞は一見に如かず」。まずは、実際に親がトイレでしている姿を見せることで、子供にトイレの使い方や手順を教えてあげましょう。
トイレがどんな場所か理解できたなら、今度はおしっこのタイミングに合わせてトイレに誘ってみましょう。
「おしっこ=トイレ」の意識を養う事が大切
「『今日からトイレでおしっこしましょう』と言って、いきなり布パンツをはかせて声を掛け始めるとおもらしの回数が増えてしまうので、最初は紙おむつのままで、おしっこサインの線がついた時間を記録しておくというところからスタートするのがいいと思います」
「線がついたら新しい紙パンツに替える、そのときに『あ、おしっこ出たね。濡れて気持ち悪いから新しいパンツに替えようね』と言ってあげると、子供も『あ、こういうことなんだ』と学べます。また、おむつ替えをトイレですることで『おしっこ=トイレ』の意識を養ってください」
オムツを替えていたタイミングで声をかけるのではなく、出る前に声掛けするほうが、成功率が上がってトイレを習慣づけやすいそう。失敗が少ないと子供の自信にもなりますよね。
では、紙おむつに線が入ったら記録するというリサーチ作業は、どのくらいの期間続ければいいのでしょうか?
「最初は2~3時間からのスタートで。トイレの間隔が空いてきたら半日、それから1日調べてみるというのはいかがでしょうか。週に2日くらいから始めて、慣れてきたら次の週は3、4日にする。3~4週間ほどでだいたいの統計がとれると思います。お仕事をされているお母さんは週末だけ調べてみるなど、無理なくできる範囲で行うといいと思います」
おしっこのタイミングに合わせて声掛け
子供のおしっこのタイミングがつかめたら、布パンツに履き替えさせて、いよいよ「トイレ行く?」の声掛けスタートです。
「そろそろ子供がおしっこしたい時間だなというときに、『おトイレの時間だから行こう』『お母さんも行くから一緒に行く?』と声掛けして、トイレに連れて行ってあげる。これを繰り返しているうちに、自分から『おしっこしたい』と言えるようになりますし、ゆくゆくはひとりでトイレに行けるようになります」
ここで大切なのは、トイレに行って出なくても、トイレに間に合わなくても、親が怒ったり残念がったりしないこと。
「そんなに緊張することではないんだよ、ということを親がリラックスしながら教えてあげると、子供もリラックスして受け止めるんですね。緊張しながら教えると、子供も構えて聞くので、何事も緊張しながら行うことになってしまいます。緊張すると出るものも出ないですからね。
『おもらししてもしょうがない!』と親の覚悟が決まると、早くトイトレを終了できることもあります」
思うように進まなくても焦らずに
スタートする年齢にもよりますが、2歳半くらいでトイレトレーニングを始めると平均で3?6カ月で終了する子が多いそう。しかし、中には長引くことがあるのも事実。「うちの子はまだおむつがとれない」と悩んでいるお父さんお母さんへ珠里さんからアドバイスが。
「あれもこれも努力した結果、前に進まないのであれば、いったん休憩しましょう! なんでできないんだろう?と考えることを一度止めることですね。お父さんとお母さんができる限りのことをやったのであれば、『トイレの存在をちゃんと教えている。この子は理解している』という自信を持ってほしいです」
「子供も毎日『トイレ行く?』と聞かれ続けることがプレッシャーになることも。しばらく期間を置くと自分から言ってくる子もいますし、1カ月間くらい様子を見て、また『おトイレ行く?』と誘ってあげるといいと思います。親がドンと構えて待つことも大切です」
子供のペースの合わせて進めよう
友達の子供が始めたから、という理由でトイトレを始めるお母さんも多いと思いますが、ほかの子と比べないことも大切なのだそう。
「お父さんお母さんが『そこは個人差なんだ』と肝に銘じることが大事で、その子自身の成長を見てあげることを意識的にやるのがいいと思いますね。まわりと比べてしまうと焦って、怒らなくていいところで怒ったり、落ち込まなくていいところで落ち込んでしまいますからね」
「トイレトレーニングに限らず、子育て全般は『ほかの子と比べない』というのがいちばんのルールだと思っています。兄弟間でもそれは同じことですね」
梅雨があければ、夏はすぐそこ。ここでご紹介した進め方を参考に、慌てずドンと構えて、子供のペースに合わせながら、少しずつトイトレを進めていきたいですね。
お話を聞いたのは…
珠里 友子さん
日本コミュニケーション育児協会(JCCRA)理事として、トイレトレーニングアドバイザーのほか、ベビーマッサージなど、親と子のコミュニケーションに関する活動を行い、各地で講習会やセミナーを開催。「子育てをもっとハッピーに!」をモットーに、働くお母さんたちの応援活動も行っている。中学3年生の男の子、小学6年生の男の子、4年生の双子の男の子、5歳の女の子、5人のママ。トイレトレーニングに関する情報を発信するウェブサイト「親子で楽しむ♪ トイレトレーニング応援ネット」を運営。
ライター紹介
依知川 亜希子
1973年横浜・元町生まれ。映画雑誌のデザイナー、ファッション誌の編集者を経て、フリーランスの編集&ライターに。2012年5月に長男を出産。休日はマイケル・ジャクソンを敬愛する音楽好きな息子(2歳3ヶ月で卒乳)を連れて、公共交通機関を使ってどこまで出かけられるか挑戦中。安心安全な食事、家族旅行、低予算だけど綿素材でかわいい子どもファッション、第2子どうする? について思いをめぐらせる日々。
※こちらは2015年7月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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