子どもを言葉でなく行為で導く
未来「遊ぶ時間の終わりを子どもたちはどのように知るのでしょう?」

鴨狩先生「教室には時計はありません。例えば自由遊びが終わってお片付けの時間になると、お片付けの歌を歌って子どもに時間を伝える先生もいます。私は、遊びに使った道具を集める大きなザルを取り出して教室の真ん中に置きます」
「ザルが出てきたことに気づいた子どもは子どもは遊ぶ時間が終わるんだなと気づいて、それまで遊んでいた棒や布をザルに集めて片づけます。片づけは、イマジネーションの力でさまざまなものに見立てて遊んだおもちゃを、静寂の中にかえしていく時間です。自分たちでいつものきれいな場所に毎日整えることができる。子どもたちが無意識のうちに、また明日新しく作って遊べばよいという体験を毎日することが大切だと思っています」

「お片付けのときにも、年少は紐を片づけるなどとやることを決めています。私はお片付けの最後に場を整える『ほうき仕事』がとても好きなのですが、年長の子どもたちもほうきとちりとりをします。私が喜んでやっているから子どももやりたがります。年少の子どもは年長の子どもがすることをあこがれの目で見ていて、自分も年長になったらやりたいという気持ちになります」
「0~7歳の子どもはアタマではなくカラダに働きかけることが重要なので『きれいに片づけなさい』と言葉で伝えるよりも大人や自分よりも年上の子どもが楽しんでやっている様子を見て、言葉がけによってではなく行為で見せると、子どもが自分の意志で行動をはじめます。考えてみれば、大人も子どもも、つらそうに見えることはそうそうできないものですね」
シュタイナー幼稚園の1年の行事や生活
未来「幼稚園での1年の行事や生活を教えてください」

【季節の行事やお誕生日のお祝い】
・お誕生日のお祝い
・はじまりの日(入園・進級のお祝い)
・夏祭り
・川遊び
・親子遠足
・収穫感謝
・アドベント
・クリスマス
・卒園のお祝い
「南沢シュタイナー子ども園」の行事をチェック
鴨狩先生「年間の予定はあらかじめ遠足の予備日も含めて決まっていますが保護者の方にご協力をいただき、子どもには先の予定を伝えないようにしていただいています。それは楽しい遠足が明日だと分かった時点で子どもは明日が気になって目の前の遊びに集中できなくなってしまうためです。予定は大人がわかっていればよいことです」
「また最近は天候が不順で、延期も多いので子どもをがっかりさせないということもあります。0~7歳の時期の子どもは世界は善として受けとけとめています。子どもたちの周りは善いものでみたされていると、子どもは安心して健やかに成長することができます」
シュタイナー幼稚園の好きなところを、保護者に聞いてみたら?
「南沢シュタイナー」子ども園に3人の子どもを通わせる浅羽美華さんに幼稚園の魅力を聞きました。
未来「シュタイナー幼稚園に3人のお子さんを通わせていると聞きました。シュタイナー教育との出会いや魅力を教えてください」
浅羽さん「シュタイナー教育のことは助産院で出会った本で知り、3歳になったら通わせてみたいなと思いました。魅力は先生方が子どものことを思ってくださっているなと感じる対応や、行事です。手仕事で子どもたちが作るものや園内の季節のしつらえも美しくて大好きですね」
未来「特に印象に残っている行事はありますか?」

浅羽さん「子どもの誕生日の当日に幼稚園でしていただく誕生会ではいつも泣いてしまいますし、毎年日が沈む時間を確認しながら先生が計画してくださる夕方の光の中で行われる夏祭りや、子どもたちが自分で作ったろうそくを灯すアドベントなどの行事も素敵です」
未来「お誕生会はどのように行われますか?」
浅羽さん「お誕生会は普段は保護者は入れない幼稚園の生活を見ることができます。子どもが生まれたときの様子を先生が一人ひとりの特別なお話として伝えてくださいます」
鴨狩先生「一人ひとりの子どもが生まれた日は大切な日です。子どもが生まれたときの自然の様子や、お父さんとお母さんがどんな気持ちでその子の誕生を迎えたかを短い物語にしてお話して、最後は『さっそく、お父さんとお母さんは赤ちゃんのための大切な名前をあれこれ考えました。そしてとうとう決めました』という言葉でしめくくると、待ち構えていた子どもたちが『〇〇お誕生日おめでとう』と、声をそろえて言います。一年に一度、子どもが自分を大切でかげえのない存在としてお祝いされる会にしたいと、夏休みなどをのぞきその子の誕生日当日になるべく行います」
浅羽さん「自分で作って何でも解決しようとする力もこの3年間の幼稚園の生活で自然と身に付きました。この間は、釣りをしたいけれどお父さんの釣り竿は使えないといろいろ悩んで、自分で材料を集めて釣り竿を作っていました。そういう様子を見ていると、シュタイナー幼稚園に入れてよかったなと感じます」

鴨狩先生「シュタイナー教育では、0~7歳を『意志の時代』として、成長の土台だと考えています。子どもの中にあるやりたいことを安心してできる環境を整えることで、子どもが安心して生活し、全身の感覚を磨き、かけがえのない自分を感じられるような行事や関わりをこれからも大切にしたいですね」
のんびりとゆったりと過ぎる時間の裏には、0~7歳の子どもに大切なことは「フォルムのある生活」と「言葉ではなく行為を見せて伝えること」を徹底して大切にする骨太な教育がありました。
情報が多い時代の中で、大切にしたいものを絞って丁寧に育みたいと考える保護者が集まり幼稚園と一緒に子どもを見守っている幼稚園だと感じました。
「学びの最前線」ではいろいろな教育法を紹介しています。それぞれの教育法のエッセンスが読んでくださるあなたの子育てのとらえ方のヒントになれば幸いです。(大下孝枝)
この記事を読んでいる人は「自尊心・自己肯定感」に関するこんな記事も読んでいます
・幼稚園選びの参考に! 知っておきたい幼児教育法&メソッド6選
・【森のようちえん】海を園庭にした海の保育園のカリキュラムが伸ばす力
・【学びの最前線】100年続く最先端アクティブラーニング! シュタイナー教育で伸びる力
・ココロのスキル求められる今、鈴木あきえさんが子育てで大切にしていること【前編】







