自ら学び続ける子どもになる! 社会を生き抜く「非認知能力」の育て方

好奇心がすべての原動力に

本山勝寛 好奇心
未来:本山さんご自身は親不在で経済的にも非常に苦しい生活のなか独学で東京大学に合格、卒業後はハーバード教育大学院国際教育政策修士課程修了という異色のご経歴ですが、どのような幼少期を過ごされていたんでしょう?

「小さな頃から塾に通ったことはありませんし、小学校から高校まですべて公立校の出身です。親から勉強しろと言われた記憶もなく、毎日外で兄弟や友だちと一緒に遊びまわっていました。裕福でなくテレビゲームなどはなかったので、自然の中にあるもので何かおもしろいことはできないか考えて遊んでいましたね

「12歳で母が他界し、高校生からは父親もいない状態で、アルバイトをしながら自分と妹だけで自活するようになりました。当時は、光熱費の請求や明日食べるものにも困るくらい貧乏だったんです」

未来:多感な思春期の子どもにとってすごくハードな環境ですよね。そんな中でも前を向き続けられた強さの要因は何だったんでしょうか?

「おそらくベースになっているのは、母から愛されて育ったという実感です。早くに母親を亡くしましたが、母親からとても愛されていたという記憶はすごくありました。5人兄妹の4番目の子どもとして生まれたので母親を独占できることはほぼなく、いつも兄妹で母を奪い合っていました。夜寝る前に母の頭の上に寝そべって絵本を読んでもらう時間が特別で、とてもうれしかったのを覚えています」

「そして母は私のことをよく褒めてくれました。『がんばり屋さんだね』『集中力があるね』と褒めてくれたり、お手伝いをすると『ありがとう、助かったよ』と伝えてくれたり…無条件に存在そのものを受け止めてくれた記憶が強くあります。何があっても私が自信を持って進んでこられたのは、自分の存在をまるごと受け止め、よく褒めてくれた母のおかげだと思います

未来:本山さんご自身もやはり自己肯定感がすべての土台になっていたんですね。東大を目指すことにしたのはなぜですか?

「高校2年生のときに読んでいた司馬遼太郎の『竜馬がゆく』に影響を受けて、坂本龍馬のように国や時代を変えるリーダーになりたいと思ったんです。それでとりあえず、リーダーをたくさん輩出している東大を目指すことにしました(笑)」

未来:目指そうと決めて1年間の独学で東大に合格してしまうのもなかなかすごいですが、なにが原動力になったんでしょうか?

「やはり好奇心ですね。そもそも私が勉強するようになったきっかけは、友人と行ったキャンプ場で見た満天の星空でした。その美しさに心奪われ『何十億年も前に放たれた星の光がどうして今自分に届いているのだろう』『宇宙はどうやって始まったんだろう』と、次々と疑問が湧いてきたんです。まさに好奇心が爆発する感覚を覚えました

「それから天文学や宇宙物理学に興味を持つようになり、図書館に通ってさまざまな本を読み漁るようになりました。このように好奇心を刺激される経験が、学びの原動力となったのは間違いありません

未来:好奇心の重要性については、著書の中でも多く語られていますよね。

「ハーバードで世界の教育について研究してきて、アメリカと日本の教育現場において圧倒的な差を感じたのが好奇心の違いです。これは国際比較調査などでもはっきりしていることですが、日本は基礎学力は比較的高いのに対し、新しいことに興味を持ったりチャレンジしたりすることへの意欲がとても低いのが特徴です

絶えず変化するこれからの時代を生き抜くためには、常に知識をアップデートし学び続けることが必要不可欠です。そして、その学びの原動力となるのが好奇心なのです。ですから、子どもの好奇心を育むことはとても重要なことだと思います」

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2013年に長女、2015年に長男を出産し、育児に奮闘する日々。家の中にいるのは苦手で、新しい場所やモノが大好きな「THEミーハー」体質。子どもたちにもさまざまな経験をさせるべく、家族のおでかけや遊びの計画をたてるのが日課。趣味は読書、ドライブ、DIY、ヨガ、お酒、シートマスク検証、写真撮影。

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