人見知りで自分嫌いだった鈴木あきえさんが変われたワケ【後編】

鈴木あきえさん

初めてのリポーター経験、厳しい現場でも逃げずにふんばれたワケ

未来:人見知りのあきえさんがコミュニケーション上手になれたきっかけは?

やっぱり『王様のブランチ』でのリポーター経験が大きかったですね。芸能界の塾であり人間性の塾だったと思います。

人やモノを紹介するリポーターは“演者でありながら黒子”として、ゲストをいかに輝かせられるかが求められるのですが、私はなにせ人見知りなので。初めの頃は初対面のゲストと何を話したらいいか分からず、台本にある質問を終えると会話が終わってしまって、ディレクターさんや作家さんからめちゃくちゃ怒られましたね。

収録後にはスタッフルームに行って「今日どうでしたか」と聞くようにしていたので、周りからの“愛のムチ”は本当にたくさんいただいたなと思います

未来:愛のムチに反発したことはなかったですか?

それはなかったです。ただ逃げたいと思ったことは何度もあって、初めのうちは失敗してよく泣いていましたが、何回かやっていくうちに仕事でのミスは仕事でしか取り返せないということに気づいて。「一歩成長したじゃんってディレクターさんに言わせたい」という悔しさが生まれて、それがエネルギーになっていった気がします

私が任されるインタビューの数十分って、それまで準備をしてくれたスタッフ全員の思いが託された“勝負の時間”なんです。「俺たちだって聞きたいけど、リポーターのお前しか聞けないんだ」と言われてハッとしました。資料を準備してくれるADさんがいてスタンバイしてくれているカメラマンさんがいて、ディレクターさんがいて……私は彼らからバトンを託されているんだと。そのバトンのおかげで私がリポートできるわけで、みんなの気持ちに応えられるよう頑張りたいという思いは大きかったですね。“自分のためだけ”の仕事をしていたらここまで頑張れなかったと思います。

それとリポーター1年目の時には、スタッフから「月曜から金曜まで働いてしんどい思いをしたサラリーマンが土曜日にパッと『ブランチ』を見て、また次の月曜からも頑張るかって思ってくれるとしたら、すごく素敵な仕事だよね」と言われたことがありました。そこで高校時代にチアリーディング部だった私の“応援魂”に火がつきまして(笑)。応援したり元気づけたり、ちょっとでも楽しい気持ちになってもらいたいという、芸能活動の根本にあるものを思い出させてもらったんですよね。おかげで「なんて良い仕事をさせてもらっているんだ」と思えるようになりました。    

悩み解決の近道は「自分を変えること」

未来:失敗や挫折があった時の、気持ちの切り替え方が本当に上手いんだなと思いました。

人間関係で悩むことって多いと思うんですが、逆に自分を変えるほうが早く解決したりするんですよね。実は以前、ちょっと苦手意識を持っていた人のことを「一度好きだと思ってみよう」と意識を変えてみたら、誤解が解けてうまくコミュニケーションが取れるようになったことがありました。そもそも私が苦手だと思っていたから、会話にトゲを感じてしまっていただけ。自分を変えるほうがラクだし、良好な関係を築く近道になると思います。

人見知りだった過去の自分を振り返ると、心のシャッターを完全に閉じてしまっていました。ある女優さんから「人は自分の鏡だからね」と教えてもらったことがあるのですが、自分が心を開いてないのに相手が開いてくれるわけがないとりあえずいつでも受け入れられる態勢にしようと心掛けるだけでも、自分から出る言葉が変わったり、行動が変わったりした実感がありましたね。    

人の顔をうかがうより、まず自分をうかがってみる

未来:あきえさんが、今の自分ですごく好きなところって?

あまり自分を変えることなく、自分らしくいられるようになったところでしょうか。昔はずいぶん猫をかぶっていましたが(笑)。私がそうだったように、自分らしくいられないことがストレスになっている方は多いと思います。人の顔をうかがうよりまず自分をうかがってみると、意外と解決の糸口が見つかるかもしれません。

今は初めてお会いする方でも、どんな現場でも、自分らしさを大切にできるようになって、以前よりはるかに生きやすくなりました。そのおかげか「あきえちゃん今の方がイキイキしてるね」と言ってもらえることが多くて、すごく嬉しいです。

未来:今後お仕事でやってみたいことは?

子ども番組に出たいなと思っています。子どもが好きというのもありますし、親になってから子ども番組を見るとまた見え方が違うんですよね。この人頑張ってるなとか、この人が出てくる時間までにやること終わらせようとか、出演者の方を見ることが日々の励みになっていて。私もそんなふうに、子育てしている方たちがホッとできる時間を提供できる存在になれたらいいなと思います。

「10回中9回は失敗、成功した1回を少しずつ積み重ねてきた」と明るく話してくれたあきえさん。落ち込んだままで終わらせず、失敗を自分のチカラに変えていく柔軟さは、大人の私たちも見習いたいと思うほど。現場でお会いした私たちスタッフもすっかりファンになってしまいました。

【前編】を読む>ココロのスキル求められる今、鈴木あきえさんが子育てで大切にしていること

鈴木あきえさん

撮影・根津理恵子

鈴木あきえさん プロフィール
1987年3月生まれ。東京都出身。2004年に芸能界デビューし、2007年2月から『王様のブランチ』(TBS系列)リポーターに。2013年5月からは同番組コーナー『買い物の達人』リポーターとして人気を博す。2018年9月に第一子となる男の子を出産。現在は『すくすく子育て』(NHK Eテレ)の司会、『なな→きゅう』(文化放送)の金曜パーソナリティなどを担当する。著書に『誰とでも3分でうちとける ほんの少しのコツ』(2017年、かんき出版)。

 

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週5フルタイムで貿易事務として働くかたわら副業でライティングや韓国語翻訳にも精を出す日々。遠距離恋愛中。一見落ち着いたふうを装っているが実はかなりせっかち。趣味は韓国ドラマ鑑賞、散歩、ドラム、本屋をぶらぶらすること、ラジオを聴くこと。一番好きなお菓子は「アポロ」。

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