【インタビュー】諦めない気持ちと親子の絆が起こした「奇跡」-後編-

2020年5月に実施した子どもに贈るメッセージ企画「〇日目の君へ」では、子どもを想うママパパの愛に溢れた数多くのメッセージが集まりました。今回は、同企画に集まった100件以上の応募作品中から、「未来へいこーよ賞」を受賞したメッセージをピックアップ。作品を送ってくれたママを取材し、メッセージに込められた想いや子育てについて話を聞かせてもらいました。

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親子の絆が起こした奇跡

未来:応募頂いたメッセージの中にも「母さんが泣くのはいつも灯里の事だもん。それは愛だものね」という灯里さんの言葉が出てきて、すごく大人だなと感じました。大きな手術を前に綴られた言葉だったとのことですが、これはどんな会話の中ででてきた言葉だったのでしょうか?

あの言葉をもらったのは灯里が12歳のときで、一気に身長が伸びたことにより背骨が極度に曲がってしまう「側弯症(そくわんしょう)」が進み手術を受けることになったときのことです。背骨に金属のパーツを入れて曲がった骨を戻す大変な手術なんですが、このままにしておくと胃が圧迫して食べることができなくなったり、肺が押されて肺炎を起こしやすくなったり、座る姿勢になることさえできなくなってしまうと医者に言われ、手術せざるを得ない状況でした。

もっと進行すると車椅子に座ることもできなくなり、確実に進行するから即手術を受けなければならないと医者から言われ、輸血用の自己血保存や術前検査などの日程がどんどん決まっていくのですが、私は気持ちの整理が追いつきませんでした。

手術で金属を入れれば内蔵が圧迫されることはなくなるけど、自分で寝返りを打つことができなくなると言われていました。寝返りは灯里が自発的に身体を動かすことができる僅かな動きです。ただでさえ筋力の弱い灯里にとって、今までできていた動きが突然できなくなれば全身の状態が著しく低下するのは目に見えています。それと引き換えに手術をして側弯がこれ以上進行しない安心感を手に入れ、車椅子の生活を維持した方がいいのか…とても悩みました

昨年の夏には初めてのラフティングに挑戦!

灯里はとてもきつい痙攣発作が毎日あり、そのたびに身体にすさまじい負担がかかります。普通なら術後はコルセットをして絶対安静が必要になる手術の翌日から、そんなに激しい発作に耐えられるのか、もっとひどい状態になるのではないかと不安でたまりませんでした

何が一番いいのか判断ができず、本当にこの手術しか方法はないのか、日本全国の病院から子どもの側弯手術で名医と呼ばれる医者を探して、すべてセカンドオピニオンをとりました。すると、ほとんどの病院が「即刻手術するのが正しい」という中で、少しでも負担を減らせるように二段階で手術をする方法を提案してくれた病院があったんです。

当時は本当にパニック状態だったので、「もしかしたら負担が軽くなるかもしれない!そこに受診に行こう!」と涙ながらに灯里に訴えました。そのときに言われた言葉が、メッセージの中にあったものです。

かあさん、泣かなくていいのに。でも仕方ないよね、泣かないかあさんなんてかあさんじゃないから。かあさんが泣くのはいつも灯里のことだもん。それは愛だものね。でも、本当に泣かなくていいの。どの道を選んでも同じなんだよ」と。

「何言ってるの!!手術や病院が違えば同じ訳ないよ!」と私が反論すると、続けてこう綴ってくれました。

「でも同じなの。そこは光が差すとてもステキなところ。奇跡が起きるんだよ。かあさんは泣きながら、灯里は笑いながら進む。そうして同じところにたどり着く。だからどの寄り道を選ぶかはかあさんにお任せします

一体この子は何を書いているんだろう…と、言葉が出ませんでしたが、任せてくれるというなら納得いくまでセカンドオピニオンをとろうと決めました。そこから二カ月検査を待ってもらい、リハビリや色んなセラピーを試したところ再検査で進行が止まり、結局手術を受けずに済みました。確実に進行すると言われていた側弯が止まるなんて…「奇跡」だと医者にも驚かれました。本当に灯里が言った通りになったんです

大変なのは自分だと訴えてもおかしくないときに、手術のことで頭がいっぱいだった私を言葉の愛で包んでくれた灯里を見たときは本当にびっくりしました。そのときに、灯里はケアしてあげるばかりの子じゃないんだ、むしろ私よりも強くてしっかりしていて、大人なんだと気づかされましたね。

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2013年に長女、2015年に長男を出産し、育児に奮闘する日々。家の中にいるのは苦手で、新しい場所やモノが大好きな「THEミーハー」体質。子どもたちにもさまざまな経験をさせるべく、家族のおでかけや遊びの計画をたてるのが日課。趣味は読書、ドライブ、DIY、ヨガ、お酒、シートマスク検証、写真撮影。

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