チームラボアーキテクツ 代表 河田将吾氏

「チームラボ」の建築家が母から教わった「まずいことを楽しむ」生き方とは?

つくる人
たゆまぬ努力を続け、生産品に愛情を注ぎ、好奇心や探求心、情熱を常に持って暮らしている「つくる人」にお話を伺い、人として生きていくのに必要なものに迫るインタビュー。

「建物のデザインをつくる人」として、チームラボアーキテクツ代表の河田将吾氏にインタビュー! 「チームラボ」の建築チームとして保育園「キッズラボ南流山」の設計を手掛けた前編のお話に続き、河田氏の子ども時代や建築士として大事にしていることなどを語っていただきます。

チームラボアーキテクツ 代表 河田将吾氏 プロフィール
鳥取県生まれ。デジタルテクノロジー、アート、生物学、建築の境界を越え、新しい時代の都市と自然と人々のありようや、新たな建築や空間のありようを模索する建築集団チームラボアーキテクツの代表。

いつもオリジナルのルールで遊ぶ子だった

未来:前編ではチームラボアーキテクツとして保育園「キッズラボ南流山」を設計したお話を伺いましたが、河田さんご自身はどんな幼児期を過ごしたのでしょうか?

ちょうど最近、子どものころを思い出す機会がありました。チームラボでは「共創」をテーマに「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」のイベントを全国の美術館などを借りて実施しています。それを体験したある保育園の園児たちが、段ボールを使って「未来の遊園地」を再現して遊んでくれたんです。その写真をチームラボのメンバーが送ってくれて、展示だけでなく受付なども再現されていて感心しました。「これはおもしろいねー」と話しながら見ていたら、僕が昔通っていた鳥取県米子市の保育園だったんです(笑)。

未来:それは、すごい偶然ですね(笑)。

この保育園では僕が通っていたときから、ホントにいろいろなものを作っているみたいで。そういえば、卒園するときに今まで作ったものをたくさん持って帰ってきたのを今でも覚えています。

未来:幼児期から、モノづくりに没頭できる環境だったんですね。回りまわって今のお仕事とつながっているのは不思議な縁を感じます。小学生になってからは、どんなことをして遊んでいましたか?

田舎だったので、家から小学校まで片道約5kmの通学路を毎日往復で2時間かけて1人で歩いていたんです。子どもの2時間って相当長くて、普通に歩くのは飽きてしまったので、違う場所を通ってみたり、いろんなものを観察して想像を膨らませてみたりと、子どもなりに「遊ぶポイント」を見つけながら帰っていましたね。ちょっとした山があったり、くぼみになっている場所があったりして、そういう地形を使って自分でルールを使って遊びを見出していました。

未来:身近な自然を使って、遊びを作り出していたんですね。あらかじめ遊び方が決まっているものより、そのほうが好奇心や想像力が養われたのではないでしょうか。公園などには遊具があったとは思うのですが、それで遊んだりしましたか?

遊具がそれなりに用意された公園が近くにありましたけど、普通に遊ぶのはすぐに飽きてしまって、オリジナルの遊びを考えていました。ブランコだったら、前の方に線を引いてブランコを漕ぎながら線に向かって石を投げ入れたり、その石を取ったりとか。

未来:あるもので遊ぶだけでなく、いつもオリジナルのルールを作って遊ぶ子ども時代だったんですね。その当時に両親や大人に言われたことで印象的だったことはなんでしょうか?

すごく覚えているのは、毎日通っている通学路の道路が、同じ色でずーっとまっすぐ伸びていて、それをただ歩いて帰るのがおもしろくなかったから、その隣にある田んぼのあぜ道をあちこち曲がりながら帰っていたら、道路をまっすぐ歩くよりもおもしろくて(笑)。でも、それが先生にすごく怒られたんです。

未来:学校としては田んぼに落ちてしまうとか、通学路以外の場所を通られると危ないこともあるという認識だったのかもしれないですよね。

僕としては「なんならこっちは、ちょっと遠回りしているから」くらいに思っていたんですけど、先生は「どうして田んぼを通ってはダメなのか」ということを言ってくれなかったんですよね。頭ごなしで言われて説明がなかったから、納得がいかなかったのをよく覚えています。

未来:先生に怒られたことは納得いかなかったかもしれませんが、道を真っ直ぐ帰るよりもあぜ道をくねくね帰るのが面白かったというのが、今のアートの仕事にも繋がっているのかもしれませんね。

自分が褒められるより「みんながうれしい」ほうがいい

未来:子どものときに褒められたり、うれしかった思い出は?

小学生の図工で、土台の上に画用紙で道を作って、土台ごと傾けながらボールをスタートからゴールの穴まで運ぶ「迷路」を作ったんです。それで僕がゴールだけでなく、途中にも穴がある迷路を作ったら、みんなが「おもしろい」と言ってくれて(笑)。みんなが自分の迷路に穴を空け始めたんです。で、今度はそれを縦に重ねて、ひとつの大きな何層にも重なっている迷路を作ったんです。玉が一番上の層の穴から落ちてその下の誰かが作った迷路の中を転がって、また下の段に落ちていって。あの体験はすごく楽しくてうれしかったです。

ダンボール 迷路

未来:小学生くらいだと普通なら「それは自分のアイデアだから真似しないで!」と言いそうですね。

それが「真似されるのがイヤだ」という認識はまったくなかったんですよ(笑)。それよりも「遊びが広がって大きくなっていく」ところがおもしろいなと思っていました。不思議とそのアイデアを最初に僕がやったことは、友だちの誰も覚えていないんですけど(笑)。でも、工作でひとつの大きな迷路を作って楽しかったことは、みんなが覚えてくれているんです。

未来:それは、よほどみんなの印象に残ったんですよ。ひょっとしたらみんなで初めて「共創」をした体験だったかもしれないですね。

そうですね。もしも「真似されるのがイヤだ」って言っていたら、この体験はなかったかもしれないです。自分一人が褒められることより、みんながうれしいのがいいんです。ボールが見えないから「音と感触だけで迷路を抜けていく」というのもよかったです。この「共創」した体験が、今の仕事につながっていると思います。

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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