2026年8月29日(土)、東京都千代田区の科学技術館で「いこーよサイエンス私学フェア」を開催しました。同時開催の「いこーよフェスタ2026」初日に合わせた1日限りの催しです。集まったのは、STEAM教育に力を入れる私立中学・高校を中心に、インターナショナルスクールや大学も加わった12校。理科実験や工作、プログラミングの体験を各校の先生や生徒が直接教え、個別相談にも乗ってくれる貴重な機会になりました。楽しみながら科学にふれ、学校の空気をじかに感じられる1日です。当日の様子をたっぷりとお届けします。
※事前に許可を取った方のみ、記事内でお顔を掲載しています。
「いこーよサイエンス私学フェア」とは?
「いこーよサイエンス私学フェア」は、STEAM教育に力を入れている私立中学・高等学校が一堂に集まり、実験や工作などの体験を通して、子どもたちが楽しみながら科学にふれられるイベントです。子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」が主催する「いこーよフェスタ2026」との同時開催で、進路選びや興味を広げるきっかけにも。入場は無料の登録制です。
参加したのは私立中学・高校だけではなく、インターナショナルスクールと大学も加わった全12校です。体験ブースで子どもの向かいにいたのは、その学校で日々教えている先生たちです。夏休みの生徒が手伝いに来た学校もあり、その学校に通う高校生に直接教えてもらう貴重な体験にもなりました。
参加校は次の12校です。
- 片山学園中学校・高等学校
- 光英VERITAS中学校・高等学校
- 芝浦工業大学柏中学高等学校
- 東京電機大学中学校・高等学校
- 東京農業大学第三高等学校・第三高等学校附属中学校
- 東邦大学付属東邦中学校・高等学校
- 藤嶺学園藤沢中学校・高等学校
- 不二聖心女子学院中学校・高等学校
- 茗溪学園中学校高等学校
- 麗澤中学・高等学校
- ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス
- 神奈川歯科大学
「いこーよフェスタ2026」のレポート記事はこちら!
片山学園中学校・高等学校「瞬間冷却パックを自作しよう!」
片山学園のブースでは、袋を押すと冷たくなる瞬間冷却パックを自分の手で作りました。仕組みを体験しながら、パックの表面に自分だけのデザインを描いていきます。机には夏らしい絵の見本が置かれ、白衣の先生がとても楽しそうな表情で子どもたちに向き合っていました。

ブースには、中が見えないほど大勢の来場者が並び、開始から2時間ほどで材料がなくなり、午後の早い時間に体験を終えるほど。自分の手で描いたパックが、押すと冷たくなる。その不思議を夏の日に確かめられる、子どもにとって記憶に残る体験でした。
光英VERITAS中学校・高等学校「プログラミングでボールに命を吹き込もう!」
光英VERITASのブースで体験できたのは、プログラミングでボールを動かすことです。iPadのアプリで簡単なプログラムを組むと、床に置いた丸いボールが命令のとおりにまっすぐ走ったり、スピードを変えたりします。床には赤いコーンが並び、どう動かせばよいかを考えながら子どもたちがプログラムを組み立てていきました。

体験はボールを床に置いてじっくり取り組む内容のため、予約制で実施。予約が入っていない時間には、手前の机で「ちょっとだけさわってみる」お試しの機会も設けられていました。通りかかった子どもが動くボールに足を止め、机の周りは自然とギャラリーに。アンケートにも、先生が声をかけてくれて子どもが楽しそうだったという感想が、学校名とともに寄せられました。
芝浦工業大学柏中学高等学校「数の世界を探検しよう!『なんで?』から広がる算数ワークショップ」
芝浦工業大学柏のブースで行われていたのは、まさに算数の授業です。学校側の説明も「個人授業」。予約制の30分間、先生はボードに図や数を書きながら、子どもたちに数の世界を説明しました。

先生の話し方はとても楽しそうで、聞き手を引き込むうまさがあります。本当に算数がおもしろいと思っている人が教えているのだと伝わってきました。来場者アンケートにも「芝浦工業大学柏の先生が子どもの興味が湧くように声をかけてくれた」と、学校名を挙げた声が寄せられました。その学校の授業がどんな空気で進むのかを、30分のあいだに肌で感じられる体験です。
東京電機大学中学校・高等学校「永久コマを作ろう!」
東京電機大学中学校・高等学校のブースで作ったのは、電池とコイルの力で回り続ける永久コマです。

1回の定員は、予約制のブースの中では最も多い5人で、予約は全回完売。机の上では、子どもたちが工具を使ってパーツを組み立てていきます。真剣な横顔で手を動かす子どもを、先生がそばで懸命にサポートしていました。
先生に話を聞くと、これまでも別の機会で体験を実施してきていますが「まったく同じことはしない」方針で、毎回違う体験にしているのだとか。新しいことに挑む学校の姿勢が、そのままブースの熱量になっていました。
東京農業大学第三高等学校・第三高等学校附属中学校「紫キャベツで酸性アルカリ性を調べよう!&不思議なスライム作り」
東京農業大学第三のブースで用意されていたのは、紫キャベツの色素を染み込ませた試験紙で液体の性質を調べる実験です。酸性の液体で赤色に、アルカリ性の液体で青色に変わる様子を、目の前で確かめていきます。学校で実際に行われている授業の実験をそのまま持ち込んだような体験でした。もう一つの体験が、不思議なスライム作り。シェービングフォームを混ぜてふわふわにしたものや、鉄粉を混ぜたグレーのものなど、見た目も触感もひと工夫されたものになっています。

予約の枠は他校より短い20分に2人ずつで、そのぶん回転が途切れることなく、少人数の体験が終日続きました。子どもたちの手元を見ていたのは、白衣の先生たちです。酸性やアルカリ性が調べられる試験紙は、ブースの前を通りかかった人にもパンフレットと一緒に手渡されていました。体験をしていなくても、学校の特徴を知るきっかけになる工夫です。
東邦大学付属東邦中学校・高等学校
東邦大学付属東邦は、体験ブースを出さず個別相談の窓口として出展。先生が来場した保護者と子どもに向き合って話していました。

この日、子どもが先生に話しかけるきっかけになったのが、スキシャリストのバッジです。いこーよフェスタでは「好き」を本気で語れる大人を「スキシャリスト」と呼び、バッジをつけて会場に立ってもらっています。会場企画「五感でみつける!好奇心のタネビンゴ」には、このバッジをつけた大人や先生に一番好きだった教科をきいてみるミッションがあります。東邦大学付属東邦の先生にも子どもが声をかけ、そこから保護者との会話も始まっていました。
藤嶺学園藤沢中学校・高等学校「目に見えない力を体感してみよう!立体へんしんパズルにも挑戦!」
藤嶺学園藤沢のブースのテーマは、目に見えない力。紐を両手でこすり、温度計の数字が上がるのを確かめる実験や、ボタンを押すと人形が鉄棒で回る遠心力のおもちゃが用意されていました。おもちゃはタイミングを合わせて押し続けられると人形がぐるりと一周し、子どもたちに大人気。もう一つの立体へんしんパズルは、折り紙のように折って形を変えていく工作です。
先生が1日中とても忙しかったと振り返るほど人が絶えませんでした。

子どもたちの相手をしていたのは、紺色のポロシャツを着た高校生の男子生徒です。朝から終わりまで子どもと向き合い続けました。現役の高校生に教わる子どもたちの表情はとてもよく、その学校に通う先輩の姿を間近で見られる、またとない時間になっていました。
不二聖心女子学院中学校・高等学校「まぜると色が変わる!バタフライピー・スライム実験!」
不二聖心女子学院は、自然の中にある静岡の学校です。ブースで使ったのは「バタフライピー」という青い花のハーブ。じつはこの花、生徒が学校で育てたもので、学校の特色が、そのまま体験の材料になっています。色素を溶かした液に酸性やアルカリ性の液を混ぜると、青からピンクへと色が変わります。その変化を見ながらラメを入れ、自分だけの色のスライムを作っていきました。

子どもたちに教えてくれていたのは、この学校の生徒です。学校で育てた花を、その学校の生徒から教わる体験は、子どもにも大人にも学校の空気を伝えていました。
茗溪学園中学校高等学校
茗溪学園も、体験ブースを出さず個別相談の窓口として参加しました。相談の席についていたのは、元日能研で教育アナリストとしても活躍し、2025年6月から茗溪学園の校長補佐を務める井上修さん。机にはパンフレットが積まれ、資料を開きながら来場した親子と話していました。

井上さんは、私学フェアのない翌30日(日)にも、進路や勉強の悩みなど幅広いテーマに答える個別相談会を開いてくれました。中学受験のエキスパートである井上さんの話を直接聞ける、またとない機会です。
麗澤中学・高等学校「小型IoTでゲーム制作とセンサーを使った発明体験!」
麗澤のブースは、約45分の授業そのものの形式です。先生がマンツーマンでプログラミングを説明し、組んだプログラムで丸い機体が走るところまでをひと続きで体験しました。ゼロから教えてもらえる、出張授業のような時間です。

並んだパソコンの前では、子どもだけでなく保護者も熱心に画面をのぞき込んでいました。1組にじっくり時間をかける形だからこそ、入学したらどんな授業を受けるのかを、子どもと大人が一緒に体感できる時間になっていました。
ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス「Spark! The Wonder of Science サイエンスの不思議」
ローラスインターナショナルスクールオブサイエンスは、日頃から生徒の発表に力を入れている学校です。ブースに用意されていたのは、プラズマボールなど科学館で見かける装置。予約なしで体験でき、透明な球に手を当てると中の光が手のほうへ寄ってくる装置に、子どもたちは次々と手を伸ばしていました。

ステージプログラム「初中等部によるSTEAMプレゼンテーション」も行われました。登壇したのは、過去の大会で発表を行ったことのある生徒たち。英語での発表には字幕の同時通訳がつき、大勢の観客の前で堂々と話す姿に、学校の日頃の教育の成果が表れていました。ステージの様子は「いこーよフェスタ2026」のレポート記事で紹介しています。
神奈川歯科大学「歯医者さんの仕事を体験してみよう!」
神奈川歯科大学のブースで体験できたのは、歯科医の仕事の一部です。歯の模型や抜歯に使う道具、歯茎を模したマットが用意され、大学の先生が子どもの手元に道具を渡し、一つひとつ使い方を見せていきました。ブルーライトを当てると歯の汚れが浮かび上がって見える様子も、その場で実演。普段は見えないものが見えてくる体験です。

ゴーグルをつけた子どもが、先生の手元をじっとのぞき込んでいました。歯医者さんは子どもにとって身近な存在ですが、その仕事を自分の手で体験できる機会はそう多くありません。将来の仕事を考える入口にもなる体験でした。
パンフレットには載らない、学校の空気が伝わった1日
理科実験や工作、プログラミングなど、体験でわくわくした子どもの目の先には、その学校の先生と生徒がいました。普段の相談会ではなかなか生まれない時間が、会場のあちこちにありました。
この日を特別なものにしたもう一つの要素が「いこーよフェスタ2026」との同時開催です。中学受験をまだ考えていない家庭の子どもも、目の前の実験や工作に引き寄せられてブースに立ち寄ります。楽しんでいるうちに、その学校の授業の雰囲気や、先生や生徒の人となりが自然と伝わっていく。参加した学校にとっても、サイトなどだけでは接点がない親子に学校の空気をじかに知ってもらえる、大きな価値のある1日になりました。
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