子どもを片付け上手にするテクニックや声かけとは?

「うちの子どもは片付けができない!」と悩むお母さんは多いのでは? そこで、1級家事セラピストの粂井優子さんに、片付けができる子どもに育てるコツを教えていただきました!

子どもが片付けられない理由

片付け上手に育てるコツを教えてくれた粂井優子さんは、中学生から大学生まで3人のお子さんがいます。3人ともお片付けが得意で、特に下のお二人は片付け魔。部屋は常にモデルルームのようだというから驚きです。

片付けが苦手な子どもが多い中、どうしたら片付けられるようになるのでしょうか?

「片付けられない理由は基本的には大人と変わりません。まずは、置き場所が決まっていないと片付けられません。また、子どもにとって片付けにくい置き場所になっている場合もあります。分類が難しい、ふたが付いていて面倒くさい、といった理由から、片付けをしたくなくなってしまいます。」

引き出しがスムーズに動かない、絵本や箱を棚にぴったり並べている、といった収納は子どもにとって片付けづらいもの。また、たくさんの種類のおもちゃが出ていると、段取りがわからなかったり、片付け終わることが想像できずにやる気が出ないという理由もあるそう。そのため、収納方法や分類をシンプルにしたり、遊びが変わるたびにこまめに片付けるなどの工夫で、片付け上手な子になるそうです。

ワンアクションで子どもの片づける動線を意識した場所に

いつも散らかっているのは、子どもが片付けやすい収納になっていないからかもしれません。どのような解決策があるのでしょうか?

「まずは、しまいやすい置き場所を決めることが大切。おもちゃを手に入れたら『このおもちゃのお家、どこにしようか?』と最初に収納場所を相談しましょう。また、できるだけワンアクションでしまえるようにします。カゴに入れるだけ、棚に置くだけ、がワンアクションです。また、左手で引き出しを引き、右手で入れるなど、おもちゃを一度別の場所に置かなくてもしまえる場合はワンアクションと考えます。」

両手で開けなくてはいけないフタがあったりすると手間が増え、片付ける際の心理的ハードルが高くなります。また、「どこに片付けるか」にも見直しが必要かもしれません。

子どもの動線を考えてあげましょう。例えばリビングばかりで遊んでいるのに、子ども部屋に収納場所があったらなかなか大変。基本的には、遊んでいる場所に片付けられるのが理想です。また、幼稚園や小学校から帰ってきてすぐにリビングへ行き、そこで過ごしているようなら、バッグやランドセルも同じリビングに置くことを検討してみてください。」

場所は、あちこちに分散せず、一箇所にまとめてあるのがベストだそうです。

片付け上手になるための3つの工夫

  • おもちゃを買ったら最初に収納場所を決める
  • できるだけワンアクションでしまえるようにする
  • 子どもがいつも遊ぶ場所の近くに収納場所を決める

分類の仕方は家庭によって違うものの、「ぬいぐるみ」「電車とレール」など遊びの単位で分けたり、大きさで分けるとスッキリするとのこと。また、ぎゅうぎゅうに詰めすぎるとしまいにくくなるため、スペースに余裕があることも大事です。

小さな頃から導いてあげれば、6歳で片付け上手な子に!

子どもの年齢によっても、片付けの教え方は違います。そこで、ある程度の年齢に分けて教えていただきました。あくまで一例なので、各家庭によって程度は異なります。

3歳頃まで:大人が一緒に、具体的に場所を教えながら

「3歳くらいまでは、大人と一緒でないと難しいでしょう。できるだけ具体的に、手取り足取り教えてあげることが大切です。『ぬいぐるみをこのボックスに入れようね』『絵本をあそこの本棚にしまおうね』と声をかけながら、子どもと一緒に片付けます。片付けられたらたくさん褒めてあげてください」

小さな子どもに「お片付けしよう」というだけでは、具体性がなく何をすればいいのか判断が難しいのです。3歳を過ぎた頃から、能力的には、一人で片付けができる年齢になるそうです。

3歳〜6歳頃:「お片付けしようね」と声かけをして見守る

「3歳〜6歳くらいなら、声かけだけで手を出さなくてもある程度はできます。それまでに、自分で片付けられた体験をたくさんさせてあげることが大事です。もし、『お片付けしようね』と言って難しければ、具体的に教えてあげる方法に戻ればOKです。」

6歳以上:子どもが自分から片づけるように。大切なのはルール作り

「6歳を超えたら、声をかけなくても片付けられるようになりたいですね。大切なのはルール作りです。『お風呂に入る前に片付ける』『ご飯の前に片付ける』などのルールを決め、小さいうちに徹底しておくことで、習慣づけられます。この年齢なら、表を冷蔵庫などに貼っておき、自分でシールを貼っていくのもいいですね」

この場合も、うまくできないようなら前に戻って教え直せばいいそう。何歳からでもスタートできるのです。

子どもがやる気になる声がけとは?

やり方はわかっても、なかなか実践は難しいもの。昨日までできていなかった子どもに「片付けて」と言っても、動いてくれないでしょう。どんな言葉を選ぶと効果的なのでしょうか。

「小さいうちは“やりたい年頃”でもあるので、具体的に言えばできると思います。少し大きくなって、言ってもできないなら、一緒に考えてみてはどうですか? 例えば、『ママすごく困ってるんだけど、どうやったら片付けてもらえるんだろう?』と聞いてみると、『テレビが見終わったらやる』など自分で考え始めると思います。『どうやったら楽しく片付けられると思う?』などと聞くのもいいですね。」

秒数を計って毎日記録を更新するなど、子どもが自分で楽しいゲームを考え出しそうですね。自分で考えたことは、実行しやすいのです。

片付けができたら、それが上手でなくても褒めて、感謝することが大事です。『よくできたね』『ありがとう』と声がけしてあげてください。あとは、笑顔。ママの笑顔は子どもにとって大変嬉しいものです。」

「ありがとう」「よくできたね」という言葉をお母さんからたくさんもらえることで、子どもは自信をつけていきます。片付けは、子どもの自尊心を育てるチャンスなのですね。できるだけハードルを下げて、ひとつでもできたら声がけと笑顔を心がけたいものです。

お話を聞いたのは…
粂井 優子さん
1級家事セラピスト。親を楽しむサロン主宰。家事の達人の大学3年女子、高3女子、中3男子3人の母。「親子お片付け塾」「1歳からできるお手伝い」「学力アップの部屋作り」「ちょうどいい親子の距離感を見つけよう」などの、各種講演、講座、ワークショップを全国各地で開催している。
ブログ「100%笑顔の母さんでいこう!」

ライター紹介
栃尾 江美
1975年生まれ。コンピュータ会社勤務から、2005年にライターへ。アバンギャルド/WOOTS所属。雑誌や書籍、Web、広告など、ライトな読み物から堅めの記事までこなします。やんちゃな2人の男児がいる4人家族。子どもには、自分が大切にしているものを伝えたいと日々模索中。自然や生き物、本物の音楽や芸術に触れながら育ってくれるといいな。

※こちらは2015年12月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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