計算力と右脳が育つ!習い事で再び人気の「そろばん」の効果

昔ながらの習い事「そろばん」。計算力アップだけでなく、脳のトレーニングにもよいといわれ、再び注目されているようです。そこで、日本珠算連盟のベテラン講師に、子どもがそろばんを習うと、どのような能力アップが期待できるのか聞いてみました。

紙での計算と「そろばん」での計算では、何が違う?

紙で計算する『筆算』は、1の位から計算するのが普通です。筆算は学校で習う算数のベースとなるものですから、きちんと習得する必要があります。これに対して『そろばん』は、数字を読み上げる順番、つまり上の位からそろばん玉を弾きながら計算します」というのは、珠算指導暦50年の藤井将男先生。

筆算とそろばんとでは計算の方法が違う、ということになります。そろばんは指先を使うことから、「脳全体」がさらに鍛えられるのが大きな特徴です。

「頭の中のそろばん」を使うことが右脳に良い!?

そろばんといえば「暗算に強くなる」イメージもありますが、その理由はなぜでしょうか?

『珠算式暗算』は“頭の中のそろばん”を使って計算する方法で、小さい頃からそろばんを習っている子どもは、『3』という数字を聞けば、頭の中にそろばん玉が3つが浮かんでくるんです。このような脳内の直感像記憶は右脳を使っているといわれています。頭の中のそろばんで数字処理ができるようになれば、2桁の掛け算もあっという間に解けるようになります。対して筆算を頭の中で行う『算数式暗算』は左脳を使って計算しているといわれています。」

そろばんを指ではじく計算方法では脳全体が育ち、頭の中のそろばんを使う珠算式暗算では右脳が鍛えられる、というわけですね。

そろばん「教室」に行くことで養われる集中力と競争心

子どもの頃にそろばんを習うと脳の発達によいだけでなく、親が子どものうちに身につけさせたいさまざまな能力が養われるといいます。

「たとえば、そろばん教室では、読み手が読み上げる数字を即座に聞き取り正しく処理する『読み上げ算』など、集中力が鍛えられるさまざまなトレーニングを行います。また、計算に没頭していると、頭の中が数字以外何もない、という状態になることがあります。このように集中する経験を積んだ子どもは、その集中力を計算以外の分野でも発揮できるようになるでしょう。」

「そろばん教室では『用意、はじめ!』で、一斉に問題を解かせる指導をしているところが多いと思います。子どもたちは目の色を変えて、ある子は一番になろうと、ある子はビリにならないように、とそれぞれの目的に向かって一生懸命努力します。このように『目の色を変えて努力する』経験によって、生きるための強さを身につけることができると思っています。」

このほかにも、そろばん教育は、注意深く観察する力、イメージやひらめきの力、記憶する力、情報を処理する力、速く聴き、速く読む力などをアップさせる効果があるといわれています。

そろばんデビューは何歳からがちょうどいい?

子どもの様々な能力アップが期待できるそろばんですが、教室に通うのは何歳ぐらいからがよいのでしょうか。

「個人差があるので何歳から、というのは難しいですが、小学2年生程度の理解力があるお子さんなら、年長でも1年生でも習い始めてよいと思います。習い始めてみて『ちょっとまだ難しいかな』という場合でも、手作り教材などを用いて工夫しながら指導してくれる先生の教室を選べば、伸びてくると思いますよ。」

そろばん教室に通う場合、家庭でやるべきサポートは?

子どもがそろばん教室に通い始めた場合、親はどのようなサポートをすればよいのでしょうか。

「そろばん教室は週2〜3回、というところが多いですが、教室がない日にそろばんを一切はじかないと、せっかく習得した知識が減ってしまうんです。理想は、毎日そろばんをはじいた方がいいですね。」

「家庭でできるサポートは、お子さんの宿題などに付き合って、タイムを計ったり、答え合わせをすることです。『昨日よりタイムが速くなったね』などの声かけは、そろばんに詳しくない親御さんでもできますね。また、そろばん経験のある親御さんでも、先生と親の指導方法が違うと子どもが混乱してしまうことがあるので、あくまで指導は先生に任せてください。」と、藤井さん。

「さらに、連絡カードなどを作って『第○回の割り算で悩んでいるようです』など、お子さんがわからなかった問題を先生に伝えるとよいでしょう。そうすれば、次の教室で確実に分からなかった問題の指導を受けることができます。先生とのコミュニケーションを密にすることも、親御さんの大切なサポートですね。」

「そろばん教室」に通わせても、先生に任せっきりにするのではなく、親子の関わり合いが大切なんですね。パパやママも一緒になって、そろばんを使って脳トレに挑戦してみるのもいいかもしれません。

計算力もアップして脳トレにもなる「そろばん」は、教室が全国に数多くあり、通わせやすいのも大きな魅力です。この秋から、新しく習い事を始めてみようかなと考えている方は、一度体験に行ってみるのもいいですね。

お話を聞いたのは…
藤井 将男さん
一般社団法人日本珠算連盟渉外編集委員長・NPO法人国際珠算普及基金理事長。
商業高校教諭、大学講師を経て現職。
日本珠算連盟

ライター紹介
青柳 直子
ライター暦16年。神戸生まれ・育ち・在住のアラフォー世代。芸能・インタビュー、舞台・コンサートレポをメインに、子育て関連、街取材まで“守備範囲を広く”がモットー。小学1年生の長男、1歳の長女、ヨーゼフ(ハイジの犬)似の夫+猫2匹と、毎日てんやわんやな暮らしぶり。娘が歩けるようになったのを機に、家族キャンプ再デビューを計画中。

※2016年9月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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