金沢学院短期大学助教の村山大樹さんに「子どもとのあそび」を教えていただきました。今回は「体を動かすあそび」がテーマです。新聞紙やスーパーのビニール袋など、身近にあるものを使って簡単にできるあそびをご紹介します。
ジャンプや二人三脚など、気軽に楽しめるあそびをご用意!
体を動かすあそびって、野球やサッカーのように道具を使うもの? それとも、相撲のような体力勝負? いいえ、ここで紹介するのは、子どもの自由な発想を引き出す「あそびのたね」。専門的な道具を使ったり、激しく体を動かすようなあそびではありません。パパママも気軽に楽しめて、身も心もリフレッシュできるあそびを用意しました!
◆ジャンプ&タッチ
<あそび方>
パパママが少し高い位置に伸ばした手を目指して、大きくジャンプ! 目標の高さを決めて、そこまで届くかどうか試してみましょう。壁などに線を引いて、「今日はここまで届いた!」という記録をつけてもいいですね。
<ポイント>
子どもにタッチされる直前に手を上げたり、スッと横にどけたり、一緒にジャンプしたり。そんないたずらを仕掛ければ、子どもはますますエキサイトします。
<村山さんから一言>
「目標に届かなければ、『どうすれば届くのか』を考えさせてみましょう。助走をつけたり、大きくしゃがんだり、台のようなものを持ってきたり、子どもなりにいろいろと考えるはずです。安全に注意しながら、子どもの発想を引き出しましょう。」
<用意するもの>
なし
◆ビニール袋風船バレー
<あそび方>
スーパーなどでもらうビニール袋に空気を入れて口をしばり、セロハンテープやガムテープで十字に巻けば、ビニール袋風船の完成です。ボールに見立てて、バレーボールのように打ち合いましょう。4人家族ならパパママVS子どもたち、3人家族ならパパVSママと子どもなど、チーム戦にしても盛り上がります。
<ポイント>
テープで巻くのは、適度な重さをつけるためです。巻く量を調節して落ちるスピードを変えてみたり、マスキングテープでデコレーションしてもいいですね。風船を何個もつくっておけば、やぶれたときにすぐ再スタートできます。
<村山さんから一言!>
「勝ち負けを争うのではなく、つなぐ楽しさや、ボールをはじく楽しさを味わってください。人数が多いときには、複数の風船を使うと、てんやわんやの大さわぎです!」
<用意するもの>
スーパーのビニール袋、セロハンテープやガムテープ
◆新聞紙二人三脚
<あそび方>
広げた新聞紙を半分に切り、中心に十字の切れ込みを入れます。そこに、自分と子どもの足を片足ずつ入れれば完成です。2人の息が合わなくても、新聞紙が破けるだけ。転倒の心配もなく、安全に二人三脚が楽しめます。
<ポイント>
最初はゆっくり歩きながら、「1、2、1、2」と声をかけ、歩幅を合わせるところからスタート。息が合ってきたら、徐々に歩くスピードをあげてください。できるだけ広い場所でやれば、より楽しめます。
<村山さんから一言!>
「三人四脚、四人五脚など、人数がふえるほど難しくなり、息が合ったときの楽しさもアップします。人数が多ければ、リレーをしてもいいですね。」
<用意するもの>
新聞紙、ハサミ
◆新聞紙トス
<あそび方>
広げた1枚の新聞紙を子どもと一緒に持ち、上に乗せたものをトスしながら運びます。下に落とさずにどこまで運べるかな? 大勢でやる場合は、その場でトスしてボールをみんなで回すだけでも楽しめます。
<ポイント>
風船などのフワッと飛んでゆっくり落ちてくるものを上に乗せれば、盛り上がること間違いなし。先ほど紹介した「ビニール袋風船」は、大きさも軽さも「新聞紙トス」にぴったりです。
<村山さんから一言!>
「強く引っ張ると破れてしまう新聞紙は、力の加減が重要なポイント。少し重たいものを乗せて、破れないかどうかのハラハラ感を味わったり、トスをしないで、バランスをとりながら運んだりしても楽しめます。」
<用意するもの>
新聞紙、風船など
◆4人綱引き
<あそび方>
長いロープの端と端を結んで輪をつくり、四角形になるように床に置きます。四隅の先に空き箱とそれぞれ同じ数のボールを転がしたら、ロープの内側に4人が入り、スタートの合図で引っ張り合います。箱の中に玉を何個入れられるかを競いましょう。
<ポイント>
真っすぐに進んでいるつもりなのに、斜めになってしまったり、思わぬ方向から引っ張られたりするのが4人綱引きの楽しさです。ロープが体に食い込んで痛いときは、タオルなどを当ててクッションにしましょう。
<村山さんから一言!>
「ふつうに引っ張り合えば、きっとパパが勝つでしょう。子ども同士や、ママと子どもが力を合わせてパパに立ち向かうなど、戦略を練る楽しさも味わってください。幼稚園などでは、さらに大人数であそんでいます。角が多くなれば、そのぶん引っ張られる方向も増えて、大騒ぎです。」
<用意するもの>
長いロープ、空き箱、ボール
「体を動かす楽しさを知ること」が大切
「体を動かすあそび」なら、体力や運動能力が鍛えられるのでは? ついそう期待してしまいがちですが、本来の目的は「体を動かす楽しさを知ること」だと村山さんは言います。
「体を動かす楽しさを知り、積極的に運動に親しむことで、自然と体力や運動能力が向上することはあるでしょう。けれど、もし体を鍛えることが目的になってしまったら、それはあそびではなく、『トレーニング』になってしまいます。」
たしかに、特定の能力を伸ばすことが目的であれば、それは「トレーニング」や「練習」と呼ぶのが自然かもしれません。子どもが心から楽しみ、そのあそびを自分で広げていくことがいちばん大切なのだそうです。
「たとえば、鉄棒の逆上がりは、くるっと逆さに回る感覚を楽しんだり、『どうやったらくるっと回って鉄棒にのぼれるかな』と考えたりして、アイデアを試すあそびです。必ずしも、上手に回ることだけが目的ではありません。そこで経験するチャレンジと失敗もふくめて、すべてがあそびなのです。」
あそびを通じてさまざまな能力が鍛えられることがあっても、それはあくまで結果論。あそびに大切なのは、考える力や、豊かな心も合わせた「生きる力」を育てることなのだそうです。
子どもは、運動が大好きです。パパママが一緒に体を動かしてあそんでくれたら、きっと大喜びしてくれるでしょう。まずは、一番簡単なジャンプ&タッチから試してみてはいかがでしょうか!
※次回は、「工作あそび」のたねを紹介します!
イラスト:後藤知江『あそびのたねずかん』より
〈出典〉
お話を聞いたのは…
村山 大樹さん
文教大学大学院教育学研究科修了。幼稚園の非常勤講師を勤めた後、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所の研究員に。株式会社バンダイ、東京学芸大学、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所の共同研究による「それいけ!アンパンマン コドなび!」や「Disney | KIDEA」などのプロジェクトにかかわる。2016年10月からは金沢学院短期大学助教として、遊びや学びに関する研究を続けながら、次の世代の教員・保育者養成に力を注いでいる。特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所 学術フェロー。
特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所
ライター紹介
菊地 貴広
編集プロダクション・しろくま事務所(http://whitebear74.jimdo.com)代表。2014年に出版社から独立し、ファッション、グルメ、ビール、猫、タレント本など幅広く活動。2015年11月に男子が誕生し、息子に夢中。その成長を見るたびにフルフルと感涙する日々。
※2016年10月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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