幼稚園でのお泊まり保育や、帰省、家族旅行など、夏は子どもが自宅以外で眠る機会が増える時期。「1人でちゃんと寝られるかな?」と不安になるママも多いのでは?そこで、シチュエーション別に親ができるサポート法を、専門家に聞いてみました。
「ここは安全?」見知らぬ場所への本能的な不安
そもそも、自宅以外の場所で寝るとき、子どもはどんなことに不安を覚えるのでしょうか。
「その場所で寝た経験がなかったり、慣れていないときは、安全な場所かどうかがわからないため、本能的に不安を感じることがあります。」
そう話すのは、横浜市の認定こども園エクレス(保育園)の施設長である松原美里さん。眠るというのは本来、生き物としてとても無防備な行為。だからこそ、ここは寝ても安全な場所だという確認ができていないと、子どもは安心して眠れないのだといいます。
「初めての場所や体験を喜んで受け入れる子もいる一方で、人見知りがあるように、“場所”に慣れるまで、場所見知りをする子もいます。“ここは安全な場所である”と認識するには、その場所に危険がないという確認の積み重ねが必要。慣れるまでの時間がどのくらいかかるかは、子どもによって違いますが、普段から新しい場所で緊張しがちな子どもは、お泊まりのときにはより配慮が必要です。」
お泊まり保育:事前フォローで「予想外の不安」を減らす
では、いつも通っている幼稚園など、慣れ親しんだ場所でのお泊まりなら、不安に感じることはないのでしょうか?
「例えば、外が暗くなってきたり、肝試しをして遊ぶなど“いつもと違う”取り組みや気配に気が付くと、見慣れた場所であってもたちまち不安になる子どももいます」と松原さん。お友達と元気に遊んでいるときは気づかないけれど、そうしたきっかけでふと我にかえり「お母さんがいない!」と泣き出す子もいるそうです。
「夜の園は、子どもにとっては未知の世界。安全に過ごせるかどうか、これから何が起こるのか、経験がないから想像できないのです。すると、心細い気持ちになってくることがあるのです。」
でも、できるなら、お泊まり保育を楽しんでほしい!
ママがサポートできることはないのでしょうか。
「事前に、お泊まり保育での1日の流れを、子どもに教えておいてあげてほしいですね。『○時になったらごはんがでるよ、みんなでいっしょに食べるんだよ』、『お友達とお布団を並べて寝るんだよ』、など、子どもが想像できるように具体的なイメージをふくらませるのがコツです。『ごはん、何かな?』『お友達とどんなお話ししようか?』など、期待を膨らませてあげるのも効果的ですよ。」
お泊まりでどういうことをするのか事前に教えれば、子どもは心の準備ができます。そうすることで、当日子どもが感じる「予想外の不安」を減らしてあげられるのですね。
旅行先:ママとのコミュニケーションで安心を増やして
帰省や家族旅行など、ママもいっしょに泊まる場合は、不安は少なくなるのでしょうか。
「知らない、慣れていない場所に対する不安がある子もいます。不安を解消するために、ホテルや実家のいろんな部屋の扉を開けてみるなど、落ち着かない行動をとることも。ママの手を引っ張る時には、いっしょに探検してあげてください。」
「ここは何もないね」「ここはトイレだよ」とママといっしょに確認していくことで安心が増え、子どもは少しずついろんな場所の“安全”を認識していくのだとか。
さらに、いつも以上にスキンシップをとってあげることも、子どもの不安解消につながると松原さんは言います。
「安心できるママのそばにいることで、子どもの気持ちは落ち着きます。不安そうにしていたら『ママがそばにいるよ』とやさしく声をかけ、寄り添ってあげてください。」
さらに、無事にお泊まりが終わったあとも、大切なフォローが。
「『知らない場所なのにちゃんと寝れたね』『おにいさん(おねえさん)だったね』『素敵だったね』と、子どものがんばりを認め、気持ちを受け止めてほしいのです。慣れない場所で眠るということは、子どもにとって大きなチャレンジ。達成感や自信につながるように、 “お泊まり”という冒険から立派に帰ってきた勇者を、たたえてあげてくださいね。」
認められると、チャレンジが成功体験に変わると松原さん。
家族での旅行をどんどん楽しんでいけるように、たくさん認めて、自信を持たせてあげたいですね。
お話を聞いたのは…
松原美里さん
保育・育児アドバイザー。コーチングや心理学をベースとした保育士向けのコミュニケーション講座を定期的に開催。元All About「育児の基礎知識」ガイドとして78本の記事を執筆している。横浜市の認定こども園エクレス 保育園部の施設長。
保育士・子育て中の悩みに心理学&コーチングアドバイス!~保育・育児コミュニケーション
ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。
※2015年7月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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