小学生になると、夏休みには自由研究の宿題があり、科学の不思議に触れることができますよね。でも、できればもっと小さなころから科学に興味を持たせたい!ということで、時間のある夏休みに幼稚園児でも簡単にできる実験遊びをご紹介。麻布科学実験教室室長の阿部昌浩さんに教えていただきました。
小さい子どもでも科学に興味を持たせるコツは?
「科学」というと、未就学児にはまだ難しいのでは?などとつい思ってしまいます。しかし、子どもたちの周りには不思議がいっぱいあふれていて、大人の働きかけ一つで、幼いうちから科学に興味を持たせることができるのだと阿部先生は言います。
「『科学する心』とは、身の回りの自然の現象を、自分の手で確かめることから始まります。大人が『危ないからダメよ』『汚いからやめなさい』と止めてしまうと、科学に触れる機会がどんどん少なくなってしまいます。それでは、科学への興味も生まれません。」
「自然の中にある不思議な現象や、規則性を発見する喜びは、子どもたちにとって素晴らしい、貴重な経験です。『発見する喜び』から『豊かな発想』が生まれ、それを繰り返すことにより、『科学する心』が育っていきます。特に、幼児期の子どもは、こういった感性が突出しています。大人の価値観で子どものすることを止めたりせずに、この時期にさまざまな体験、発見をさせてあげることがとても大切です。」
こうした科学への興味を遊びの中で育ててくれるのが、今回ご紹介する「実験遊び」。実験遊びをするときも、なるべく大人の価値観を押し付けず、子どもの行動・発言を見守る姿勢が大切なのだそう。
「大人はつい『この動きをすれば、こうなるはず』などと正解を決めてしまいがちです。でも、それでは子どもはつまらないと感じます。『これはこうだ』と決める前に、まずは子どもと共に目の前に起こっている現象をしっかりと観察しましょう。そして、子どもの着眼点がどこにあるのかを見つけ、何を不思議に思うのかぜひ聞いてみてください。大人が思いもよらないことを言ったり、試したりするかもしれませんが、そうしたサプライズも一緒に楽しみましょう。」
ただし、いくら自由に体験させるとは言っても、実験遊びは道具を使ったりすることもあるので、必ず親の管理下で行うこと。
「実験遊びをしていると、ついつい行き過ぎてしまうこともあります。怪我をしたり、人に迷惑をかけてしまいそうになったら、そこは大人が判断してストップしてあげましょう。」
それでは、実際に小さいこどもにおすすめの実験遊びを紹介していきましょう!
科学の不思議がいっぱいの『シャボン玉遊び』
「なぜ丸いの?」「触ると割れちゃうのはどうして?」「色が変わる理由は?」など、子どもの「なぜ」を引き出すのに最適なのがシャボン玉遊び。「なぜ」を意識することは、科学への第一歩となります。ただ膨らませるだけでも十分楽しく遊べますが、一工夫することでさらに可能性は広がります。
人形入りシャボン玉
【用意するもの】
小さめの人形、人形が乗るサイズのお皿、ストロー
- 人形、お皿、ストローを水につけてよく濡らします。
- お皿の上に人形を置きます。
- ストローでシャボン玉を作り、ストローとつなげたまま、シャボン玉をお皿に固定します。
- 静かにシャボン玉に息を吹き込んでいきます。
- 人形がシャボン玉にすっぽりと入ったら、ストローを抜きます。お皿のベースがあることでシャボン玉が大きく膨らみ、人形を包んでしまうことに子どもは驚くはずです。
目には見えないけれど、動きを感じられる『空気遊び』
普段は空気の存在を感じることはできませんが、風が起きた時、空気の動きを知ることができます。『普段は意識していないものを感じる』ことも、科学へ興味を持つ大きなポイントです。
飛び出すコップ
【用意するもの】
紙コップ2つ、たて3cm×よこ5cmぐらいの小さな厚紙1枚
- 2つの紙コップを軽く重ねます。
- 重ねた紙コップの間を狙って、強く息を吹き込みます。
- 上のコップが勢いよく飛んでいきます。2つのコップのすき間に空気が入り込み、上のコップが押し出されるからです。
- あまり飛ばないときは、重ねた紙コップの間に半分に折った厚紙をはさみます。厚紙によってコップにすき間ができて、空気が入りやすくなり、飛びやすくなります。厚紙のあり・なしの違いを楽しんだり、コップを飛ばすことにより、空気の流れ、強さを確認できます。
ものが振動することで生まれる『音遊び』
音が出る仕組みは、子どもにとってとても興味深いものです。空気やものが振動することによって音は生まれ、伝わる、ということを、身を持って感じられる遊びがおすすめです。
ビックリ音
【用意するもの】
紙コップ、糸、ストロー、セロハンテープ、針など穴を開けられるもの、濡れたハンカチ
- ストローを3㎝ほどに切って、糸を通して、結びます。糸は30〜50㎝ほど残しておきます。
- 紙コップの底に、穴を1つ開けます。「1」の糸を通して、糸を引っ張り、ストローを紙コップの底にセロハンテープで固定します。
- 糸を濡れたハンカチで強くしごくと、振動とともに「グァワワワ〜〜〜」と大きな音が鳴ります。糸を手でしごくことで振動を感じ、音が鳴る仕組みを知ることができるはずです。
簡単ながら、大人でも興味深い実験遊びの数々。どれも自宅ですぐにできるものばかりなので、時間のある夏休みに、ぜひ子どもと一緒に楽しみましょう!
お話を聞いたのは…
麻布科学実験教室室長 阿部昌浩さん
教育評論家・阿部進氏の長男として生まれる。東海大学海洋学部修士課程を卒業後、㈱創造教育センターに入社。以後、おもに理科実験専門の教室「麻布科学実験教室」の講師として活躍。現在、同教室の室長を務める。また幼児期における自然科学教育の研究と普及にも取り組み、幼児教育者対象の講習会、幼児対象の「科学あそび」の実践を精力的におこなっている。著書に『やりたいときにすぐできる! 科学あそび』(㈱メイト)がある。
未来屋書店WEBサイト
ライター紹介
野々山 幸
1979年生まれ。ライター。芸能インタビューから美容・健康、恋愛、結婚、育児に至るまで、“女性が興味のあること”をテーマに書き続けて早15年。2歳の女の子と0歳の男の子の母でもあり、毎朝5時起床で目まぐるしい日々を送る。今最も知りたいことは、「帰宅して15分で作れる子どもごはんのレシピ」。
※2015年8月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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