子どもを算数好きにする方法! 苦手&嫌いを作らない知育遊び

入学・進学すると苦手意識を持つ子が多い「算数」や「数学」。一度苦手だと思ってしまうと学習意欲が低下してしまうので、その前に親がサポートできることがあればいいですね。今回は『「算数が得意な子」にするために親ができること』の著者である和田聖子さんに、算数・数学的思考を身につけるのに役立つ遊びや、生活の中でできる工夫を教えていただきました。

「普通の子」でも算数が得意になれる!

和田さんのお子さんは、世界的に活躍するエリートを数多く生み出している「ジュニア算数オリンピック」の金メダリスト(2013年)。もともと「算数が得意になる」要因や環境がありそうに思えますが、和田さん自身は算数や数学が大の苦手。ご主人は育児に関心がなく、お子さんもいわゆる「算数センスがある」タイプではなかったそうです。そんな「普通の家の普通の子」に算数・数学的思考を身につけさせるには、どうしたらよいのでしょうか?

「親子ともに楽しむことが大切です。就学前なら『ここの長さはどのくらいだろうね〜』『調べて教えてくれる?』などと声をかけて計算や計測の機会を多く作り、身近な『数字』の発見を一緒に楽しみましょう。子どもに計測してもらいお礼を言えば、家族の役に立つ喜びも感じさせられます」

入学後の親の役割は、『算数の勉強を教えること』ではなく『算数の勉強を楽しいと思わせること』。机の上の勉強が嫌いであれば、無理強いする必要はありません。親子で問題を作って出し合う習慣をつけ、算数が毎日の生活の中で役立つことをゲーム感覚で体感させます。『自分は算数が得意』と子どもに思わせることが重要なので、問題を解いたときは細かなミスの指摘はせず、考えた経緯をほめましょう。ただし、数字の感覚をつかむのに重要な単位の間違いだけは、冗談を交えて指摘します

遊びながら「算数脳」になれるおもちゃは?

遊びながら数学的な思考法を育む「おもちゃ」というと、パズルやタングラム、積み木、ブロックなどの知育おもちゃ、迷路や点つなぎなどのプリントワークが思い浮かびます。2016年に史上最年少でプロ棋士となり、現在も快進撃を続ける藤井聡太さんが、小さいころから立体パズルで遊んでいたというエピソードも有名です。

さまざまな商品の中から、和田さんおすすめのアイテムを紹介していただきました。

就学前に:「デジタル九九はやおぼえ」

デジタル九九はやおぼえ/学研ステイフル ※現在メーカー在庫なし

「九九はポスターなどもありますが、このおもちゃは眺めるだけでなく手を動かすので、ゲーム感覚で楽しめて記憶も定着しやすいです。問題と答えを音読させて、とにかくほめましょう。また、左上から右下への対角線をはさんだ答えが同じことを発見させると、規則性の理解にもつながります

入学後に:「ルービックキューブ」

ルービックキューブ ver.2.0/メガハウス (C)1974 Rubik’s(R) Used under licence Rubiks Brand Ltd. All rights reserved.

両手の指先や視覚を存分に使うので脳全体を刺激でき、集中力や論理的思考も身につきます。いつでも手の届く場所に置いておき、まずは1面からチャレンジ。6面すべてを揃えられるようになったら、きょうだいや友達とタイムを競わせます」

就学前&入学後に:「図形キューブつみき」

図形キューブつみき/くもん出版

色や数を覚えたり数えたりする勉強から、立体作品づくりや四則演算まで幅広い年齢の学習で活用できます。就学前なら例題カードを見ながらその通りに形を作ったり、色ごとに数を変えて並べて足し算や引き算を考えたりして遊べます。入学後は並べたものをかけ算や割り算に活用したり、立体作品に何個のつみきを使っているか工夫して計算させたりする使い方ができます」

暮らしや遊びの中にもチャンスがいっぱい!

また、おもちゃや特別な道具を使わなくても、毎日の暮らしや遊びの中には算数・数学的思考を身につけるチャンスがあふれているそうです。実際に和田さんがお子さんとやっていたことをいくつか教えていただきました。

カレンダー

数字を読むことから始まって平均値を考えるところまで、幅広い年齢で活用できます。就学前なら、『〇日の〇日後は〇日?』と足し算をさせたり、縦の数字を隠しながら『7』を足したりする問題が出せます。入学後は暗算の練習や、平均値を体感させる道具に。3日×3列を囲んで中にある数字をすべて足してから9で割ると、必ず中央の数字になります

折り紙

空間認知力や想像力が養え、指先を使うので器用になります。就学前は、折り方の見本を見ながら同じ作品を作ったり、四角や三角の形を覚えさせたり。『〇回折ると紙が何枚になる?』などと、重なりを使って倍数の感覚を身につけさせることもできます。また、折ってから一部を切り取り『広げるとどうなるかな?』と聞いてみるのもおすすめ。予想させてから実際の折り紙で答え合わせをしましょう。入学後は難易度の高い作品に挑戦させつつ、折る間の図形や面積の変化を意識させます。定規や分度器も併用すれば、角度や面積の問題を出したり、ピタゴラスの定理を体感させたりできます」

マーブルチョコレート

四則演算から割合、面積、体積までいろいろな問題が作れます。就学前は『〇色と〇色の数を足した数は?』『〇色から〇色の数を引いた数は?』と簡単な足し算・引き算から。たくさん並べて、かけ算や割り算を体感させることもできます。また、箱の長さを予想させてから測れば、『cm』という単位を体で感じさせられます。入学後は『〇色は全体の何割ある?』というような問題もいいですし、箱の面積や体積を求めてもいいですね

買い物

円という単位をつけるだけで計算問題が一気に身近に! 就学前なら駄菓子など好きなものを持たせて合計金額を予測させます。入学後ならレシートの合計金額部分を隠し、合っているかゲーム感覚で計算を。割引商品は割合を体感させる絶好のチャンスです

電車やバスでの移動

「わざわざ時間を割かなくてもできます。就学前なら車両の長さを事前に調べておいて実物を見ることで単位を体感させます。入学後なら距離や速度、駅に着く時刻を事前に調べておいて、乗車中に問題を考えます。また、『スマホを出している人の割合』『寝ている人の割合』など、その場で観察して答える問題も新しい発見があって楽しめます

公園での外遊び

「遊んでいるほかの子どもや公園の遊具が教材に早がわり! 就学前なら、その場にいる子どもの人数を数えたり、『3人来て1人帰ったら、何人残るかな?』などと足し算やひき算の問題を出したりします。入学後なら、歩幅を利用して遊具や砂場の長さを測り、面積を出すなどの問題が作れます」

大人でも素直に感心したり、楽しめたりする方法がたくさんありますね。
「終わったら『たくさんアタマを使ったから糖分を補給しなくちゃ』などと言いながらおやつをあげて、『算数を考えるといいことが起こる!』を定着させることもポイントだと思います(笑)」と和田さん。生活の中で簡単にできることも多いので、気楽に少しずつ試してみてはいかがでしょうか。

お話を聞いたのは…
和田 聖子さん
東京都下町生まれ。高校卒業後は帝国ホテルに入社し、現在は通信販売会社のコールセンターで働く”ごく普通のパート主婦”。「ジュニア算数オリンピック」の金メダリストで今は中学3年生の怜士くんと小学5年生の匡生くんの男子2児の母。
著書「「算数が得意な子」にするために親ができること」

ライター紹介
高柳 涼子
雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

※2017年6月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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