新生活こそ要注意! 子どものストレス原因&親の対処法

入園や入学などによる大きな環境変化は、子どもでもストレスがたまりやすいもの。ストレスがたまると、子どもにどんな変化が見られるのでしょうか。心の問題に取り組む専門家に、親がすべきことも踏まえて聞きました。

新生活は子どもにとって不安な環境

そもそも、入園や入学といった環境の変化の中で子どもはどんなことにストレスを感じるのでしょうか。

「入園なら親と、入学なら幼稚園の先生や仲の良かったお友だちと離れますよね。つまり新生活は、子どもにとって安心できる人がいない環境なのです。これが不安とストレスを生む大きな要因です」

こう答えてくれたのは、谷町こどもセンター(大阪市)で所長を務める臨床心理士の日下紀子さん。

「子どもたちは新しい環境の中で、先生や同級生など周りの人が安心できる存在かどうかを無意識にさぐります。それを毎日繰り返すことがストレスになる子もいます」

大人でも親しい人がいない新しい職場や環境では、周りになじめるかどうか不安になるもの。そうした経験が初めての子どもは、より不安が大きそうです。

「入園」と「入学」で違うストレスポイント

さらに、入園と入学それぞれで子どもがストレスを感じやすいポイントについても教えてもらいました。

入園であれば、おもちゃや遊具をたくさんの子どもと分け合うこと。それまでは全部『自分のもの』だったおもちゃが、『みんなのもの』に変わります。すると、順番というルールや譲るという行為を経験することになります。兄弟や公園で会うお友達との遊びの中でこうした経験をしている子もいますが、幼稚園では一緒に遊ぶ人数が一気に増えるので、戸惑うことも少なくないのです

さらに、おもちゃの取り合いに負けた際に、フォローしてくれるママが側にいない状況です。先生との信頼関係がまだできあがっていない時期であれば、悲しい気持ちを誰に伝えればいいのかわからなくて不安になってしまいます

「一方、入学の場合は『長い時間じっと椅子に座って授業を聞かなくてはならない』という初めての経験。飽きたからといって席を自由に立てないのが、幼稚園との大きな違いです。また、周りと自分を比べ始める年齢でもあるので、『お友達はできているのに自分はできない』と、勉強や体育での成績を比べて落ち込む子もいます

入園や入学は、子どもにとって想像以上に大きな変化があるもの。では、ストレスがたまると子どもにはどんな変化が見られるのでしょうか。

心と体に現れるSOSのサイン

ストレスの症状は、心と体に分かれます。個人差が大きいので一概には言えませんが、一般的なSOSのサインは次のような症状です。

■心の変化

・イライラしやすい、怒りっぽくなる
・急に落ち込む
・感情の起伏が激しくなる

■体の変化

・食欲がなくなる
・便秘・下痢
・熱が出る
・睡眠の変化(寝つきが悪い、朝起きられない、すぐ眠くなるなど)

ポイントは「普段と様子が違う」ことに気づいてあげること。元気そうに見えていても体だけに症状が出る子もいるので、子どもの様子をよく観察してあげることが大切です。

「ママなら聞いてくれる」という安心感を!

では、「ひょっとして、ストレスかな…?」と感じる変化が子どもにあった場合、親はどんなことをしてあげればよいのでしょうか。

「まずは、子どもが何にストレスを感じているのか、親がキャッチしてあげることが大切です。『今日は何をしたの?』など、園や学校での様子を聞いてあげてほしいですね」

なかには、「ママに心配をかけたくない」という気持ちから、自分からは話をしたがらない子どももいます。子どもから話してくるのを待つだけでなく、話をしやすい空気を作ってあげることも大事だそうです

「『ママなら聞いてくれる』という環境を整えておけば、子どもは何かあったときにちゃんと話してくれるようになります。逆に、『ママは聞いてくれない』と思うと、一人でストレスを抱え込んでしまうことも…。耳を傾ける姿勢を見せてあげることが安心につながります

なお、我慢強くてなかなか話してくれない子どもの場合は、先生に園や学校での様子を聞いてみるのも良いそうです。

ストレス緩和のための方法は?

子どものストレスの原因に気づいたら、親としてはそのストレスを緩和してあげたいもの。ストレスを緩和するためには、どんなコミュニケーションをとればいいのでしょうか。

「幼稚園の場合は、『ママがいない』という不安がストレスにつながるケースが多いので、見通しを立ててあげると良いと思います

「○時にお迎えに行くね」と話しておくだけで、「その時間までがんばればいいんだ!」と、子どもの不安が一つ減るのだそう。約束の時間よりも遅れそうなときは必ず園に連絡を入れ、先生から子どもに「ママは○○の用事で、○時にお迎えに来ることになったよ」と伝えてもらいましょう。また、約束を守れなかったときは、「遅れちゃってごめんね」と謝ったあとに理由を伝えることがママに対する信頼感をアップさせます

「また、ママと離れるときに泣いていた子どもには、お迎えのときに『がんばったね!』『えらかったね!』と声をかけてあげましょう。ママに褒められたことで『自分は頑張れる』と思えるようになり、ストレス耐性が強くなっていきますよ

小学生には「今できていることを認める」

一方で、小学生の場合は、「スモールステップを用意する」「がんばりを認める」ことが大切なのだそう

「勉強や体育で遅れをとっていることがストレスにつながっているのなら、少し頑張れば乗り越えられそうな目標を一緒に立ててあげるのがいいでしょう

跳び箱が跳べないのなら「まずは3段から挑戦しよう!」、計算が苦手なら「まずは1桁の足し算ができるようになろう!」など、少しの頑張りでできそうなことを目標にしてあげるのがポイント。「すごいね!」と認めてあげることを繰り返せば、子どもは「できる喜び」を感じながら成長していきます

「できる喜びを感じることは、チャレンジを楽しいと思えることにつながります。親はどうしても『みんなできているのに』と、よその子と比べてしまいがちですが、『自分はできない子だ』と思ってしまうと頑張る気持ちや挑戦する気持ちが抑えられてしまいます。人とではなく、我が子の過去と比べての成長を認めてあげることが大切です

親に認めてもらえることが、子どもにとって一番うれしいこと。成長の仕方は個人差があって当然なので、我が子が「今できていること」を認めてあげることが大切ですね。

ストレスは成長のために必要不可欠

最後に日下さんは、「ストレスは成長のために必要なこと。ストレスをすべてなくそうとは思わないでほしい」と話します。

「苦手な先生がいることも授業が長いことも、なくならないものであり、それが社会です。だからこそ、ストレスを乗り越える経験は子どもの成長に欠かせないのです。ストレスの乗り越え方を覚えていくのも、社会で生きていくための能力の一つ。ストレスをすべて排除しようとするのではなく、ストレスを和らげるようサポートしてあげてほしいですね」

環境の変化による子どものストレスは、親にとっても心配なもの。ですが、社会で強く生きていくためにはストレスの乗り越え方も覚えていかなくてはなりません。ストレスをためすぎないようにサポートしながら、見守る姿勢が大切なのですね。

お話を聞いたのは…
日下 紀子さん
臨床心理士。教育学博士。精神科の診療所で臨床心理士として活躍後、親子のカウンセリングを行う「谷町こどもセンター」(大阪市)へ入所。現在は所長として、12名の臨床心理士と共に、日々親子の成長をサポートしている。
谷町こどもセンター

ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

※2017年5月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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