今注目の習い事「ロボット教室」ではどんな授業が繰り広げられているのでしょうか? ロボットクリエーターの第一人者・高橋智隆氏監修のロボット教室を取材しました。
文部科学省も認める! 子供につけさせたい「理系」能力
2015年3月、文部科学省は「理工系人材育成戦略」として、全国の公立大学を中心に理系に力を入れていくことを発表しました。実際に、就職に有利なのは理系だとすれば、我が子の“理系脳”の育て方が気になるのは当然のことですよね。そんな、「うちの子を“リケダン、リケジョ”に!」と考えるファミリーの人気を集めている習い事のひとつが、ロボット教室です。
ロボット教室は楽しい!
ロボット教室とは、いったいどんな授業が行われるのでしょうか? 特殊な機器の教材を使ったり、パソコンにプログラミング言語を打ち込んだりしているの…? と、子供には少し難しいものを想像してしまいますが、実際は、子供たちが夢中でやりたくなる!そんな授業が繰り広げられていました。
ロボットクリエイターの第一人者・高橋智隆氏がアドバイザーのロボット教室をのぞいてみると!?
今回の取材でおうかがいしたのは、全国に850以上の教室を持つ専門教育機関・ヒューマンアカデミー主催のロボット教室。すべての都道府県に1カ所以上、東京都内だけでも130教室が存在する、日本最大規模の教室です。
この教室の人気の理由は、なんといってもロボットクリエイターの第一人者・高橋智隆氏がアドバイザーとして参加しているところ。世界初の人型宇宙飛行士ロボット『キロボ』や『ロビ』、最近ではSHARPより発売された『ロボホン』の開発で知られる高橋氏は、教室に通う子供にとっても憧れの存在。
高橋氏が開発したコンテンツを使って、毎月2回の授業で1体のロボットを製作・改造(カスタマイズ)、1年で計12体を完成させます。
子供が大好きなブロックの教具でロボットを組み立て!
また、子供に馴染みのあるブロックを教具にして、ブロック遊びをする感覚でロボットを組み立て、楽しみながらロボットのしくみを学ぶ、という点も人気理由のひとつ。
楽しく動くロボットを作ることで、ロボット関連の知識や技能だけでなく、「空間認識能力」、「創造力」、「課題発見力」など、さまざまな能力開花も期待できる、ロボット教室を詳しく紹介していきます。
ロボット教室の授業の中身は?
入会時に購入するオリジナルのブロックキットも、高橋氏の監修。教室に入ったら、まずこのキットを机の上に広げて準備をします。子供たちはすでにワクワクした表情で、授業の開始が待ちきれない様子です。
子供たちが集まったら、先生の「始めましょう!」という声で授業がスタートします。取材にうかがった自由が丘駅前教室では、先生が2人(この日の生徒は6人)。ヒューマンのロボット教室は、基本的に自分の力でブロックの組み立てを進め、どうしてもわからないときだけ先生に質問するという自学自習方式です。
問題の答えを教えるのではなく解決の手助けをする!
自由が丘駅前教室主催の高阪綾子先生も、「子供が自分の力で作り上げることを大切にして、指導しています。わからないことがあった時は、答えではなくて、参考になるテキストの場所を示し、自分で作ることの手助けをするようにしています」
プログラミングとともに読解力や集中力も総合的に伸びる
ロボット教室というと、パソコンを使ってプログラミングを…というイメージがありますよね。
ヒューマンアカデミーでは、「いこーよ」世代の小学校低学年くらいまでの子供の場合、パソコンを使った活動はなく、もっぱらモーターを使った動くロボットの組み立てがメインです。
この段階では、クリエイティブを生み出す感性(=創造力)を養ったり、動力などの仕組みを体感させることが目的。ここでベースを作って、小学6年生になったら、いよいよみなさんがイメージするようなプログラミングのコースにすすみます。
夢中でロボット作成に取り組む子供たち!
自分で組み立てることで読解力や集中力を養うためにも、ロボット作りに自然に専念できるようにさせることが先生の役割だといいます。
組み立てに失敗しても、何度もあきらめずにやり直していくことで、自然と理数系の基礎力が身についていきます(子供の習熟レベルによって、作るロボットの種類は異なります)。
手際よく怪獣を組み立てていく子供たち。なかなか難しそうに見えますが…。1年生からロボット教室に通っているという小学3年生の男の子に聞いてみると、「楽しいから夢中になってやっていたら、できるようになったんだ!」と、頼もしいひと言が返ってきました。
また、実際に小学1年生の男の子を通わせる保護者は、「もともと親子でレゴブロック遊びが大好きで。集中力の訓練にもなると思って、こちらに通わせることにしました。高橋先生がアドバイザーだけあって、しっかりしたプログラムだと感じています。ステップアップ式なので長期にわたって続けられるところが魅力です」と、魅力を話してくださいました。
子供のアイデアを見守るからこそ、力がついていく
本当に楽しそうな表情の子供たちですが、いつもこんなふうに集中してロボット作りに取り組んでくれるものなのでしょうか。
「少し難しい課題や、学校ですごく疲れてきたときは、自分で好きなものを作らせて、気持ちが乗ってきたときに課題に向き合わせるようにしています。なにかしらの「しくみ」ができていて、ロボットとして成立しているものを自分で作り上げることは、それだけでもとても素晴らしいことです。
もちろん、突然イメージがふくらんで好きなものを作り始めても、見守っています。そのかわり、好きなものを作って、はいおしまい!というようにはさせないようにもしています」(高坂先生)
こういった方針が、子供の自主性を高めてくれるとこの日子供を通わせていた小学1年生の男の子の保護者が教えてくれました。
「テキストから発想をふくらませて自分のアイデアで作ってしまうときも、自分なりに工夫してロボットを改造することで、着眼点が広がってるように思います。図面どおりではなく、自分で取り組めることが、夢中で取り組める理由かもしれません」(保護者)
5歳から取り組めるロボット作り
新設されたばかりのプライマリーコースは、5歳〜6歳の低年齢児から受講ができます。小さい子供が読めるように、ひらがなの表記で写真を多くとりいれたテキストを使います。
この日は相撲ロボットを組み立て、2台を戦わせる相撲ファイトで盛り上がりました。遊びながら、数の概念やひらがなカタカナが覚えられる…というところが、未就学児の保護者に人気を呼びそうですね!
夏には、ロボット教室の全国大会も開催!
また、夏には東京大学を会場にした、ロボット教室の全国大会も開催。 15歳以下の子供たちが創作し、地区予選を勝ち抜いたオリジナルロボットのコンテストが開催されます。高橋氏が審査委員長をつとめるなど、子供のモチベーションとやる気を育んでくれます。
いかがでしたか? 体験授業も気軽に受けられるので、気になったら一度試してみてはいかがでしょうか。次回は、博物館系の科学教室を紹介したいと思います。
他にも! 注目のキッズロボット教室
LITALICOワンダー(りたりこワンダー)
ブロックを組み立て、パソコンでプログラミングして動かす「ロボットクリエイト
コース」(年長〜)や、ロボット製作とプログラミング制御を学ぶ「ロボットテクニカルコース」(小4〜)など、小さいうちからパソコンを使ってプログラミングを学ぶコース設定で人気の教室。ものづくりに没頭する中で、自分で考える力、自発的に自分のアイデアで試行錯誤しながら作る力、自分の意見を伝える力などを、楽しみながら身に付けることができます。
ライター紹介
有賀 まゆ
ファッションにグルメにとても感度の高いママ編集者兼ライター。フットワークも軽く、子どもをつれてどんどんお出かけして、情報を集めています!
※2016年6月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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