前回の記事では、脳医学者で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授に、未就学児の好奇心の育み方について、コツやポイントを教えて頂きました。

東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授 Photo:Yoshinori Kurosawa
今回は、小学生以上(児童期)の子ども向けに、成長過程にあわせた効果的な能力の伸ばし方やおすすめの生活習慣についてお話を伺いました。
【子どもの「好奇心の育て方」特集】
Part1 伸びる子どもの共通点とは?
Part2 好奇心を育む「自然体験」
Part3 年齢別「好奇心」の育て方
Part4 小学生が身につけるべきスキルとは?(この記事)
低学年~:言語の発達がピークを迎える!
未来:就学前の時期は、音楽やスポーツを始めると伸びやすいということでしたが、小学校に上がるとどう変化するのでしょうか?
小学校低学年の頃におすすめなのは、英語をはじめとする第二言語の習得です。言語の発達は8~10歳にピークを迎えるので、この頃に英語のリスニングやスピーキングを積極的にしていると後に英語の能力が伸びる可能性が高くなります。
未来:小学校の英語教育は3年生から始まりますが、低学年の子どもにおすすめの英語学習法はありますか?
楽しいものと組み合わせることです。洋楽を聞いたり、音声を英語(日本語字幕)にして映画を見たりして、まずは少しでも英語に触れられる環境を作ってあげましょう。こうして少しずつ英語に触れておくことで、英語学習に対するハードルが下がります。読み書きは後でもいいので、言語能力の発達が著しいこの時期に、リスニングやスピーキングの力を磨いてあげることが大切です。
また、親子で英語を習い始めるのもおすすめです。共通の話題ができるので、親子のコミュニケーションが深まります。さらに、子どもは親の『模倣』をして育ちます。親が楽しそうに学ぶ姿を見れば、子どもも自然と学ぶようになるのです。ですから、親子で一緒に取り組むとより効果的だと思います。
高学年~:リアルな会話でコミュニケーション能力を磨く!
未来:高学年に伸ばしたい能力はどんなものでしょうか?
10歳頃から思春期にかけては、コミュニケーションや対人関係に関わる部分が著しく発達します。脳は後ろから前に向かって成長していくのですが、最後に発達するのが前頭葉、なかでも前頭前野と呼ばれる部分です。
ここは、物事を考えたり、判断したり、洞察したり、コミュニケーションをとったりする高次認知機能を担う部分です。そして、この部分が発達することにより、相手の表情や仕草から気持ちを読み取るなど、より高度なコミュニケーションがとれるようになるのです。
未来:子どものコミュニケーション能力を高めるためには、どんなことを意識すればよいのでしょう?
とにかくリアルなコミュニケーションを増やすことです。最近はSNSの普及と共に、共感力の低下が問題視されていますが、相手の表情が読めない文字コミュニケーションでは共感性は育まれません。家族や友人と顔と顔を突き合わせて会話をするなかで、相手の表情から気持ちを読み取る訓練を重ねることで、子どもの共感性は高まります。
クラブ活動などでチームプレイを経験したり、近所の大人や年下の子どもと接したりするのもコミュニケーション能力を磨くのに最適です。家族の会話はもちろん、このようにさまざまな人とコミュニケーションをとる機会をつくってあげることが大切でしょう。