多様な個性を認め合える空間
窓や壁などには赤や青、緑、オレンジなどさまざまな色が使われています。色だけでなく流し台など、配置しているものの形もあえてバラバラにしているのが印象的でした。これは「その場所にいるだけで『同じでなくても大丈夫だよ』ということが伝わるような、多様な個性を認め合える空間を目指している」のだとか。
取材時にはトイレも見せてもらいましたが、そこでもさまざまな色が使われていて、トイレが楽しい空間になっていました。トイレそのもののイメージも明るくなりそうです。
好奇心を刺激する窓と天窓
窓はすべて出窓になっていて、鮮やかな色がついていることもあって、まるで別世界の入口のよう。これは子どもの好奇心を刺激しそうですね。また、晴れた日は天窓から入ってくる日差しが明るくて心地いいです。自分自身も取材中に、思わず天井を見上げてしまってから「あっ、この天窓の存在も空間認識能力につながっているのか!」と感心しました。
シンプルな環境の中で遊びやルールを作るなかで想像力を養う
園庭にはブランコやシーソーのような遊具はなく、小さな山と砂、水遊びができる小さな池があります。シンプルな環境においてみんなで遊びを考え、ルールを作っていくのが狙いです。
初めから遊び方が決まっているものよりも、新しい遊びを生み出していく想像力が養われそうですね。ここでも山や池などに高低差があって空間把握能力を養えるほか、「木登りができる」くらいに成長する木も植えられています。昔は公園などで気軽に木登りができましたが、現在ではできる場所は限られています。将来的な話にはなりますが、子どもにとっては貴重な経験ができる場所になりそうです。
キッズラボ南流山には、チームラボが大切にしたい体験が詰まっていた!
「キッズラボ南流山」は、お台場にある地図のないミュージアム「チームラボボーダレス」などのようにデジタル技術を駆使した建物ではありません。しかし、じつは「ボーダレス」との共通点を見出すことができます。「ボーダレス」は、その名の通りそれぞれの作品の境界があいまいなことが特徴のひとつ。「キッズラボ南流山」も外庭と中庭、室内がつながっていて境界があいまいになっています。そのあいまいな空間の中で、それぞれが好きなことをしていくことが個性や多様性を受け入れることにつながっていきます。
また「ボーダレス」内には「チームラボアスレチックス 運動の森」という「身体で世界をとらえ、そして立体的に考える」というコンセプトのフロアがあります。これはまさに「キッズラボ南流山」外庭の砂場と内庭のネット遊具、絵本コーナーなど立体的な遊びを通して「空間認識能力」を高める試みと共通しているといえるでしょう。
「未来へいこーよ」では「キッズラボ南流山」を設計したチームラボアーキテクツの代表・河田将吾さんへのインタビュー記事を掲載しています。「キッズラボ南流山」で身につけさせたい能力についてや、世界を舞台に活躍する河田さんの子ども時代についてもお伺いしていますので、ぜひご覧ください。
チームラボの建築集団が保育園を設立! 「幼児期に学ばせたい将来に必要な能力」とは?(インタビュー前編へ)
河田氏が建築家になるきっかけを作った「何気ない母の言葉」とは?(インタビュー後編へ)
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