子どもの頃は「好きでやりたいこと」をなんでも応援してもらえた
未来:「好き」なことを突き詰めて、パズルクリエイターにまでなったアドリアンさんですが、子どもの頃はどんなもので遊んでいましたか?
そうですね。我が家には弟がいたので一緒にレゴで遊んでいました。まずは説明書に従って作ってみて「このピースがあるから、どんなものが作れるか」というのを弟と考えて作りました。それから「誰が一番かっこいい宇宙船が作れるか」説明書通りでない作り方を競うようなこともしていましたね。

未来:それは想像力が高まりそうな遊び方! 身近に一緒に作る相手や競争できる相手がいたというのはよかったですね。子ども時代に周りの大人から言われたことで印象的だったことはありますか?
とにかく「自分が好きなことがあれば世界一になるように」と言われていました。
未来:それはそれで突き抜けてますね(笑)。怒られることなどもありましたか?
普通のケースで考えると、例えばテストで悪い成績だったときは怒られると思いますが、我が家では「なんで失敗したの?」と言われます。原因を深掘りして「なんでこうなった? 普段のあなただったら合格できるでしょ? もっといい点数が取れるでしょう? なんで失敗したの?」と言われて、本来持っている力を発揮するにはどうしたらよかったのかな? というような振り返りをしていましたね。
未来:「世界一になれるように」と言うことといい「なんで失敗したの? どうしたらよかったの?」と聞くことといい、アドリアンさんの実力を認めて信頼しているからこその問いかけですね。
そうですね。今の私があるのも、親が私の可能性を信じてくれていたからだと思います。
未来:子どもの頃の夢はなんでしたか?
夢は数学の大きな定理を発見することでした。中学生のときから数学が好きで、その後東京大学で数学博士になるくらい数学が好きだったんです。
未来:「数学は苦手」という子どもも多いと思いますが、数学のどんなところが好きですか?
「普遍性」が好きです。国や言葉が違っていても、同じ数学が成り立つというところが好きです。それと数学自体もパズルなんですよね。問題があって、これを解決しなければならない。その解決にツール(定理)が用意されているわけですが、それでも解決できなければ、自分でツール(定理)を作らなければならなく、そのために新しい発想力が必要となるのが好きです。
未来:答えがないものに対して自分で考えたり、発見するというものが好きなのでしょうか?
そうですね。とにかく、私は考えることが好きです。それに、私が発想した考えが「今まで他の人になかった」のであれば、とくにうれしいです。今まで、誰も考えたことがないことを見つけたい。そういう発想が出てくるように色々と考えて、工夫しています。
未来:「今まで誰も考えたことがないことを見つけたい」というのは数学やパズルなど、アドリアンさんが好きなものに全部つながってくるんですね。どうしたら、アドリアンさんのようになれるのでしょうか?
私が「好きでやりたい」と言ったことに、親が応援してくれたことがとても大事なポイントだと思います。とくに数学をしていてよく言われるのは「数学って社会で使えない。数学者として仕事をしてる人はいない。将来は数学の先生になる人が多い」ということで、親も一時期そう考えていたと思います。でも「それがあなたがやりたいことで、やっていてワクワクすることであればやり続けてください」と言ってくれて、その結果私は数学を生かした仕事につけたと思います。
未来:「数学以外のことにも興味を持ちなさい」とは言われたことはありますか?
数学がとくに好きでしたが、私自身いろいろなものに興味があって、学校の成績もどの科目もよかったので言われたことはないですね。学校で習うもの以外にもいろいろなものに興味があって、9歳の頃に日本語の勉強を始めました。そのきっかけはスペインで空手を習っていて、空手で使う言葉はなんという意味なのかを知りたくて、先生に聞いたら「意味がわからないけど日本語だ」と言われて(笑)。「じゃあ、自分で調べよう」と思って勉強し始めたのがきっかけです。じつは大学を卒業したあと、私は好きだった数理科学の分野の修士課程に行きたかったのですが、スペインにはその分野が勉強できる修士課程はなかったんです。そのころ東大で勉強できることを知り、「せっかく日本語もできるし、東大にいけるのであれば、応募してみよう」と思って日本に来ました。
未来:それはすごい。興味を持って習い始めた日本語が、周り回って好きな数学を極めるために役立ったんですね。好きでやっていた別々のことが、何かのきっかけでつながる瞬間って、不思議なんですけど意外にあるんですよね。
逆にたくさん好きなものがありすぎて親に「このなかで、どれが一番好き?」とも聞かれました。それが好きなら、どうやって将来的に暮らしていく? 知識をどう生かす? というようなことを聞かれて。
未来:今の「好き」という気持ちを大事にしつつ、子どもにそこまで考えさせるのはいいですね。子どもというより、大人同士の会話のようにも思えます。
親にしつこく日本語を勉強したいと言ったときも、普通の親なら「興味があるのは今だけでしょう」と思うかもしれませんが、「興味を持ったのなら、とりあえずやらせてみよう」と考えてくれたのは、とてもありがたかったです。







