学童で放課後を過ごしている子どもたちに、特別なワクワクとドキドキな体験をさせたい! そこで「未来へいこーよ」が学童施設や専門家とオンラインで連携しながら、小学校低学年を対象に、化石堀り体験を実施しました。子どもたちの好奇心や想像力がどんどん刺激された体験の内容をレポートします。
「化石」とは?
「化石」とは、大昔に地球に生息していた生き物が死んだあとに、地層の中で保存されて石になったものです。例えば海や湖の場合、魚や貝、恐竜などが死ぬと死がいが骨になって底に沈みます。生き物の死がいは、ほかの大きな生き物に食べられたり、朽ちてしまったり、微生物に分解されたりして形が残らないことが多いのですが、なくなる前に土砂が積もって地層に取り込まれると、閉じ込められたものが化石になることがあります。今回実施したのは、本物の地層を削りだしたブロック(原石)を子どもたちが割って、化石を取り出すイベントです。
約30万年前の地層の化石を掘ってみよう!
イベントは千葉県柏市にある「手作り科学館Exedra(エクセドラ)」と共同で行いました。参加者は小学校低学年がいる学童施設。手作り科学館Exedraと各学童施設をオンラインつなげて実施しました。まずはExedra副館長の宮本千尋さんから化石や地層の形成と、化石の取り出し方についてレクチャーを受けました。
今回の体験では、栃木県那須塩原市の「塩原化石湖」に堆積してできた地層のブロックを使います。栃木県は約1000万年までは海で、そこから地質活動で陸地になり、約30万年前には塩原化石湖が存在していたといわれています。つまり、子どもたちがこれから発見するのは、約30万年前の湖に生きていた植物などの化石なのです。
地層のブロックは大人の拳ほどの大きさ。ブロックの側面に見える層に沿って平タガネ(金属や岩石を加工するときに使う、先端が平らになっている金属の工具)をセットして、ハンマーで平タガネの上を叩いてブロックを割ります。層の間で割れると、ブロックの中に入っていた化石が見つかることがあるのです。
地層のブロックは1人あたり2個を配りました。天然物の原石を使っているので、当たりはずれはありますが、塩原の木の葉石はとてもよく化石が出ることで知られた地層ですので、小さい化石もカウントすれば、全員が何かしらの化石を見つけることができました。
参加している子どもは小学校低学年が中心ということもあり、タガネやハンマーを初めて使う人がほとんど。ハンマーが握った手からすっぽ抜けてほかの人に当たったり、指を打ってしまったりしないように、細心の注意を払いつつ、子どもたちに使い方を説明しました。
葉っぱや虫の化石が出て大興奮!
いよいよ化石掘りがスタート! 地層のブロックを割って、化石があるかどうかを探すのは、まさに宝探しのようなドキドキ感があります! 一見しただけではわからない小さな化石もあるので、目を皿のようにしてブロックの断面を観察します。
最初に真ん中で割ってしまうと、ブロックが小さくなって割りにくくなります。そのため、なるべく端の地層から狙っていくのがコツです。
どの層に化石があるかを予想し、タガネとハンマーで割り、中を確認する。その工程の中で子どもの好奇心と想像力が刺激されているのが見ているだけでも伝わります。化石を見つけたときは思わず大きな声が出てしまうくらい、驚きと感動がある体験です。

今回発掘した化石の一部。植物の葉の全体が入っているのはじつはかなりレアなのだとか!
スタッフや先生にもわからない化石が出たときは、手作り科学館Exedra館長の羽村太雅さんに聞いてみます。羽村さんは化石の写真を見ながら木の葉の種類を解説してくれました。なかには羽村さんが「ひょっとしたら、ガイドブックにも載っていない植物かも!」と驚いた化石も!

シダ系の植物のようですが、羽村先生も自信を持って同定できない植物だそうです。

小さな虫のようにも見える化石も発見!
発見した化石を同定してみよう!
塩原化石湖の地層からは、植物の葉の化石が最も多く出てきます。そこで、出てきた化石を「周辺がギザギザになっているか」など葉の形や葉脈の構造などの特徴を観察して、どの葉なのかを推測して記録カードに記入していきます。
手作り科学館 Exedraがオリジナルで作成した記録カードには種名や特徴、発掘日などを書く欄があります。カードを記入して化石と一緒に袋に入れたら化石標本の完成!
参加者の中には、割った化石を元通りに復元して持ち帰った人も!
体験の最後には、手作り科学館Exedraの宮本さんに子どもたちが直接質問するコーナーもあり、予定の1時間30分があっという間に終了。
後日、自分が見つけた化石を持ち帰ったお子さんが、家で化石を見せながら体験したことをたくさん話してくれたことを学童さんから伺って、主催側としてもとてもうれしくなりました。
化石堀り体験では、どんな化石が出るか想像することや、化石を探すときのドキドキ感、見つけたときの感動、出てきた化石を調べる観察などを通じて、子どものいろいろな感情を爆発させることができ、子どもにとってよい刺激になる特別な経験ができたと感じています。
これからも「未来へいこーよ」では、イベントと記事を通して、子どもたちがワクワクする未来へのお手伝いをしていきます。
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