こんな場所なら行ってみたい!地面の下の“ひみつのまち”|「もぐらバス」

不朽の名作から最新作まで、子どもたちの「ココロのスキル」をはぐくむ絵本を紹介するコラム。NHK教育の人気番組でおなじみのイラストがうれしい『もぐらバス』をご紹介。ほっこり癒されるストーリーと細部にこだわったイラストにもご注目!

みどころ

「もぐらバス」が走るのは、「もぐらけんせつ」が地面の下に作った町。マーケットに学校、病院まで暮らしに必要なものは一通りそろい、それぞれの施設をもぐらバスがつなぐ。とても住みやすそうな町だ。

私がこの町を気に入っている理由は、住人たちがとにかくのんびりしているから。もぐらバスが急ブレーキで停車し、その原因が大きなたけのこだと分かった時、バスのおきゃくさんは口々にこう言う。

「たけのこじゃ しかたない」
「たけのこじゃ しかたない」

そうしてたけのこを掘り起こす作業にかかった時間は、なんと1時間。その間バスに乗ってじっと待っていたおきゃくさんは怒るどころか、たけのこが無事抜けたと聞いてニコニコとうれしそう。

「こんなにのんびりした優しい世界が地面の下にあるかもしれない」と想像するだけで、肩の力がふっと抜けていく気がする。

考えてみれば、近頃は“どれだけ早いか”を求めすぎる。車や電車での最短経路やオンラインショッピングでの最短配送など、かかる時間が短いことの価値が高いとされているけれど、本当にそうだろうか? 少しあまのじゃくなところのある私は、たまにその流れに逆らってわざと時間がかかる方法を選んでみたりする。

例えば、出勤の前にする「朝の散歩」。会社までの所要時間は最短経路で行けば約1時間なのだけれど、余裕がある日はいつもより20分早く家を出て、会社の最寄りのひと駅手前で降り、朝の散歩を楽しむ。普段通らない道を歩くと素敵なお店を見つけたり、便利な抜け道を知れたりといろんな発見があるものだ。ゆったりした気持ちで一日が始まるので、なんだか気分もいい。

大人も子供も忙しい毎日を送る今。『もぐらバス』は、そんな私たちをひと休みさせてくれるような絵本。いつか私も、もぐらバスが走る町に行ってみたいなあ。

あらすじ(出版社Webサイトより)

ものおきのした 1ちょうめ、だれかんちのにわ3ちょうめ、こんなバス停見たことないですよね。地面の下の住人たちの小さなお話!

書名:もぐらバス
作:佐藤雅彦、うちのますみ
絵:ふりや なな
出版社:偕成社
発行日:2010年4月
ISBN:9784033318103
サイズ:19cm×26cm
ページ数:32ページ

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週5フルタイムで貿易事務として働くかたわら副業でライティングや韓国語翻訳にも精を出す日々。遠距離恋愛中。一見落ち着いたふうを装っているが実はかなりせっかち。趣味は韓国ドラマ鑑賞、散歩、ドラム、本屋をぶらぶらすること、ラジオを聴くこと。一番好きなお菓子は「アポロ」。

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