子どもができると自分の周りにはたくさんの「歌」が流れるようになりました。発達障害の息子は歌を口ずさむようになるまでに時間はかかりましたが、それをつぶさに観察していくと少しずつ成長していることに気がついたんです。今回はそんな歌が大好きな息子がオリジナルソングを作るまでをお話します。
最後まで歌わないのが気になる
息子が初めて歌を口にしたのは2歳5カ月のころ。「これっくらいの おべんとうばこに♪」の歌詞でおなじみ「おべんとうばこのうた」を手遊びをきっかけに覚えてくれました。
それ以降は映画「となりのトトロ」の挿入歌「さんぽ」や、絵本を歌にした「はらぺこあおむし」をある程度歌えるように。ところが、あるとき「最初から最後までなかなか歌わない」ということに気がついたんです。たぶん息子は、歌を最後まで歌うことにそれほど興味がないんですね…。
何度もお気に入りをリクエストする
最後まで歌わないことは気になっていましたが、息子は歌うことと聞くことが好きで、3歳以降はレパートリーがどんどん増えていきました。とくにEテレの「おかあさんといっしょ」で放送していた「はらぺこかまきり」や「たいこムーン」「うどんパン」、「びじゅチューン」の「見返りすぎてほぼドリル」や「夢パフューマ―麗子」、「おとうさんといっしょ」の「ダダダダ ダディーマン」など、気に入った歌は何度も「もういっかいみる!」と言って、一度に10回くらいリクエストします。そして少しずつ歌を覚えていくのです。
覚えていくところを観察していると、例えば「はらぺこかまきり」なら「シャカシャカシャカシャカ」など、印象的な歌詞を繰り返すところが最優先です。あとは気に入った歌詞の前後を少しずつ覚えていきます。そういえば最初に覚えた「おべんとうばこのうた」や「さんぽ」なども、同じ方法でマスターしていました。
歌に限らず、自分が好きなところを見つけてそこから興味を広げていくというのは、とてもいい方法だと思います。考えてみれば「歌は最後まで覚えなくではダメ」ということはないですよね。僕だってサビのところしか歌えない歌がたくさんあります(笑)。好きなところだけ歌ってたっていいんです。
好きな歌がたくさん増えてくると、息子がグズッたときに歌うことで、気持ちを早く落ち着けられたこともありました。こだわりが強い息子にとって、気持ちを切り替える方法がたくさんあるのは強みになります。歌が好きなことは、息子にとってきっと人生を乗り越える1つの力になるのではないでしょうか。