テストでひどい点をとったら?子どもの自信をアップさせる声かけ例

子どもにとって失敗はつきもの。立派な成長の証だとわかってはいるけれど、いざ我が子が何か失敗をして落ち込んでいるとき、どう声をかけたらよいのか悩んでしまいますよね。そこで、アドラー心理学者であり、大人から子どもまで「こころ」に悩みを持つ多くの人にカウンセリングを行っている本郷博央さんに、子どもの自信や、やる気を引き出す子育て法を教えていただきました。

「自分に自信を持てる子ども」に育てるために大切な2つのこと

「子どもが自分に自信を持てるようになる背景には、2つの大切な心の支えがあるんですよ。」と本郷さん。その2つとは、「自分を好きになること」と「失敗を恐れないこと」だとか。

ありのままの自分を受け入れられれば、自分を好きになる

「子供は皆、生まれながらにして無限の可能性を持っています。子どもが持つ個性はそれぞれ。オーストリア出身の精神科医・心理学者アルフレッド・アドラーが創始した『アドラー心理学』では、

その人のありのままを受け入れることを『勇気づけ』と呼んでいます。子どもの個性をそのまま親が受け入れる(『勇気づけ』をする)ことにより、『ありのままの自分を認めてもらえている』と感じられている子どもは、自分自身のことが好きになります。」

ところが、親が子どもに対して『子どもを自分の理想通りに育てたい』という想いが強いと、子どもは自分のことが好きになれません。親が自分の理想とは離れた子どもの言動を直そうと指摘し続けてしまうと、子どもは自分のことを親に認められていないと感じ、自分自身を嫌いになってしまう可能性があるとか。ナチュラルな、そのままの子どもを受け止めてあげることが、自信へと繋がるようです。

失敗も親が受け入れれば、子どもは失敗が怖くなくなる

そして、子どもが自信を持つための、2つ目の心の支えは、「失敗を恐れないこと」だそう。

『失敗を恐れない』ためには、まず『失敗を失敗と思わない』いう精神が大切です。それが、強いバイタイリティへ、そして自信に繋がります。かの有名なエジソンは、電球を発明するまでに1万回失敗をしたそうですが、彼はそれらを失敗とは思っておらず『1万通りの方法を発見したのだ』と言ったそうです。まずは、『失敗はいけないこと』という観念を親が捨てることが必要ですね。何か子どもが失敗をしても、それをとがめるのではなく、できればにこやかに受け入れること。そうすることで、子どもは『失敗してはいけない』、『失敗するのが怖い』と思わなくなり、何にでも果敢にチャレンジしていけるようになります。そしてそういった経験からの成功体験が、自信へと繋がっていくのです。」

親の意識が子どもの自信にも大きく影響するんですね。逆に、本来の自分を認めてもらえず、親の期待に沿うようにということだけを意識して振舞っている子どもは、どうしても不満が募り、その結果、自分のことも好きになれないとのこと。まずは、お子さんとの接し方を変えてみることが、子どもの自信をアップさせる第一歩に繋がります。

子どもが失敗をしたとき、どんな声がけをするといい?

では実際に、子どもが何か失敗をしてしまったとき、思うような結果が得られなかったとき… 具体的にはどのように声をかけたらいいのでしょうか?

ケース1:テストで良くない点数をとったとき

「まず、その点数を見たとき、お子さん自身がっかりしたと思うんですよね。もっといい点がとれたはずなのに…と反省もすると思います。親にそのテスト結果を見せることも、勇気が必要だったはず。そんなときは、まずその気持ちに共感することが大切です。

子どもの落胆した気持ちに寄り添うこと。励ましたり、ダメ出しをすることは逆効果です。また、頑張って勉強していた過程を見守っていた場合は、そのプロセスを認めてあげることも重要です。」

◯良い例
「頑張って解いたね。でも難しかったんだね。見せてくれてありがとう。」
「いい点はとれなかったけど、頑張って勉強してたよね。ママずっと見てたよ。頑張ってる姿が嬉しかったよ。」

✕悪い例
「なんでこんな点数とってきたの!」
「あなたはやれば出来るんだから、次は頑張りなさい。」
「次はもっと頑張ればいいのよ。」

「場合によっては開き直ったり、特にがっかりした様子が見られないときもあるでしょう。その態度には何かしらの原因があります。『子どもにはこうなって欲しい』という親の願望が強い、もしくは『自分自身の存在を受け入れてもらえていない』と感じている子どもの場合が多いのです。普段からの親の接し方、『勇気づけ』がとても大切なんですよ。」

ケース2:大切にしていた物を壊してしまったとき

「壊してしまったことを叱るだけでは、子どもは『失敗してしまった!』と恐怖心を持つだけで終わってしまいます。そもそも、物はいつか壊れるもの。壊れてしまって悲しいという子どもの気持ちに共感し、そのことを素直に言えたことを認めてあげることが大切です。」

◯良い例
「壊れちゃったんだね。◯◯も悲しかったよね。でも大丈夫。(直せる場合は)パパに直してもらおう!ちゃんと話してくれてありがとう。」
「次からどうしたらいいかな?そうだね、今度から運ぶときに気をつけようね。」

✕悪い例
「あーあ、壊しちゃって。どうするの!」
「もう二度とこんな失敗しないでよね。」

どんなときも、まずは子どもの気持ちに共感する。そして、親が答えを導くのではなく、子どもに「次はどうしたらいいと思う?」と尋ねたり、一緒に考えたりすることが大切。

失敗は誰にでもあることなので仕方が無い、怖くない、むしろ喜んで受け入れるべきことだという前提に立って、「じゃあ次に同じことをしないためには、どうしたらいいか?」と考えることが、子どもの成長や自信に繋がります。

日常的に気をつけるべき、子どもへの接し方とは?

では、日常的に親は子どもとのコミュニケーションにおいて、具体的にどんなことを心がけたら良いのでしょうか?

子どもをほめるのではなく、『勇気づけ』よう!

「まずは、先ほどから述べているように『ありのままの子どもの姿を受け入れる』こと。そして、子どもの気持ちに『共感する』ことですね。このとき気をつけたいのは、子どもと常に同じ目線に立って接することです。良い結果に対して評価するときも、『よくやった!』『偉いね!』ではなく、『◯◯が頑張ったことが嬉しいよ。』『ありがとう。』という声がけを意識してみてくださいね。」

ほめることも、実は子どもを親の価値観で評価していることになりかねないため、ほめ方にも注意が必要なんだとか。

「自分の期待や願望通りの結果が得られたときにだけ『ほめる』、そうでない結果のときは『叱る』になってしまうことがあります。

結果に注目してほめるのではなく、それまでのプロセス、姿勢、努力に注目することが、『勇気づけ』では大切です。結果だけをほめて育てていると、良い結果が出ているときは良いのですが、結果が出なかったとき、自分のことが嫌いになったり、大きく挫折してしまうことがあります。」

「たとえば、子どもが100点を取ったとき、『よくやった!すごいね!』と100点を取ったという結果だけをほめるのではなく、『すごいね、100点だね。頑張って勉強していたものね。◯◯はどう思った?そうね、◯◯が嬉しいとママも嬉しいよ。』という言い方は、その頑張ったプロセスに注目し、子どもの気持ちに共感している声がけのしかた。似ているようで、実はまったく違うことにお気付きでしょうか?」

子どもの自信を引き出すこと、勇気づけること。それは普段から子どもそのものを認めて受け入れているか?ということでした。すぐには実行できなくても、少しずつ、親も子どもと一緒に成長していきたいですね。

お話を聞いたのは…
本郷 博央さん
23年間公立中学校の教師を務め8年前に辞職後「熊本こころ相談室」設立。カウンセラーとして月に延70名〜90名の相談にのるかたわら、「アドラー心理学SMILE勇気づけの親子・人間関係セミナー」「タッチフォーヘルス」などのセミナー講師として、愛と勇気づけを伝道中。特に「SMILE」は、日本のSMILEリーダーの中で最も多くの回数を開催している。
熊本こころ相談室ホームページ

ライター紹介
水谷 映美
1979年生まれ。出版社勤務、受付嬢、社長秘書を経て、現在はwebを中心にライターとして活動中。男・女・女の3児の母。気になることは何でも試してみないと気が済まない典型的B型女子。子育て世代のリアルな声を反映した記事を得意としている。

※こちらは2015年3月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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