今回は、小学5年生の息子さんを持つママからのご相談です。家の手伝いを全くやろうとしない息子さんに困っているとのこと。どうすれば進んで取り組んでくれるようになるのか、専門家にお話を伺いました。
このお悩みにアドバイスをくれたのは…
青木康太朗(あおきこうたろう) 独立行政法人国立青少年教育振興機構 理事長
〈監修者プロフィール〉
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修了。国立青少年教育振興機構研究員、北翔大学生涯スポーツ学部准教授、國學院大學人間開発学部子ども支援学科 教授を経て現職。専門は青少年教育、野外教育で、自然体験活動の教育効果や安全管理の研究、指導者の養成、体験活動の普及啓発に取り組んでいる。文部科学省生涯学習調査官、こども家庭庁「子ども家庭審議会基本政策部会」臨時委員等を務める。
<相談内容>
小学5年生の息子は好きなことには集中しますが、家族の手伝いなどは嫌いなようで、全くやろうとしません。嫌いでもやってほしいことをどうしたらやってくれるようになるでしょうか。
そもそもの「お手伝い」の本質は
家のお手伝いを面倒くさがってやらない場合、「お手伝い」という考え方自体を見直す必要があります。家庭は、親が子どものために生活の場を作るところではなく、本来、家族みんなで一緒につくっていくものなのです。
今は家電製品が発達して物も豊かになり、大人一人でも家事が十分にこなせるようになりました。そのため、子どもの力を借りる機会が減り、たまに手を借りるときだけ「お手伝い」という形になってしまっています。でも、家庭はそもそも、家族で協力して生活する場ですから、それぞれが自分にできることを担っていくことが大事なのです。
家族としての役割を持つ
だから、「お手伝いをして」と言うのではなく、「あなたはこれが家族としての役割よ」といった形で、家の中での生活スタイルを作っていくことが大事です。例えば小さい子どもなら、「お父さんが仕事でがんばってくれているから、靴を磨くのはあなたの役目よ」とか「ご飯を食べるときにお皿を並べるのはあなたの役目ね」というように、子どもに具体的な役割を持ってもらいます。

また、役割とお小遣いを結びつけるのもよい方法です。「役割をきちんとこなしているからお小遣いがもらえるんだよ」というように、家族の中のルールとして決めておくことも大切です。
このように「手伝いをして」ではなく「これがあなたの役割」という意識を持つことで、子どもは家族の一員としてやるべきことを「当たり前」だと考えるようになります。そうすれば、自分ができることは自然とやっていくようになるはずです。ただし、難しいことや本人がなかなかできないことを無理強いせず、できることから徐々に任せていくことが大切です。
本当のお手伝いとは何か
気をつけたいのが、最近のお手伝いは「お手伝い体験」のようになっている点です。例えば、お母さんが食事の準備で包丁を使っているときに、「私もやりたい!」と子どもが言ってお母さんから包丁を取ってしまう。そしてそれを「お手伝い」と呼んでいます。でも、それは本当のお手伝いではなくて、むしろお母さんの仕事を中断させて、かえって大変な状況を作ってしまっているのです。
本当のお手伝いは、「お母さんがこれをやるから、あなたはお皿を並べてね」というように、手が足りないところを助けてもらうこと。ただ子どもがやりたいことをやってもらうのではなく、家族が困っていることや手が足りないところを手伝うこと、それが本当のお手伝いなのです。
自立した体験から学ぶ
小学校5年生の息子さんなら、親がいないキャンプに参加させてみるのもよい経験になると思います。自分たちだけで生活する経験をすると、普段、親がどれだけ自分の身の回りのことをしてくれているかを実感できます。

また「自分でできた」「やりきった」という自信や達成感は、家に戻ってからも「自分でやってみよう」という気持ちにつながります。親元を離れて自立した生活を経験することが、普段嫌がっていることにも挑戦してみようかなという、きっかけになるかもしれません。
お話を伺って
「お手伝い」が体験になっているというお話に、ハッとさせられました。我が家にも子どもがいますが、まさに、食事の準備中「包丁を使いたい!」と言って寄ってくることがあります。バタバタしている平日の夕方など「面倒だな…」と思いながらも、「でも子どもの体験になるし…」と思いやってもらいますが、やっぱり大変です(笑)。大人も家事育児を一人ですべてこなすことは大変です。お手伝いの考え方を変えて、子どもにも役割をもってもらうことで、大人も子どもも、協力しあって生活しているということを実感します。そうすることで、家庭の中で、お互いに感謝の気持ちや思いやりが芽生えていくのかなと感じました。
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修了。国立青少年教育振興機構研究員、北翔大学生涯スポーツ学部准教授、國學院大學人間開発学部子ども支援学科 教授を経て現職。専門は青少年教育、野外教育で、自然体験活動の教育効果や安全管理の研究、指導者の養成、体験活動の普及啓発に取り組んでいる。文部科学省生涯学習調査官、こども家庭庁「子ども家庭審議会基本政策部会」臨時委員等を務める。
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