今回は、中学1年生の娘さんを持つママからのご相談です。娘さんは部活や習い事、友だち付き合いで毎日忙しく、健康が心配とのこと。やりたいことをすべてやろうとする娘さんへの向き合い方を、専門家に相談しました。
このお悩みにアドバイスをくれたのは…
青木康太朗(あおきこうたろう) 独立行政法人国立青少年教育振興機構 理事長
〈監修者プロフィール〉
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修了。国立青少年教育振興機構研究員、北翔大学生涯スポーツ学部准教授、國學院大學人間開発学部子ども支援学科 教授を経て現職。専門は青少年教育、野外教育で、自然体験活動の教育効果や安全管理の研究、指導者の養成、体験活動の普及啓発に取り組んでいる。文部科学省生涯学習調査官、こども家庭庁「子ども家庭審議会基本政策部会」臨時委員等を務める。
<相談内容>
本人がやりたいことが多すぎて、生活が回っていないのが気になっています。部活、学校の勉強、習い事のバレエ、友だち付き合いと、土日を含めて毎日予定が入っており、朝から夜まで予定でぎっしりで休む暇がありません。
睡眠時間も短く、疲れると頭痛を訴えることもあり、健康面も気になります。本人はどれもやりたいらしく、諦めようとしません。親としてどう対応したらいいでしょうか。
優先順位を考える
まず、お子さんがこれだけ多くのことに意欲的に取り組んでいるのは、とても素晴らしいことです。複数のことを同時に進めていく力を持った、可能性に満ちた素晴らしいお子さんだと思います。
ただ、時間のコントロールができず、睡眠時間が短くなるなど健康面に影響が出ているのは心配ですね。これは、物事の優先順位がまだうまくつけられていないからかもしれません。
今は全部やりたい気持ちが強いと思いますが、物事には優先順位をつけていく必要があります。限られた時間の中で、自分のやりたいことをどうやって実現していくのか。中学1年生なので、それを親が決めるのではなく、本人に考えてもらえるように投げかけてみるといいです。
そこで親として伝えなければいけないのは「健康に影響が出るのは良くないから、そこは改善が必要」だということです。
子どもの意思を尊重する
これから大きくなっていく中で、やりたいことはもっと増えていきます。時間がなくてやれないことも出てきます。だからこそ「今は何を優先したいのか」「これを先にやって、次はあれをやる」といった計画を、子ども自身が立てられるようアドバイスをしていくといいと思います。大切なのは、子どもの気持ちや主体性を尊重しながら、相談に乗っていくことです。
そして、アドバイスをしながら、少し見守る姿勢も大事です。多少無理をする部分があっても、そこから本人も自分の限界を知っていきます。「これは無理だな」と自身で気づくこともまた、一つの経験です。中学1年生という時期にこうした経験ができるのは、すごく貴重なことだと思います。
時間の使い方を工夫する
時間の使い方について、例えば5つやりたいことがあるとき「これとこれはやめる」というゼロか100かの選択である必要はありません。優先順位の高いものに時間を多く使い、他は少しだけ時間を減らすといった方法もあります。すべてを100%やろうとするから時間が足りなくなってしまう、ということも考えられるのです。
また「今すぐやる必要があるか」という視点も大切です。他の時期にできるものは先送りにするなど、限られた時間をどう効率よく使うかを考えることも、大事な経験になります。
「できないこと」を受け入れる
もう一つ心配なのは「あれもこれも全部やらなきゃ」という脅迫観念が強くなり、どんどん自分を追い詰めてしまうケースです。できない自分にプレッシャーを感じて、自分を嫌いになってしまうのは避けたいことです。それは、保護者が気をつけて見てあげてください。
このお子さんがどういう性格かわかりませんが、何でもパーフェクトにこなしたいタイプの子どももいます。自分ができないことを受け入れられないと、うまくいかなかったときに苦しくなり、耐えられなくなってしまうこともあります。だから「できないことがあってもいい」という考え方を身につけることは大切です。それを理解したうえで「今、自分は何をするのか」を考えていく。「やるのもやめるのも自分に選択権がある」と思えることが大事です。
子ども自身が納得することが大切
気をつけたいのは、親が「もうこれはやめなさい」と一方的に決めつけてしまうことです。親としては心配だからこその対応でも、子どもにとっては「やりたいことを親に止められた」という気持ちだけが残ってしまいます。
大事なのは、子ども自身が決めること。親ができるのは、健康面などのアドバイスをしながら、子どもの決めることを見守ることです。やるにしてもやらないにしても、子どもが納得感を持って決めていくことが、何より大切なのです。
お話を伺って
子どもがたくさんのことに挑戦し、意欲的に取り組んでいること自体がとても素晴らしいことだと思います。大人でも、1日の中、1週間の中でできることには限りがあります。そのなかで、今絶対にやらなければならないこと、後回しにしていいことなどを、子ども自身で考え、計画し、実行することができれば、それは将来に向けての素晴らしいスキルにつながると感じました。そして、大人は、子どもの主体性や意見を何よりも尊重しながら、見守っていくことが大事なのですね。
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科修了。国立青少年教育振興機構研究員、北翔大学生涯スポーツ学部准教授、國學院大學人間開発学部子ども支援学科 教授を経て現職。専門は青少年教育、野外教育で、自然体験活動の教育効果や安全管理の研究、指導者の養成、体験活動の普及啓発に取り組んでいる。文部科学省生涯学習調査官、こども家庭庁「子ども家庭審議会基本政策部会」臨時委員等を務める。
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