CMでよく目にする小学生向けの無料テストは6月が受験のピーク。全国で数十万人の小学生が受験するテストの特徴や受験の心構えを、算数・数学コーチャーで中学受験の動向に詳しい大迫ちあき先生に聞きました。
全国テスト(模試)を受ける意義と注意点
低学年の時は、力試しに楽しく挑戦!
「低学年の時に受ける模試は、点数をあまり気にしないという気持ちで受験させるのがいいですね。それよりもパパやママに見てほしいのは、子どもが『どこをわかっていて、どこがわかっていないか』『どこが長所で、どこが短所か』」と大迫ちあき先生。
例えば、計算はできるけれど文章問題が少し苦手、とても丁寧で確実に取り組んでいるからスピードが遅い、などといった子どもの特徴を見つけ出して、家庭学習の参考にするもの、と考えましょう。
教育情報収集の場や、学習のリズムをつける場として利用!
また子どもが模試を受けている間に、塾主宰の模試では親向けに問題の解説や最近の中学入試動向についての説明会が開催されています。このような場で危機感を感じてしまうこともあるかもしれませんが、入塾は冷静に話を聞いて、子どもに合っているかなどを中心に判断することも必要です。
「定期的に模試を受験して成績アップを目指したり、受験を通じて毎日の学習にリズムをつけたりすることで、子どものモチベーションアップに役立てるといいですね」(大迫先生)
「中学受験はしなくてもいいと言う曖昧な息子。受験は本当にしなくていい?」もチェック!
小学生向けの模試を具体的にチェック!
大抵の模試は、「小学校で習う基礎問題 + 小学校で習わない応用問題」という構成になっています。小学校で習う基礎問題を完璧に解ければ平均点が取れる作りになっているものが多く、一方で応用問題は通塾している子が問題形式に慣れているので有利になることもあります。
小学生向けの三大無料模試
一般的に以下の3つの模試が「三大模試」言われ、受験人数が多くなっています。
三大模試
- 四谷大塚の「全国統一小学生テスト」
- 日能研「全国公開模試(あるいは首都圏模試)」
- 栄光ゼミナール「公立中高一貫オープン」(例年は6月開催。2023年は2月開催)
四谷大塚「全国統一小学生テスト」の特徴
■マークシート方式(小学1・2年生は記述方式)
■平均点は1年生が80パーセント、2・3年生が60パーセント4年生以上は55パーセントが目安
■全国最大規模の模試のため、全国の子どもの中で我が子の位置を把握することが出来る
■問題数が多く、出来る問題からてきぱきと解いていく処理能力も問われている
運営会社/ナガセ
塾名/四谷大塚・東進ハイスクールなど
日能研「全国公開模試(あるいは首都圏模試)」の特徴
■問題文が非常に長く、子どもが問題と対話しているかのような出題形式になっている
■国語も算数も、文章や図・絵から読み取った情報をもとに自分で考えた答えを書かせる問題になっている
■考える過程に重きをおく出題スタイルのため、答えが一つとは限らない記述問題もある
運営会社/日能研
塾名/日能研
栄光ゼミナール「公立中高一貫スタートテスト・公立中高一貫オープン」の特徴
■公立中高一貫校向けクラスが充実していると定評のある塾の模試
■公立中高一貫校の適正検査で出題される図やグラフを読み取って自分で考えたことを答えさせる総合問題がよく出題される
■あまり難しい問題や奇をてらった問題はでない
(例年は6月開催。2023年は2月開催)
運営会社/栄光
塾名/栄光ゼミナール
学力アップの秘訣は、各塾のテストの特長の把握すること!
「(上記のリンクから)各塾のテストの問題を実際に見ると、問題文の量やテストしている力が違うことがわかります」(大迫先生)
日能研の問題は2年生の算数の問題でも200〜300文字ほどの文字情報や図を読みとって答えるものが多く、国語に少し苦手意識のある子どもは算数が得意であっても心の準備がないと難しく感じます。
一方で、四谷大塚の応用問題は、問題文の量よりも算数の問題として高度なものがあり、訓練をしていないと子どもは驚いてしまう可能性もあります。
パパやママは、各テストの特徴を知って、子どもの学習に活かすといいですね。
難関中学受験を目指すならSAPIXの入室テストも検討を!
「サピックスは難関校を受験されるかたがまず考えられる塾です。こちらの入塾テストは難易度が高くかなりの演習量が必要になります」(大迫先生)また、入塾テストでも受験料がかかるというのも特徴です。
運営会社/SAPIX YOZEMI GROUP
塾名/サピックス
模試と並行して「算数検定」などの検定を受験するという選択肢も!
毎日の学習にリズムをつけるという意味では、定期的に開催されている「算数検定」などを受験するという方法もあります。
「検定は達成度テストですので、70パーセント以上できた子どもに対して、「合格証」がもらえます。全国の子どもの中で我が子の成績の位置を知るというよりも、子どもの達成度チェックとしてお使いになるといいでしょう」(大迫先生)
また、算数が得意なお子どもむけの「算数オリンピック」などに挑戦してみるのもおすすめです。
■算数検定
運営会社/公益財団法人 日本数学検定協会
お話を聞いたのは…
大迫 ちあき先生
大手塾で中学受験算数の担当講師として、10年間に渡り100人以上の子供を指導。入塾の時に、すでに算数が苦手な子供がいることや、お母さまからの学習相談を多く受けたことから、2011年、低学年の算数の基礎力定着に力を注ぎたいと小学生対象の算数教室、未就学児対象の「幼児さんすうスクール・SPICA」を開講。現在(株)幼児さんすう総合研究所代表。日本初の公益財団法人・日本数学検定協会認定資格講座「幼児さんすうインストラクター養成講座」講師。著書に『算数ができる子の親がしていること』(PHP研究所)がある。
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※2016年5月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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