子どもの「野菜嫌い」は、よくある子育ての悩みの一つですよね。じつは野菜の切り方を変えるだけで、子どもの「野菜嫌い」を克服できる可能性があるのだそう。
そこで今回は、子育て両立・共育支援事業を行う「エスキッチン」で食育サポーターとして活躍する坂本 智美さんに、野菜嫌いを克服する「野菜の切り方」について教えてもらいました。
切り方一つで野菜嫌いを克服できる!?
子どもが野菜を嫌がる理由は、「野菜の味がイヤ」「食感がイヤ」などさまざま。
「子どもの野菜嫌いを克服するための方法としておすすめなのが、野菜の繊維方向に着目しながら適切な大きさに切ることです」
野菜をカットするときに繊維の方向を見ながら切ると、加熱時の味・におい・食感に大きな違いが出てくるそう。
「以前、保育園の管理栄養士として給食調理に携わっていたのですが、そのときに意識していたのが『野菜の切り方』でした。野菜が苦手な子どもでもおいしく給食を食べられるように切り方を工夫した結果、日々の給食残食はほぼゼロでした」
今回は、子どもが嫌いな野菜としてよく挙げられる「ピーマン」「ほうれん草」「なす」「長ねぎ」「きゅうり」の5種類の野菜を用いて、子どもの野菜嫌いを克服するための「野菜の切り方」を教えてもらいました。
ピーマン
くせのある独特の苦味から、嫌いな子どもが多い「ピーマン」。
細切り
ピーマンの苦みや青臭さは、繊維に沿って切ると出にくいと言われているそう。
ピーマンを炒め物などに使う場合は、繊維に沿って細切りにするのがおすすめです。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
青椒肉絲、春巻き、春雨炒め、焼きビーフンなど
みじん切り
見た目で「ピーマンだ!」とわかってしまうと食べないという子どもの場合は、5〜6mmに細かく刻んでしまいましょう。刻んでから数分間、水にさらしてしっかりと加熱することで、より苦みや青臭さが和らぐので食べやすくなるそうです。
さらに、味の濃いメニューに混ぜ込めば、子どもが気づかないうちに食べさせることができますよ。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
ハンバーグ、カレー、麻婆豆腐、ミートソースなど
ほうれん草
ほうれん草をはじめ、葉物野菜を苦手とする子どもは多いです。考えられる理由として、葉物野菜特有の「えぐみ」が挙げられます。人間は生まれつき、苦みやえぐみ、辛みを本能的に毒として認識するので、子どもが「えぐみ」のある野菜を苦手とするのは、当然のこととも言えるそう。
葉物野菜の「えぐみ」は、たっぷりのお湯で茹でてから流水にさらすことで軽減できます。電子レンジを使う場合は、洗ったほうれん草(1袋)をラップに包んで、600Wで2分間程度加熱すると、茹でたときと同様に「えぐみ」を取り除くことができます。
細切り
茹でてえぐみを軽減させたほうれん草は、1〜2cmの長さに切って、味の濃いメニューに入れましょう。出汁をきかせたお味噌汁やすまし汁など、汁物もおすすめです。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
味噌汁、すまし汁、ケークサレ、キッシュ、納豆和え、韓国風チヂミなど
ペースト
見た目で嫌がってしまう子ども向けには、ペースト状にしてパンやデザートにするのがおすすめ。ケーキや蒸しパンのタネに混ぜ込むと、えぐみや青臭さがなくなるうえ、鮮やかな緑色に焼き上がります。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
ほうれん草ケーキ、蒸しパン、ドーナツなど
なす
紫色の固い皮や、スポンジのような食感が苦手という子どもが多い「なす」。厚く切るとスポンジのような食感が残りがちのなすは、薄くスライスして食感を柔らかくするのがおすすめです。
さらに、皮を縞目に剥いてから切ると、皮の周囲にある旨味を残しつつ味を染み込ませやすくできます。油との相性が良く、皮を取り除くことでえぐみも軽減されるので、炒め物や揚げ物にするのもおすすめです。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
ハンバーグ、ミートボール、トマトソース(パスタやグラタンにアレンジ可能)、ドライカレーなど
長ねぎ
薬味としてだけでなく、鍋料理や炒め物など食卓で大活躍の「長ねぎ」。苦手な子どもが多い理由は、辛み・味・繊維感・ヌルッとした食感にあるそう。長ねぎの辛みは、水にさらしたり、しっかりと加熱することで和らげることができます。
長ねぎが苦手な場合は、繊維を断つように5〜6mm幅のみじん切りにして料理に混ぜ込みましょう。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
チャーハン、玉子焼き、お好み焼きなど
きゅうり
青臭さやえぐみが苦手という子どもが多い「きゅうり」。きゅうりは繊維を断つように薄く切ってから塩揉みをすると、青臭さやえぐみが和らいで甘みも感じられるようになります。
スライサーなどを使うと楽に薄切りにできます。少し甘めに味付けした胡麻和えや、酢の物がおすすめです。
<この切り方で作れるおすすめメニュー>
甘口の酢の物、ツナ入りポテトサラダ、塩昆布和えなど
このように、野菜は繊維方向を意識しながら切ることで、味や食感が大きく変わります。また、子どもの食べやすい大きさに切ってあげることも大切ですね。
野菜の切り方ひとつで子どもの「野菜嫌い」が克服できればラッキーですよね。ぜひ記事を参考に試してみてくださいね。
お話を聞いたのは…
坂本 智美(栄養士、管理栄養士、エスキッチン食育サポーター)
東京都町田市出身。大学卒業後、栄養士・管理栄養士資格を取得。
飲食店に勤務後、24歳のとき『子どもと関わる仕事や料理をつくる仕事がしたい』と思い、保育園の管理栄養士に転職。横浜市内の認可保育園にて給食室責任者として5年勤め、結婚。
現在はエスキッチンの食育サポーターとしても活躍中。
エスキッチン
※2018年3月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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