
弱点だからこそ、他にはない強みが生まれる
サンシャイン水族館も「よっぽど」の弱点を強みに生かした例。高層ビルの最上階なので重量制限があり、水量の多い水槽は設置できないという致命的な弱点がありました。さらに水族館の半分は屋上が占めているんだけど、建築基準法上、屋根やテントもつけられないから、夏は直射日光が暑すぎてお客さんは嫌がり、雨にも弱い。この最悪の弱点をどうしたらいいか。
それまでは、その制約への対応のために、水のないアシカショーをやったり、小動物の展示をしていたけど、それでは弱点に従っているだけ。僕はこの弱点を活かして、都会のオアシスにしよう!ということを思いつきました。水量が多い水槽が設置できないなら、浅い水槽にしよう。
一躍有名になった「天空のペンギン」の水槽は20センチの深さ。ペンギンが立ったらカラダが半分出ちゃうんですけどね(笑)。屋根がつけられないから、この浅い水槽を頭上に置いて、空を借景にした日よけ雨よけにした。ついでにもともとあったビルの外壁を取り払って、水槽そのものを壁にしたら、向こうにどこまでも続く青空が透けて広さの借景となり水槽が広く見えるし、風よけにもなる。さらに雨除けの通路にもなる、頭上の川のようなペリカン水槽も作った。いずれも水槽だから展示物扱いになって建築基準法にもひっかからないんですよ。
世の中は凡才によって成り立っている
未来:お客さんを喜ばせることがゴールなんだと常に考えているからアイディアが出るんでしょうか。
僕は凡才だからいろいろ覚えたり考えたりできない。だから常に問題点だけを頭に置いているんです。その問題解決のために、今まで経験してきた関係なさそうなものをつなげて考えているからなんでしょうね。凡才が思いつくことって、どこか別の分野でもう思いつかれて実現されてることなんですよ。
演劇の奥行き演出をみて水槽の演出を考えついたのも、今まであったものを自分のやりたいことにつなげたということだと思います。世の中のたいていの進歩っていうのは、そういう凡才がやったことの積み重ねなんです。そういう意味では、世の中は凡才によって成り立っているのかもしれない。凡才バンザイ!ですね(笑)。
インタビューアーのコメント
「弱点を弱点だと思うのは常識に囚われているから。よほどの弱点こそが強みなんだ」という中村さんの考え方に自分の視点の狭さを痛感しました。「世の中のたいていの進歩は、凡才がやったことの積み重ね」という言葉にも、大きく勇気づけられたインタビューでした。
・前編「好奇心を育み、多様性を体験させる水族館の秘密指令とは」
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