骨から動物を当てるクイズで大盛り上がり!
講座で最も盛り上がったのが、野生動物の骨格標本を、画面に一部だけ映し出して動物の種類や体の部位を当てるクイズです。例えば「渦巻き状の薄い骨」は、鼻の中。講座ではイノシシの骨でしたがシカなど、ほかの動物でもこの形になっているものがあるそうです。この渦巻き状の骨の表面にはニオイを感じる嗅覚細胞がついているので、なるべくたくさん嗅覚細胞をつけるために骨の表面積を広くした形になっているのだとか。ほかにもシカには「かつて生えていた犬歯のあと」があるなど、骨からは進化に伴う生活スタイルの変化などが読み取れることに、子どもたちも興味津々な様子でした。

画面越しに骨が登場! クイズを通じて動物の骨の特徴を学びました(提供:手作り科学館Exedra)
害獣レザーを活用するには?
じつは害獣として駆除された動物の皮は、多くの場合捨てられているのが現状です。野生動物は枝に体をひっかけたり、ほかの動物とケンカをしたりして、多くの場合「家畜の皮よりキズが多い」のだそうです。また、はいだ皮を「革」としてつかえるようにするには、「なめし剤」を使って化学反応で皮を腐らないようにする「なめし」という工程も必要です。
講座では、手元に届いているレザークラフトキットの革を触ったりキズを見つけたりする時間も。イノシシは三角形の毛穴が続いて並んでいて、毛穴が裏まで突き抜けているので通気性がいいのだそう。また、背中とお腹の革で比べてみると、背中のほうが厚みと硬さがあり、お腹のほうが柔らかく伸びやすいなど、同じ動物でも体の部位によって異なる特徴があります。
害獣として駆除された経緯などを知ると、革に残されたキズがその個体の「生きた証」として、むしろ価値のあるものに感じました。

害獣レザーブレスレットは、購入者向けに公開されている動画を見ながら作る仕組みです。
レザークラフト体験の難易度は小学校中学年くらいからなら1人でできる程度です。皮に印をつけたり、線で引いたりするところなどをサポートすれば小学校低学年でも作成可能。いつも手で触れられる距離にあると、講座の内容を思い出したり、出会った人に話したりするきっかけになりますね。
害獣を増やしているのは人間!?
講座の最後は、これまでのことを踏まえて「害獣はどうして増えてしまうのか?」についてのお話です。じつは「そもそもの原因は人間が作っているんです」と宮本さん。たまたま里に下りてきた野生動物を見て、ついかわいいからとエサをあげてしまうと、エサがもらえることを知った野生動物はどんどん里に下りてくるようになります。意識しているかどうかは別として「人間が野生動物を餌付けしている」というのが現状です。
害獣が発生する原因は餌付けだけではありません。例えば千葉県で被害が多いキョンは特定外来生物で、動物園から脱走したものが野生化したものです。キョンは生まれてから約1年で子どもが産める体になり、母親は出産から約1カ月後には次の子どもが妊娠できる繁殖性の高さで一気に増えました。また、アライグマはペットとして輸入されたものの、じつは気性が粗い動物で、飼えなくなって野山に捨てられたことで野生化してしまいました。
今回の講座で学んだことは、害獣が出る原因が自分たち人間であることに気づき、それをなくして駆除される個体を減らしていくこと。そのために人間側が工夫や努力を怠らないことが、次の世代によい環境を残していくために必要ということでした。SDGsで提唱している「持続可能な世界」は、害獣の問題の解決法を考えることでも、達成されていくものだと思います。講座に参加した人のアンケートでも「害獣についての意識が変わった」や「駆除後の肉や皮の活用について身近に考える機会になりました」との声が寄せられていました。
<講座を体験した方のコメント(一部抜粋)>
・害獣という言葉は知っていましたが、身近なイメージはなかったので、自分にもできるアプローチがあると知れて身近に感じ、意識が変わりました。
・ジビエ食とSDGsを結びつけて考えたことはなかったが、意識するようになった
・実際に皮に触れながら、動物が生きていた時のこと、駆除後の肉や皮の活用について身近に考える機会になりました。
・期待していたよりも、冊子の内容が深く、面白かった。ブレスレットづくりも、難しすぎず簡単すぎず、楽しめた。
・野生動物の革に興味があったので応募したのですが、動物の深いところまで勉強できてよかったです。シリーズ化してもっと勉強できたら良いな と思いました。
・視る、知る、作る、がセットになっているのでとても取り組み易い
「手作り科学館Exedra」では、骨や皮などを実際に見ることができ、ブレスレット作りのワークショップも体験できます。教材セットは2021年4月下旬以降の販売を予定しています。気になった方や参加してみたい方は公式サイトにお問い合わせください。
また「害獣レザープロジェクト」を紹介する動画「あらためて問う、野生動物との向き合いかた ~野生動物 つかまえた~」では、有害害獣の駆除に従事している猟師さんや、トレイルカメラで野生動物の生態を調べている自然解説員さんのお話から、野生動物について知ることができます。興味がある方は、こちらもご覧ください。※動画内に駆除されたイノシシを解体するシーンがあります(3’50″~5’41″)。グロテスクな映像や体験が苦手な方はご注意ください。
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