指談との出会い

未来:指談との出会いはどのようなものだったのでしょうか?
灯里が幼い頃から、私は灯里に内的言語(思考や概念など、音声を伴わない心の中の言語)の豊かさを感じていて、どうにかしてその内的言語を表に出す方法がないかずっと探してきました。そんなとき、灯里が通う病院のリハビリの先生から、内的言語の表現法を研究している大学教授がいるという情報を聞いて、ぜひ一度会ってもらいたいと連絡したのがきっかけです。
未来:目やしぐさなどを通して灯里さんの気持ちを読み取っていたなかで、灯里さんの内的言語が豊かだと思ったのはなぜでしょう?
私は親なので、生まれたときから何万時間も灯里と過ごし、近い距離でずっと灯里のことを見ています。だから、しぐさや雰囲気、目の力でも(灯里のことが)わかるのですが、親以外にも灯里に関わる大人が口を揃えて「灯里さんは本当に全部わかっている、大人の話していることが怖いほどにわかっている」とおっしゃるんです。
灯里の表情はそれほど豊かで、病院の先生や作業療法士さんなど、職業柄たくさんの障害を持ったお子さんと向き合っている人たちに「大人と対等に向き合っている知性を感じる」と言われたこともあり、やっぱり「この子はすべてわかっている」と感じていました。
教授にお会いして初めて指談をしたときに、灯里が書いた言葉は今でも忘れられません。「かあさんはずっと『灯里が全部わかっている』って信じてくれていたけれど、かあさんの正しさがやっと証明されましたね」と書いたんです。衝撃で思わず涙が出ましたね。
やっぱり灯里の中には、気持ちを外に表現したいという想いがずっとあったんです。続けて「私はずっと前から、この世界から灯里を連れ出してくれる人がくると信じていました。その夢がついに叶いました。白馬の王子様が私のところに来てくれると思っていたけれど、現実は普通のおじさんでした」と書いたのには、全員大爆笑でしたね(笑)
未来:ユーモアまで! 灯里さんの想いがすごく伝わる言葉ですね。「かあさんの正しさがやっと証明されましたね」という言葉からも、お母さんがずっと信じてくれていたことが、灯里さんにとってきっと大きな希望に繋がっていたんだろうと感じました。
加えて、それまで私は灯里に対して自分のことを「ママ」と呼んでいたので、「かあさん」という言葉を聞いたときも衝撃でしたね。ママじゃないんだ…!と(笑)
もう赤ちゃんではなく一人の少女だということは理解していましたが、トイレもお風呂も食事も、何をするにも介助が必要な生活を送るなかで「やっぱり私がいなければ、守ってやらねば…」という思いが強かったのだと思います。「かあさん」という言葉を聞いて、灯里はいつの間にかこんなにも大人に成長していたんだということを実感し、全身に衝撃が走りました。







