どんなやつでも一番なんだというこということを体験してほしい
未来:水族館で生き物の多様性を考えるための体験学習用ミッションを作ったそうですね。
そうです。「水族館の秘密指令」というミッションを作りました。
一番大きな生き物を探せ!
一番小さな生き物を探せ!
一番強い生き物を探せ!
水族館で体験してほしいことは、どんなやつでも生きてる限り一番なんだということ。でっかいもの、小さいもの、強いもの、今生き残っているものは、全部強い。
1つ目の「一番大きな生き物を探せ!」というミッションは、大きさを測る方法を発見してほしいということが意図です。手を拡げた長さって、世界の海の民の共通尺度なんです。世界中、大きさを測ろうとすると手の長さや拡げた幅を使う。測るのをベルトでやったら「メジャー」になります。現代社会なら写真を撮って、その写真から生き物の大きさを計算しようとする子もいます。どうやって計算したら実際の大きさが出せるのか考えたり、自分で工夫しだすんですよ。
2つ目の「小さい生物を探せ!」というミッションは、水槽を隅から隅まで見て何かを発見してほしいから。大抵、小さい生物って魚名板に載ってないものなんですよ。餌(アミ)とか、小さい貝とか。なんでこんな小さいのがいるのかな?って話になったら、海から汲み上げた海水の中に卵が入ってたのかもね、なんて話したりしてほしいです。
3つ目の「強い生物を探せ!」というミッションは、生物の多様性を感じるため。多人数でやるのがいい。違うものが出るほど面白い。「強い海の生き物は何だと思う?」と聞くと、元気な子が大抵、シャチとかサメとか出してくる。でもしばらくすると、毒があるから強いんじゃないかとヤドクガエルやクラゲとかを出してくる子どもがいる。
強いというのは、色んな意味がある。たくさん生まれるから強い生き物もあれば、泳ぐのが速いから強いものや遅いから強いものもいる。戦うだけでなく、逃げるのがうまいことによって強い生き物もいる。それぞれが強いんです。それぞれ、みんなそれで生き残っている。そこが面白い。だから、お子さんが一人ならば、大人が違う生物を主張してあげると意味が深くなります。でも実は、人間が一番強いから、ほかの生き物を壊しているんですよね。それも考えるといい。家族でやるのもいいですよ。
ただ単純に好きなもの見つけるのもいい。カエルでもチンアナゴでも。自分でみつけた生物は、自分の生物なんですよ。なんだヒョウと同じ模様の魚がいるんだ、面白い、不思議だなと思えばいい。そうすると図鑑で調べてみようかなと思うんですよ。その先に海、地球があると繋がっていけばいい。自分で好奇心を持つことが大事。そのための発見が重要なんです。
インタビューアーのコメント
水族館の秘密指令には「どんなやつでも生きてる限り一番なんだ」という中村さんのメッセージが込められています。私達が何に好奇心を持つかについても、一つの正解はなく多様こそがいいんだということを改めて教わったインタビューでした。
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続きの記事を読む>後編 新しいアイディアは「常識は間違っている」と思うことから始まる
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中村元さんは、飼育員、副館長などを経て21年間、三重県にある「鳥羽水族館」で水族館の仕事に従事。その後は、日本で唯一の「水族館プロデューサー」として、サンシャイン水族館、マリホ水族館、北の大地の水族館、新江ノ島水族館など多数の水族館の再建やリニューアルを手掛ける。水族館に関する一般向けの書籍を多数執筆をする傍ら、夢の扉+(TBS)、マツコの知らない世界(TBS)などテレビにも多数出演。
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