【世界の子育て:カナダ】日本との違い多数! 子どもは外出禁止も

文化や習慣が違えば、子育ての常識も変わるもの。そこで、世界の子育て事情を国別にシリーズで紹介していきます。海外ではどんな子育てが行われているのか、実際に現地で暮らすママに実情を明かしてもらいます。

今回は、カナダのアルバータ州に在住で、双子の女の子を育てている亀井エイ子さんに現地の実情を聞きました! 寒い冬が長いカナダで暮らす子供の教育や子育て事情、ママパパの労働環境などを紹介します。

カナダはどんな国?

リバーラフティングをする人たち

ロシアに次いで世界で2番目の国土面積を誇るカナダには、10の州があり、それぞれ独立主権を有しています。そのため、同じ国でありながら、州によって消費税率や飲酒が認められる年齢など、いろいろな点で違いが見られます。教育制度も例外ではなく、義務教育の期間やカリキュラムなどに違いが見られます。

【学校教育】幼稚園から高校3年まで無料

インタラアクティブ・ホワイトボードで行われる授業

アルバータ州の学校は、日本と同じく小学校6年、中学校3年、高等学校3年です。義務教育期間は、6歳から16歳までで、日本でいう小学1年〜高校1、2年が該当します。とはいえ、幼稚園から高校3年まで無料で授業を受けることができます。

授業の様子

学校はIT化が進んでいます。小学校では、電子ホワイトボードが全クラスに導入されていて、課題や宿題もオンラインで作成、提出します。娘たちのクラスでは、グーグルクラスルームを使っているようで、先生がグーグルクラスルーム経由で課題や宿題を投稿して、生徒はオンライン上で確認します。課題に取り組み、完成したら提出するという流れです。紙での課題提出は、まだ完全に消えたわけではありませが、確実にペーパーレス化が進んでいます。

ほかにも、学校と家庭をつなぐ日々の連絡、出欠遅刻の記録、成績表、寄付やボランティアのお願い、経費の支払いまで、すべて各学校のサイト経由で行われます。

スクールバスの現在地もリアルタイムで確認可能

通学はスクールバスですが、バスの現在地も専用サイト上で確認ができます。

学用品などの出費は多め

授業料は無料ですが、学用品は親の負担です。毎年6月ごろになると次学年で必要な学用品のリストが学校から渡されますが、学校からのリストに従って学用品を買いそろえる作業は、毎年骨が折れる大仕事です。そのため、学校と提携した買い物代行サービスを利用する家庭もあります。文房具を扱う会社が各学校のリストに従い手配してくれて、学校まで届けてくれるサービスなので、多少割高になりますが、親は楽できます。

スクールバス利用も有料

もちろん、フィールドトリップ(課外授業)やスクールバスの利用費用も有料です。ほかにも、さまざまな趣旨の募金や寄付の依頼が頻繁にあり、年間で見ると結構な出費になるのが悩ましいところです。

また、ランチタイムの子供の安全を見守るための「ランチスーパーバイズフィー」と呼ばれる出費があります。これは先生が子供たちと離れてゆっくりランチ休憩を取ることができるように、各クラスに配置される有給ボランティアに充てる費用です。

ちなみに、ランチタイムのみならず「リセス」と呼ばれる休み時間も、先生が休憩時間を確保できるように、子供は校庭に出なくてはいけません。悪天候の日であっても、容赦なく外に放り出されます。市の教育委員会がガイドラインとして定めるルールでは、「激しい大雨の時」と「気温がマイナス23度以下の時」のみ、外に出してはいけないと定められています。それでも、最終判断は各学校の校長に委ねられています。

また、同じ州内でも市によって多少の違いがあります。いずれにせよ、このような環境下でカナダの子供はたくましく育っていきます。

給食はなくお弁当とおかし持参

学校に持っていくスナック類

カナダの学校には給食はなく、お弁当持参が基本です。ですが、中身は家庭により差があります。毎日ピザ1切れという子供もいるようですが、1番多いのはサンドイッチです。また、お弁当だけでなく、休み時間のスナックも各自が持参します。

アレルギー児童に配慮して、校内はナッツフリーが原則です。カナダでは、ナッツフリーやオーガニック、グルテンフリーはかなり一般的です。ほかにも、市販のスナックやカット野菜、フルーツを持たせることが多いです。

ナッツフリーやグルテンフリーのスナックはスーパーでも普通に購入できる

また最近では、肉や魚、卵・乳製品も入っていない「ビーガン食」が流行の兆しです。去年にファストフード店で「ビーガンバーガー」が登場し、数週間のうちにカナダ全土で完売になりました。スーパーでもビーガン対応の食品が確実に増加しているほか、ビーガン対応のスナックも数は少ないですが販売されています。

【生活】子供だけでの外出禁止!

カナダでは、12歳以下の子供だけでの留守番や外出をさせてはいけない決まりで、一部の州では法律でも定めています。そうでない州でも一般常識として捉えられていて、実際に子供だけで留守番させる家庭は多くありません。

ですので、カナダでは習い事に通う子供が多いですが、車社会ということもあり、習い事には親の送迎が必須です。仕事先から帰宅すると、すぐに子供を習い事に連れて行き、複数の習い事をしている場合は、分刻みに送迎をこなす親もいます。子供の習い事は、親の体力や気力次第とも言えるかもしれません。

1番人気の習い事は、男女ともにスイミングで、ライフスキルとして習わせる親が多いです。そのほか、男の子の場合、夏はサッカー、冬はアイスホッケー。女の子の場合は体操、ダンス、楽器などです。また、インド系カナダ人の場合は教育熱心な家庭が多く、公文やインド式のそろばん教室もよく通わせるそうです。

休日の遊びはアウトドアか屋内スポーツ

寒くてもみんな元気!(近所のスケートリンクにて)

自然豊かなカナダでは、休日をアウトドアで過ごす家庭が多いです。夏はキャンプやハイキング、冬はスキーやスケートなどを楽しみます。近所に住民用の屋外スケートリンクがあり、スケートやアイスホッケーをする子供で賑わいます。

ボルダリングは子供にも大人気

一方で、1年の半分近くが雪に覆われている国でもあるので、トランポリンやボルダリングなどの屋内アクティビティ施設の種類も豊富です。

多民族&多宗教でも共存

カナダの宗教はキリスト教が大多数で、なかでもカトリック教徒の比率が高いです。移民や難民の受け入れも積極的ですが、様々な人種や宗教が共存していて、日々の生活の中で宗教の違いによる不便を感じることはありません。

子供が通う学校には、ポーランドやハンガリーなどの東欧諸国、フランス、イギリスなどのヨーロッパ、インドや中国、韓国、日本などのアジア、アフリカやミドルイーストなど、さまざまな国とつながりのある子供たちが在籍していて、世界が小さく凝縮されているようです。

小学3年生(8〜9歳)になると、社会の授業でいろいろな国の文化を勉強し、学年最後の6月に生徒各自のルーツを代表する食べ物を持ち寄って、ポットラックパーティーをします。このような環境で育つことで、子供たちは自然な流れでお互いの違いを認め、受け入れることができるようになっていきます。

【労働と子育て】子育てに理解がある会社が多数

トロントの街並み

カナダの法律下で、産休は最長15週、その後に続けて最長61週の育児休暇の申請・取得が可能(合わせて最長18カ月)です。産休は母親のみで、育児休暇は両親共に取得可能です。両親ともに育児休暇を取得する場合は、2人で61週をシェアする仕組みです。ただ、ケベック州など独自の産休育休システムを採用するところもあります。

また、カナダの小・中・高校には、先生たちが授業向上を目指して講習を受ける「PD(プロフェッショナルデベロップメント)デー」と呼ばれる日が、年間8〜9日あります。PDデーは休校になるので、両親が共働きの場合は、この日に合わせて親が休暇を取るか、デイケアの手配をしなくてはなりません。

また、カナダの学校には保健室がありません。子供が体調不良の場合は、学校から親にすぐ連絡が入り、子供を迎えにくるよう求められます。職場の理解と協力が必要不可欠ですが、カナダの雇用主はおおむね柔軟に対応してくれるケースがほとんどです。

【医療】日本にはない「ファミリードクター制」

カナダでは医療費が無料です。お金の心配なく病院に行けるのはありがたいことですが、その反面、診察までの待ち時間が長いという問題があります。予約していても30分から1時間、予約なしだと平均2〜3時間の待ち時間は当たり前です。

ファミリードクター制とは?

カナダではほとんどの家庭が、かかりつけの「ファミリードクター(家庭医)」を持っています。体の調子が悪い場合は、ファミリードクターに診てもらいます。そして、必要に応じて、ファミリードクターが専門医に紹介状を書き、専門医に診てもらうシステムです。ファミリードクターを介すことなく、専門医に診てもらうことはできません。

専門医受診の待ち時間は、一般的に半年から1年と言われています。ちなみに、夫は最近専門医に紹介されましたが約4カ月半の待ち時間で予約が取れ、娘の聴力検査では7カ月待ちました。待ち時間の問題については、カナダの中でも私たちの住むアルバータ州は特に深刻で、病院側も時間短縮のためにいろいろと努力はしていますが、まだ改善の余地はあると思います。

また、緊急のケガや病気、休日・夜間時などは、救急病院に直接行きます。病院側が判断する優先順位での診察になり、何時間も待つこともあります。また、事情によりファミリードクターのいない人は、「ウォークイン」と呼ばれる予約なしで誰でも行ける診療所のようなところで診てもらいます。

民間医療保険加入は当たり前

歯科診療や処方薬は個人負担で、なおかつ高額なので、個人または雇用先を通じて民間の医療保険に加入している人がほとんどです。当然ですが、保険会社やプランによって、カバーされる内容が異なります。実際に、同じ薬の支払いが50ドルを超えた年もあれば、無料の年もありました。

とはいえ、「カナダでは医療費が無料」なので、出産費用のほか、インフルエンザ予防注射や水疱瘡などのワクチン予防接種も無料です。出産時の麻酔、検査で使う胃カメラやCTスキャン、MRIなども追加料金なしで受けることができる点はとても助かります。

以上が、カナダの子育て事情です。

ライター紹介
亀井 エイ子
夫と双子の娘の4人家族。カナダのアルバータ州在住。カナダでの生活も、いつの間にやら10年を超えました。

※2019年3月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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