話を聞かない4歳~5歳男子は要注意!? 「聞く力」を育てるコツ

同じ子育てでも、男の子と女の子ではいろんな違いがあるもの。特に男の子は落ち着きがなかったり、何度言っても同じことを繰り返したり、苦労するママパパも多いのでは?

とはいえ、男の子の場合は「聞く力」を育てることで、そうした悩みが大きく改善されることもあるのだとか。今回は、『男の子は脳の聞く力を育てなさい』(青春出版社)の著者で、発達脳科学の専門家・「脳の学校」代表でもある加藤俊徳先生に、脳の「聞く力」の育て方について教えてもらいました。

者で、発達脳科学の専門家・「脳の学校」代表でもある加藤俊徳先生に、脳の「聞く力」の育て方について教えてもらいました。

「聞く力」とは?

男の子の「聞く力」を育てれば子育てがぐっと楽になるとのことですが、一体どういうことなのでしょうか。そもそも、脳の「聞く力」とは何でしょうか。

脳の聞く力とは、耳から脳に届けられた情報を正確にキャッチして、さらに正しく理解したり、記憶したり、処理する能力のことをいいます。『耳に聞こえている』ことではなく、『脳で聞ける』ということを意味します」

「つまり物理的に音が届いていても、それを適切に理解したり、その情報を記憶してうまく処理したりできていない場合は、『聞けない脳』ということになります

加藤先生によると、脳の仕組みから見て、男の子はもともと「聞けない脳」である場合が多いそう。男の子は左脳の中の「海馬」という、耳から聞いた情報を記憶する部位の発達が、女の子に比べて遅い傾向にあるそうです

そのため、相手の話がきちんと理解できず、それに対する自分の意見も上手に伝えられないのだとか。

何度言い聞かせても同じことを繰り返したり、人の話を最後まで聞けなかったりする男の子の困った行動は、この『聞けない脳』に原因があります。まずは、そこを理解しておくだけでも男の子の子育てがぐんと楽になるはずです」

「聞けない脳」はどう判断?

では、我が子に「聞く力」があるかどうかは、どうやって判断すればいいのでしょうか。

子どもの発育上、『聞く力』があるかどうかわかってくるのは、だいたい4歳になってからです。子どもが4歳後半〜5歳を過ぎたら、次のような様子が見られないかチェックしてみてください」

<「聞けない脳」のチェック要素>
・上手にお話ができない
・幼稚園・保育園・小学校で起こったことを何も話さない
・一人で勝手に動き回る
・学校の配布物を親に届けない
・やるべきことがわからず、フリーズすることがよくある
・すぐに動けない、ぐずぐずする
・言っていることが一方的で勝手
・歌が苦手で音程が取れない

これらの様子が3つ以上当てはまれば、「聞けない脳」である可能性があるそうです。

「聞けない脳」はコミュニケーションにも影響!?

加藤先生は、「聞けない脳」のまま成長すると、何かと不利になりやすいと話します。

「学校や保育園、幼稚園での生活は、耳から情報を得る場合が多いですよね。大切なことのほとんどが、先生から話して伝えられます。授業を理解するためには、先生の話をきちんと聞くことが大切です。そういう意味でも、人の話を聞ける子どもは伸びると言われているのです

また、記憶力だけではなく、言語能力やコミュニケーション能力を育てるためにも「聞く力」を育てることは重要だそう

脳には1千億個を超える神経細胞が存在していて、同じような働きをする細胞同士が集まって脳細胞集団を構成しています。その脳細胞集団は、「運動」や「思考」など、担当する機能や働きによって大きく8つのエリアに分かれます」

「脳番地」は脳の学校の登録商標です(商標登録第5056139/第5264859)

「私は、その働きによって分けられたエリアを『脳番地』と呼んでいて、名前はそれぞれ、思考系、感情系、運動系、聴覚系、視覚系、伝達系、理解系、記憶系としています。情報収集や理解などインプットを担当するのが聴覚系、視覚系、記憶系、理解系脳番地、思考や行動などアウトプットを担当するのが思考系、伝達系、運動系脳番地、両方を担当するのが感情系脳番地です」

音を受け取る聴覚系脳番地は、ほかの脳番地とのネットワークも強力で、連動して成長する傾向にあります。そのため、聴覚系脳番地でうまく聞けていないと、記憶力や言語能力、コミュニケーション能力を司る脳番地まで育ちにくくなってしまうのです」

「聴覚系脳番地を鍛えれば、授業の内容がきちんと頭に入るようになり、成績がアップするだけでなく、人の話を聞いて相手に共感できるようになるなど、コミュニケーション力が高まり友達も増えるでしょう

「聞ける脳」を育てることは、子育てが楽になるだけではなく、さまざまな面でメリットがあるようです。

聞ける脳は「ちょっと待つ」で育つ

では、「聞ける脳」は実際にどのようにして育つのでしょうか。

「脳番地」は脳の学校の登録商標です(商標登録第5056139/第5264859)

大事なのは、子どもに話しかけたら適度に時間を置くことです。つまり、『ちょっと待つ』ことです。耳から入った情報は、まず聴覚系脳番地に届きますが、それを理解するには理解系脳番地へ、記憶するには記憶系脳番地へ、情報が届かなければなりません」

この2つの脳番地に情報が届くことで、やっと本当に「聞けた」ことになるのだとか。

脳の発達が未熟な子どもの場合、脳内での処理スピードは大人の数倍時間がかかります。だからこそ、記憶系や理解系に言葉がとどまる時間として、ちょっと待つことが大切なのです」

また、親が子どもの話を聞くこと、人の話の聞き方のお手本を示すことも大切だとか

「子どもは親の話し方や話の聞き方を真似します。ですから、子どもと話すときはもちろん、子どもの前で誰かと話す時には、できるだけゆっくりとした話し方をした方がいいでしょう。普段からゆっくりとした話し方をするお母さんの子どもには、話を聞ける子が多いんですよ」

子どもが相槌や返事をするまでは次の言葉はかけないなど、子どもが脳で「考える」時間を確保してあげることが大切なようです

「聞ける」脳を鍛える6つの習慣&遊び

最後に、「聞ける脳」を育てる親子の習慣と遊びを教えてもらいました。

(1)いっしょいっしょキャンペーン

毎日の生活の中で、お母さんと子どもが二人だけで過ごす時間を意図的に作ります。きょうだいがいる場合はなかなか難しいですが、一緒にお風呂に入ったり、布団の中で絵本を読むなど、短い時間でも良いので二人きりで過ごす時間を作ってみましょう

お母さんの言葉を聞いて、聴覚系脳番地が育つのはもちろん、一緒にいることで感情系脳番地が刺激され、人との共感性が高まり話を聞いてあげられる人になります

(2)お母さんが子どもに相談する

「公園から帰るのは何時にする?」「宿題はどの順番でする?」など、さまざまなことについて子どもに相談してみましょう。お母さんに相談され答えを待たれている子どもは、注意力がアップして聞かれたことを頭で記憶するようになります

(3)聞いたことを繰り返し言ってもらう

「先生にお手紙渡してね」→「うん、お手紙渡すんだね」のように、聞いた内容を自分で繰り返し言わせます。口に出して言うことで、聞いた言葉が脳内で反復されるので、記憶に残りやすくなります

(4)しりとり

相手の言った言葉を思い浮かべて語尾に続く新たな言葉を探すことで、聞いた言葉が心の中のつぶやきとして繰り返されます。これを繰り返すことで、聞いた言葉が記憶に残りやすくなります。

(5)逆さ言葉遊び

「おやつ」→「つやお」のように言葉を逆さにして遊んでみましょう。聞いた言葉を逆さにするには、頭の中でその言葉を繰り返す必要があるため、しりとり同様に聞いた言葉が記憶に残りやすくなります

(6)いっしょにカラオケに行く

聴覚系脳番地を育てるには、カラオケもオススメです。お気に入りの曲を何度も聞きながら歌うことができれば、聴覚系・理解系・伝達系を結ぶネットワークが太くなります

また、家族の歌声を聞くだけでも聴覚系脳番地は育ちます。ほかに、ピアノや楽器を習わせるのも良いですね

親の働きかけ次第で育てることができる「聞ける脳」。親子でできる遊びや習慣は、普段の生活に簡単に取り入れることができるので、ぜひ試してみてくださいね。

お話を聞いたのは…
加藤 俊徳さん株式会社「脳の学校」代表。加藤プラチナクリニック院長。小児科専門医。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。胎児から超高齢者まで1万人以上のMRI画像を用いて診断・治療。脳番地トレーニングの提唱者。1991年、現在、世界700カ所以上で脳研究に使用される脳活動計測法fNIRS(エフニルス)を発見。1995年から2001年まで米国ミネソタ大学放射線科MR研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。

ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

※2018年5月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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