子どもの世界を広げる「ことばあそび」

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金沢学院短期大学助教の村山大樹さんに「子どもとのあそび」を教えていただく【あそびのたね連載】。今回は「ことばあそび」がテーマです。子どもは、あそびを通してことばを覚えていくと言います。古くから親しまれている、しりとりや五・七・五などのことばを使ったあそびで子どもの想像力を広げ、感性を磨きましょう!

日本語の特性に根ざす「ことばあそび」

「ことばあそび」は、世界各地で楽しまれているあそびです。なかでも日本語の特性はとくにことばあそびにしやすいと言われています。そのため、日本では古くから多くのことばあそびが伝えられています。

「日本語は同音異義語がとても多く、また、漢字と仮名をつかった表記方法も非常に独特です。そんな特性から、俳句、短歌、川柳などことばの美しさやあそび心を表現することが、日本を代表する文化のひとつとして根づいています。しりとり、早口ことば、ダジャレなど、日常的にもことばあそびが取り入れられています。『ことばあそび』は、日本人ととても相性のいいあそびだと言えるでしょう。」と、村山さんは語ります。

確かに「しりとり」などは、年齢を問わず簡単に、どこでもだれとでも始められますね。それだけ、日常の中に溶け込んでいるのでしょう。そんなことばあそびをさっそく紹介していきましょう!

◆三文字しりとり


<あそび方>
「リンゴ」「ゴリラ」のように、3文字だけでしりとりをしましょう。字数に制限があるぶん、普通のしりとりに比べて少しだけ難しい点がポイント。グルグルと頭を働かせたり、身の周りに3文字のものがないかどうか探したり、かなり頭を使います。

<ポイント>
子どもが悩んだら、保護者の方がヒントを出してあげてください。ジェスチャーで伝えたり、わざと「ん」で終わるようなヒントを出してひっかけたりすると、子どもが大喜びするはずです。3文字に飽きたら、2文字や4文字にしてみてもいいですね。

<村山さんから一言!>
「子どもとしりとりをすると、『誰々が何々をした』というふうに、文章で答えてしまうことがよくあります。そこに制限を加えることで、挑戦する楽しさを味わえるのが『三文字しりとり』です。ポンポンと答えを言い合えば、3文字の持つ独特のリズムも楽しめますよ。」

◆五・七・五


<あそび方>
身の周りにあるものごとを、五・七・五(5文字・7文字・5文字)で表現するあそびです。俳句や短歌と同じように、日本語のリズムを楽しみましょう。大人では思いつかないような発想が、子どもから飛び出すかもしれません。

<ポイント>
「秋」「空」「雲」など特定のテーマを設定して、お互いに五・七・五で言い合っても楽しいですね。「季語」や「字余り・字足らず」などの細かいルールにこだわらず、自由にことばを広げてください。

<村山さんから一言!>
子どもに呼びかけるときに、五・七・五のリズムにしてみましょう。『○○くん 今日のお昼は カレーだよ』というふうに子どもの名前を入れてあげると、さらに喜びます。馴れてきたら、子どもが五・七・五で返してきたりして、セッションを楽しめるかもしれません。」

◆オノマトペ


<あそび方>
聞こえてきた音をことばにしてみるあそびです。たとえば公園に行けば、ブランコの「ギーコギーコ」という音、子どもたちの「キャッキャ」という声、すべり台をのぼる「カンカンカン」という足音など、たくさんの音にあふれていることに気づくはずです。それらをひとつずつことばにしていきましょう。

<ポイント>
家の中、駅のホーム、商店街など、さまざまな場所で試しましょう。同じ音(たとえば、木が風に揺れる音)を聞いていても、「ザワザワ」「サラサラ」など、人によって聞こえ方が違うことがわかります。子どもが発見する意外な音や、自分なりの表現を楽しんでください。

<村山さんから一言!>
「普段、意識して周りの音に耳をすますことは少ないでしょう。だからこそ、そういう時間を大人がつくってあげてください。安全な場所であれば、目をつぶり、感覚を耳に集中させてもいいですね。どれだけの音に囲まれて暮らしているのか、という気づきは、大げさに言えば、世界を再発見するということです。

◆暗号づくり


<あそび方>
子どもが暗号を考え、保護者の方が解読するあそびです。たとえば、自分だけがわかる「31=お」「26=は」「25=よ」「43=う」という数字と文字の組み合わせを設定し、「おはよう」と読ませるなど理論はなんでもかまいません。右手を上げたら「お腹すいた」など、ジェスチャーで暗号をつくってもいいですね。

<ポイント>
暗号づくりは、子どもの自由な発想に任せましょう。子どもにとっては、「大人が自分のつくった暗号に挑戦している」ということが楽しいのです。どう大人を悩ませてやろうかと考えることがワクワク感につながり、子どもの創造性を高めることにもなります。

<村山さんから一言!>
「たとえ成り立っていなくても、子どもなりに考えた暗号の理論を大切にしてあげてください。『うーん』と頭をひねり、たね明かしをしてもらったら大げさにおどろきましょう。子どもは大きな満足感を得ることができます。」

◆回文


<あそび方>
「回文」とは、「しんぶんし」のようにどちらから読んでも同じ音になることばのことです。「たけやぶやけた」「まさかさかさま」など、だれもが子どものころに一度は口にしたのではないでしょうか。身近なものを題材にして、子どもといっしょに回文をつくってみましょう。

<ポイント>
最初は「トマト」などの短いものからはじめて、徐々に長い文章に挑戦してください。目についたものを片っ端から題材にしていってもいいですね。制限時間や、「5文字以上」などのハードルを設定すれば、ゲーム性が加わってより白熱します。

<村山さんから一言!>
「大人が長い文章をつくると、子どもはそれ以上の長さに挑戦しようとします。事前にインターネットで調べておくなど、多少の仕込みはOK! ぜひ子どものやる気を上手に引き出してください。」


ことばを覚えることで世界を広げ、発見していく

いかがでしたでしょうか。昔から知られていることばあそびでも、新たなルールやアレンジを加えれば、いくらでもあそびの幅が広がっていくことがわかります。そして、そのあそびのなかで、子どもはことばを身につけていくそうです。

「たとえば、『嬉しい』『悲しい』『温かい』『柔らかい』『痛い』など、今までは感情や感覚としてしか知らなかったものを言語化する喜び。それはあそびのなかで覚えていくものです。子どもたちは、ことばを覚えることで自分の世界を広げ、発見していきます。

また、日本語で多く見られる「ドキドキ」「ブーブー」「ビリビリ」などの擬音語は、想像力を鍛えるのに適しているそうです。

「日本には大昔から、現象に対する音の響きを楽しむ文化があります。雨音ひとつとっても『シトシト』『ポツポツ』『ザアザア』『パラパラ』など、さまざまな表現がありますよね。音からイメージを形成し、視覚と聴覚を結びつけることも豊かな経験になるのです。」

確かに、「ザアザア」と「シトシト」では、頭の中に浮かぶ景色も違います。この、日本語ならではの特性を利用したあそびが、今回紹介した「オノマトペ」でした。

思った以上に深みを持つことばあそびですが、村山さんいわく、「ただことばのリズムを楽しみ、新しいことばを覚え、世界が広がっていく感覚を楽しめばいい」そうです。難しい理屈は抜きにして、子どもに向けてたくさんのことばを投げかけましょう。それが、心の成長のたねとなります!

※次回は、「クッキングを通してのあそび」のたねを紹介します。

イラスト:後藤知江 『あそびのたねずかん』より

<出典>

『あそびのたねずかん』(特定非営利活動法人東京学芸大こども未来研究所・著/東京書籍・発行)

『あそびのたねずかん』東京書籍公式サイトへ

お話を聞いたのは…
村山 大樹さん
文教大学大学院教育学研究科修了。幼稚園の非常勤講師を勤めた後、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所の研究員に。株式会社バンダイ、東京学芸大学、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所の共同研究による「それいけ!アンパンマン コドなび!」や「Disney | KIDEA」などのプロジェクトにかかわる。2016年10月からは金沢学院短期大学助教として、遊びや学びに関する研究を続けながら、次の世代の教員・保育者養成に力を注いでいる。特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所 学術フェロー。
特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所

ライター紹介
菊地 貴広
編集プロダクション・しろくま事務所(http://whitebear74.jimdo.com)代表。2014年に出版社から独立し、ファッション、グルメ、ビール、猫、タレント本など幅広く活動。2015年11月に男子が誕生し、息子に夢中。その成長を見るたびにフルフルと感涙する日々。

※2016年12月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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