医学・環境情報学などの有志の医師や専門家が正しい新型コロナウイルスに関する情報などを発信する「みんながヒーロープロジェクト」と「未来へいこーよ」が手を組んで、ママパパがコロナ禍で本当に知りたい正しい情報や知識を「Q&A」で紹介していきます。
今回は、小児科医の工藤紀子先生と小児整形外科の坂本優子先生に、「自宅待機で体力は落ちないのか?」「子供が日光を浴びないときに起こる問題点」「ハンドソープが品切れのときの対処法」に関する質問に答えてもらいました。
Q.自宅待機によって、子供の体力にどのような問題を引き起こしますか

【回答者】工藤先生
「通常、小学生は学校の行き帰りや体育の授業、休み時間にかなり体を動かしています。ですが、自宅待機が2カ月を超えてくると、運動量が大きく減り、体力が落ちていると考えられます」
「家の中でストレッチをしたり、屋外で運動をしたりして、体力を保つために意識して体を動かすことが大切です。屋外で運動すると人目が気になるかもしれませんが、国の指針でも『屋外での散歩や運動』は自粛には当てはまらないとされています。マスクをつけて、人が多いところを避け、走るときは10mくらい距離をあけて運動をしましょう。具体的な運動の例は、以下のサイトが参考になります」
Q.長期間、子供が日光を浴びられないときに起こる問題点はありますか? 対処法も教えてください

【回答者】坂本先生
「外遊びをせず日光に当たらない期間が長引くと、体内のビタミンDが不足します。ビタミンDは、骨を強くしたりウイルスにうち勝つ力を強くしたりするビタミンで、紫外線が皮膚に当たると作られます」
「10代後半の時期は骨の生成にとても重要な時期で、この時期にどれだけ骨の量を増やせるかが、一生の骨の強さに関わります。日光に当たらず、必要なビタミンDをすべて食品から摂ろうとすると、鮭の切り身やイワシ・サンマ1尾ずつを毎日食べ続ける必要があります。自粛期間中であっても、なるべく日光に当たるように心がけましょう」
「また、概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズムや体内時計とも言います)が狂うという問題も指摘されています。朝に日光を浴びて体を動かさないと、だんだん昼夜逆転の生活リズムになり、気持ちが乱れたり、身長が伸びなかったり、肥満になる場合もありまます」
「子供の心や体は毎日成長しています。午前中のうちにベランダや家の前に出て、腕や脚をなるべく出して、日光を浴びるのがおすすめです」
Q.泡状ハンドソープがないときは石鹸で洗ってもいいでしょうか?

【回答者】工藤先生
「石鹸を水で濡らしてしっかり泡立てれば、問題なくコロナウイルスを洗い流すことができます。石鹸の周りにたまった水が不衛生になるので、使った石鹸は水がしっかり切れるよう工夫して置きましょう。泡状ハンドソープも石鹸もない場合は、ボディソープや洗顔フォームで十分代用が可能です」
「手洗いの際には『洗い方』と『頻度』に気をつけて丁寧に行いましょう。とくに洗い忘れをしやすい『指先』と『親指の付け根』と『手首』を忘れずに洗うことが大切です。なかでも指先は、爪の間に汚れや菌がたまりやすいので、爪を短く切っておきましょう。時計をして外出した時には時計を外して洗い、流水でしっかり泡を流しきりましょう」
「手洗いの頻度を上げることも重要です。帰宅時や調理の前後、食事の前だけでなく、咳やくしゃみを手でおさえた後、鼻をほじった後、目を触った後にも洗うようにしましょう。手を洗った後は清潔なタオルでよくふいて乾かします。厚労省の以下のサイトを参考に、手洗いポスターをプリントアウトして自宅の洗面所に貼ったり動画を子供と見たり、家族みんなで楽しく手洗い習慣を身につけましょう」
専門家の先生に子供の心と体の問題についてお伺いしました。ぜひ参考にしてください。
工藤紀子先生(小児科医・みんながヒーロープロジェクト専門家有志メンバー)

小児科専門医・医学博士。順天堂大学医学部卒業、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。日本小児科学会認定小児科専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、こころ新橋保育園嘱託医、東京インターナショナルスクール中目黒キンダーガーデン嘱託医。 夫の仕事でアメリカに渡り子育てを経験する。現在2児の母。都内クリニックにて、年間のべ1万人の子どもを診察しながら子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
公式Instagram
坂本優子先生(小児整形外科・みんながヒーロープロジェクト専門家有志メンバー)

順天堂大学医学部附属練馬病院整形外科准教授。小児整形外科と骨粗鬆症などの骨代謝性疾患を専門として、こども達の骨や関節の病気の治療に携わる。ビタミンD不足の子ども達の増加に伴い、日光浴の大切さを訴えている。2児の母。