不朽の名作から最新作まで、子どもたちの「ココロのスキル」をはぐくむ絵本を紹介するコラム。今回は呪文のような言葉遊びが子どもたちのわくわくを誘う一冊『めっきらもっきら どおんどん』です。
みどころ
ピーリカピリララ ポポリナペーペルト!
ウィンガーディアム レヴィオーサ!
“秘密の呪文”というのは、いつだってめちゃくちゃだ。でも、なぜだろう。めちゃくちゃな言葉の羅列であればあるほど、その呪文が本物で、強いチカラを持つような気がしてくるのは。魔法少女に変身することも、何かを浮遊させることもできないと頭では分かっていても、誰もがきっと一度はそんな“呪文”に夢中になった経験があるのではないだろうか。
『めっきらもっきら どおんどん』は、物語のあちこちに“秘密の呪文”がちりばめられた一冊だ。不思議な「うた」を口ずさんだことをきっかけに主人公のかんたは「へんてこりんな3にんぐみ」に出会い、空を飛んだり、宝物交換をしあったり、月をひっかけるくらいの大きななわとび遊びをしたり、不思議な冒険の旅に出る。
声に出して読んでみるとより一層感じられるのだが、かんたの「うた」は言葉のテンポがとても心地よい。初めての人でもすらすら読めて、歌うように自然とリズムがとれる。「うた」以外にも、3人組の名前やセリフも言葉の響きがおもしろいものばかりなので、ぜひ声に出して読んで、言葉遊びを満喫してほしい作品だ。
私自身も、約20年前にこの作品に夢中になったひとり。まるでジェットコースターのようにに目まぐるしく進むストーリーと、やはり「うた」が大好きだった。呪文のように唱えるあいだ「もしかしたら私も3にんぐみに会えるかも?」とドキドキしたことを覚えている。秘密の呪文から始まる大冒険を本作でぜひ楽しんで。
あらすじ(出版社Webサイトより)
かんたがお宮にある大きな木の根っこの穴から落ちて訪れた国は、何ともへんてこな世界でした。そこの住人“もんもんびゃっこ”や“しっかかもっかか”、“おたからまんちん”とかんたは仲良しになり、時のたつのを忘れて遊び回ります。けれどもすでに夜。遊び疲れてねむった3人のそばで、心細くなったかんたが「おかあさん」と叫ぶと……躍動することばと絵が子どもたちを存分に楽しませてくれるファンタジーの絵本です。
書名:めっきらもっきら どおんどん
作:長谷川 摂子
絵:ふりや なな
出版社: 福音館書店
発行日: 1990年03月15日
ISBN:978-4-8340-1017-6
サイズ:20×27cm
ページ数:32ページ