子どもを本好きに変えるコツ! 読書嫌いになる理由も紹介

多くの学びがある読書ですが、本に興味がない子どもって多いですよね。親としては、本を好きになって、いろんなことを学んでほしいもの。そこで、子どもが読書好きになるために親ができる工夫について、専門家に聞きました。

読書は社会性や多様性も学べる

そもそも読書は、子どもにとってどんなメリットがあるのでしょうか。

良質な本をたくさん読んでいる子どもは、『生きる』ということに前向きな子が多いんです」

こう答えてくれたのは、学習塾「花まる学習会・スクールFC」で講師を務める平沼純さん。

世代を越えて読み継がれているような本は、愛や命の大切さといった普遍的なテーマを扱ったものが多い。たとえば、100年以上も読み継がれている『ピーターラビット』などは、弱肉強食という自然の摂理がテーマです」

良質な本に触れていると、本の内容を元に心の成長が促されるため、投げやりになったり、うまくいかないとすぐに諦めたりといったメンタル的な弱さを克服し、生きることに肯定的になれるようです」

本が子どもの人生観に影響を与える可能性があるのですね。

「さらに、本の中には、努力して成功を勝ち取る人もいれば、寝ているだけで幸運をつかむ人など、様々なキャラクターが登場します。そうしたキャラクターにたくさん触れることで、『生き方っていろいろあるんだな』という視点も自然に得られますし、いろんな人がいることを認められるようにもなっていく。つまり、社会性や多様性を学ぶことにもつながるのです」

また、言葉や知識が豊かになるのはもちろんのこと、生きていく上で強い武器となる「知恵」を得られるのも読書のメリットの一つ。そう考えると、やはり子どもにはたくさん本を読んでほしくなります。

読書習慣を押し付けるのはNG!

このようにたくさんのメリットがある読書ですが、読書嫌いの子どもも少なくありません。子どもはどうして、読書が苦手になるのでしょうか。

生まれつき本が嫌いという子は1人もいないはずです。にもかかわらず本が嫌いになるのは、環境や周りの大人の働きかけによるところが大きいと思います」

「『あなたのためになるから』と、興味のない本を親に押し付けられた経験から、読書が嫌いになってしまう子どもって結構多いんですね。子どもは遊びの中で学ぶ特性を持っているので、強制されてしまうと、読書を遊びの一つとして楽しめなくなってしまうんです」

親はつい、良いと思った本を押し付けてしまいがち。では、子どもに楽しく本を読んでもらうには、どうすればいいのでしょうか。子どもを本好きに変えるコツを教えてもらいました。

【小学校低学年まで】毎晩の読み聞かせで本を身近に

小学校低学年くらいまでの子どもなら、読み聞かせを習慣化すると良いと思います。花まる学習会とスクールFCで、以前、本が好きな子どもにアンケートを取ったところ、『物心がつくまえから親が毎晩読み聞かせをしてくれていた』という声がとても多かった。幼い頃から読み聞かせをしていると、本が身近な存在になり、読書は楽しいことだと自然と思えるのではないでしょうか」

また、ストーリーを理解して楽しむためにも、読み聞かせは有効なのだとか。

小学校低学年くらいまでは、文字から情報を得る力がまだまだ弱い時期。人が話していることや語りかけられたことから学ぶ『声の文化』で生きている時期なので、親が読み聞かせしたのを聞くほうが、1人で黙読したときよりもストーリーの理解度がぐっと増すものです。」

さらに読み聞かせには、親子の絆を深める効果もあるのだとか。

「親子で一緒に楽しみながら、ドキドキ感や感動を共有する時間は、心を通じ合わせる効果があると思います。また、そうした温かい時間を積み重ねることは、子どもの心の安定にもつながります」

読書を通じて親子で育んだ温かい時間の記憶は、やがて子どもが大きくなったときに「僕には帰ってこられる場所がある」という心の安全基地にもなり得るそう。それが心の安定につながるようです。

【小学校高学年】「本を2冊買う」作戦で良書を贈ろう

小学校低学年頃までは、読み聞かせが、本好きになる一つの方法。では、小学校高学年以上の子どもの場合はどうすればよいのでしょうか。

『本を2冊買ってあげる作戦』がおすすめですね。たとえば本屋さんで、漫画でもゲームの攻略本でもいいので、『好きな本を1冊買ってあげる』と子どもに言います。そして、『実はママのおすすめの本が一冊あるんだ。それも買ってあげるね』と、親が読ませたい本も一緒に買ってあげるんです」

「すると、買ってくれたことが単純にうれしいし、『好きな本を買ってくれたから、これも読んでみようかな…』という気持ちになりやすいものです」

ロングセラーは良書の宝庫

では、親が子どもにおすすめする本は、どのようにして選べばいいのでしょうか。

「私が思うに、本には『おやつの本』と『ごはんの本』の2種類があります。『おやつの本』とは、ライトノベルのように文字数が少なく、ストーリーが比較的単純なもの。気楽に読めるので、おやつをつまむように、子どもたちが手に取りやすい本です」

「一方の『ごはんの本』は、時代を越えて読み継がれている息の長い本、つまりロングセラーの本です。普遍的なテーマが多く、たくさんの学びがあるのが特徴。人生のエネルギーになるような本ですね」

本選びに迷ったら、『ごはんの本』優先で選んであげると良いそう。特に絵本は、ロングセラーのものがおすすめだと言います。

「今は年間で、何千冊もの子ども向けの本が出版されていますが、その中でロングセラーになる本は1%にも満たないのです。そう考えると、繰り返し増版されている本は、世代を越えて愛され続ける名作だと言えます」

「こうした名作は、生きる上でエネルギーとなる学びのある良書がほとんど。子どもたちが選ぶ『おやつの本』と一緒に『ごはんの本』を親から贈ることで、時代を越えて受け継がれる名作ならではのおもしろさも子どもたちに知ってもらいたいですね。とはいえ、一方的に読ませたい本を押し付けるのはNG! なるべく子どもが読みやすい長さで興味あるテーマの本を選んであげてくださいね」

ロングセラーの見分け方は、本の最後のページ「奥付」に書かれている初版の年や、第○刷という増版の数字が目安の一つ。素敵な「ごはんの本」を見つけて、子どもと一緒に読書を楽しんでみませんか?

お話を聞いたのは…
平沼 純さん
大学、大学院で教育心理学を研究し、「理論と実践のバランスのとれた融合」、「自分の視点を持って考え、力強く生きていく力の育成」を目指して教育の世界へ。国語を専門とする学習塾で読書・作文指導、教材開発などに5年間ほど従事した後、2012年より花まるグループに入社。現在、スクールFC用賀校で国語授業や公立一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。
「花まる学習会」公式ページ

ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

※2017年7月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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