日本のプログラミング教育を進める「みんなのコード」って?

去る2016年5月5日(木・祝)、大規模な「こどもの日1万人プログラミング」イベントを実施した「一般社団法人みんなのコード(以下みんなのコード)」。代表理事の利根川 裕太さんに、その活動内容や日本国内にプログラミング教育の普及を行う理由についてお話しをいただきました。

「みんなのコード」のミッションは、公教育のプログラミング必修化

 

みんなのコードは「公教育でのプログラミング必修化」というミッションを掲げ、2015年7月に発足した組織。プログラミング体験を通してコンピューターに興味を持ってもらえるよう、日本の将来を担う子ども達に働きかけています。

代表:利根川 裕太さんプロフィール

大学を卒業後、森ビル株式会社への入社と並行して、クラウド型ネット印刷の仕組みを実現したラクスル株式会社の設立準備に参加し、同社の成長に貢献。2015年に一般社団法人みんなのコードを設立し、学校現場でのプログラミング教育の支援、プログラミング教育の啓蒙活動、政策提言活動を行っている。

「みんなのコード」が取り組んでいること

【1】政府へプログラミング教育の重要性を提言

  • 海外での取り組み
  • エンジニア人材の要件
  • 学校現場での取り組み

等を総合して、政府への政策提言を実施。「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」の委員を2016年4月より任命。

【2】学校教育の支援

  • 公立、私立小学校でのプログラミング授業実施の支援
  • 教育指導者への研修会
  • 教員コミュニティの育成
  • 日本の小学校で使用可能な教材の開発
  • 認定指導者制度

学校現場における子どもたちへのプログラミング教育を普及させるため、学校での授業実施サポート、授業を行う教員への指導、プログラミング研修を受けた教員を認定する「認定指導者制度」の実施等に取り組んでいます。

【3】プログラミング教育の普及啓蒙活動

世界的なプログラミング教育普及運動「Hour of Code(以下アワー・オブ・コード)」のCode.org 日本国内事務局を2015年より担当。2016年5月には「Hour of Code Japan こどもの日1万人プログラミング」として、全国から1万2,633人の子ども達が参加したプログラミングイベントを実施。


「みんなのコード」代表 利根川さんがプログラミング教育の普及を進める理由

「みんなのコード」立ち上げの理由

「イギリスやフィンランドでは初等教育の段階からコンピューター教育が必修化されていますし、アメリカでも必修化が推進されている中、日本では自ら教室に通ったりしない限り、コンピューター教育に触れる機会がほとんどないのが現状です。

日本の将来を担う子ども達にも、世界と同じようにコンピューター教育を受けてほしいという思いから「みんなのコード」の立ち上げを決心しました。」

海外と比較した、日本のプログラミング教育の現状

「(主にアメリカとの比較で)「Code.org」 という世界的にプログラミング教育の普及を進めている団体があるのですが、その団体がアメリカにある主要IT企業の支援を受けて政府・学校・国民に働きかけてコンピューター教育に関する制度をどんどん変えていっている様子をみたのが約1年前(2015年)です。

当時の日本ではそのような動きの気配が全く見えず…このままでは日本のコンピューター教育は遅れをとっていく一方だと感じました。」

「アワー・オブ・コード」を「みんなのコード」でも推進する理由

「私が初めて「アワー・オブ・コード」を知ったのは、2014年10月、当時いた会社で「非エンジニア向けにプログラミングのエッセンスを1時間位で教えてほしい」と依頼を受けたことがきっかけでした。たまたま知った「アワー・オブ・コード」の教材を使用してみたんですが、非エンジニアでもプログラミングに楽しく取り組んでいく様子がとても印象に残っています。

その後同年12月に開催した小学生向けのプログラミング講座でも「アワー・オブ・コード」を使用してみたのですが、そこでもとても反応が良くて!

大人でも小学生でも同じようにプログラミングにのめり込んでいく姿に感動し、これは日本で広める価値があると思いました。

プログラミング始めるのに「適齢期」は考えなくてOK!

プログラミングを始めるにあたって声を大にしてお伝えしたいのは、「興味を持った年齢が適齢期」ということです。小学生プログラマーとして世間から注目を受けている澁谷君がプログラミングを始めたのは4歳。一方で、お孫さんが居る年齢の方が最近プログラミングを始めたという話も聞きます。因みに私がプログラミングを始めたのは、25歳でした。」

子どもがプログラミングに興味を抱くには?

「ゲーム、アニメ、電車、飛行機、宇宙、音楽、芸術などのあらゆる領域でプログラミングは関連づいているので、今お子さんが興味を持っていることからプログラミングに触れてみるのも良いかもしれません。

興味を持ってもらうためには、まずは「アワー・オブ・コード」を始めとしたプログラミングのイベントに誘ってみるのも良いんじゃないかなと思います。」

早い年齢からプログラミングを学ぶメリットはある

「私がプログラミングを学び始めたのは25歳の時で、会社を立ち上げるという必要に駆られたことがきっかけでした。そこから5年くらいがむしゃらにやったんですが…30歳になった時に周りのエンジニアを見渡してみると、圧倒的に書ける人は小中学生のころから始めている人ばかりだったんです。その時に、早い年齢からプログラミングを始める活動の意義を感じました。」

「みんなのコード」8月に大規模プログラミングイベント開催予定!

「みんなのコード」の代表理事として、今後もプログラミング教育の普及活動を進めていくと話す利根川さん。そんな「みんなのコード」の次回の大規模イベントは8月を予定。そしてその舞台はなんと全国各地の小学校。

子ども達の教育現場にプログラミング普及活動がどのように根を下ろしていくのかが楽しみです。『いこーよ』ではそんな「みんなのコード」の活動を今後も応援していきます!

こどもの日に開催された1万人のプログラミングイベントの様子はこちら!

「こどもの日のアワー・オブ・コード」のレポートを見る

「みんなのコード」が進めている「アワー・オブ・コード」の詳細はこちら!

「アワー・オブ・コード」について詳しく知る

ライター紹介
島袋 芙貴乃
沖縄生まれ、沖縄育ち。東京生活9年目。編集畑で図太く育ち、2014年11月から「いこーよ」にジョイン。心に愛と太陽を。海山川、星、月、朝日、夕日、虹etc.自然に関わること、きゅんっとすることが好き。お米派。幼稚園教諭一種免許保有。

※2016年5月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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