想像力かきたてる“文字のない”絵本|「アンジュール」

不朽の名作から最新作まで、子どもたちの「ココロのスキル」をはぐくむ絵本を紹介するコラム。今回は1986年に生まれた“文字のない”絵本『アンジュール』です。

みどころ

物語は主人公の犬が飼い主の車から投げ捨てられる場面から始まります。鳴きながら必死で車を追いかけますが、あっという間に見えなくなってしまう。戸惑いながら歩き出したところで、行きかう車同士の事故を引き起こしてしまったり、街では野良犬だと思われて邪険に扱われたり。ひとりぼっちになった犬が過ごす、切なくも温かい“ある一日”を描いています。

この作品がユニークなのは、文字がないところ。あるのは、鉛筆で描かれた60枚近いモノクロの絵だけです。一見したところシンプルな作品ですが、読み手の想像力でいろんな見方ができる楽しさがつまっています。

例えば、犬の表情の豊かさ。鉛筆一本で、戸惑いや悲しみ、驚き、喜びなど、犬のいろんな感情を描き分けている作者の表現力には驚かされます。

私も犬を飼っていたことがあるのですが、犬って本当に表情があるんですよね。笑っていたり悲しそうだったり、見ればすぐに分かります。以前飼っていたのがシェルティという犬種で、ちょうど絵本にでてくる犬と同じように白黒まじった模様だったので姿が重なったのかもしれません。

個人的なお気に入りは、途方に暮れていたかと思いきやケロッとした顔で看板のようなものに用を足す場面。うちの犬も、怒っていたかと思えばケロッとした顔でボール遊びをしていたなと思い出し、とても愛おしい気持ちになりました。切ないストーリーの中でもこうしたクスっとする描写を差し込む、作者のいたずらっぽさも素敵です。

シンプルだからこそ、一人一人の想像力で柔軟に楽しむことができる。刊行から30年以上経った今も、読者に新鮮な気づきを与えてくれる作品です。

あらすじ(出版社Webサイトより)

ある日、犬は、野の道を疾走する車の窓から投げすてられる。にわか野良になった犬のその日の長いさすらいをたどって描く。目を吸いよせて離さない50を超える犬の姿態と表情はすぐれたデッサンにより酷いばかりの迫真である。あるいはひとりに秘めておきたい絵と思い、誰かに見せずにはいられなくなる作品でもある。

書名:アンジュール
作者:ガブリエル・バンサン
出版社:BL出版
発行日:1986 年 5 月
ISBN:9784892389573
サイズ:19×26cm
ページ数:64ページ

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