医学・環境情報学などの有志の医師や専門家が正しい新型コロナウイルスに関する情報などを発信する「みんながヒーロープロジェクト」と「未来へいこーよ」が手を組んで、ママパパがコロナ禍で本当に知りたい正しい情報や知識を「Q&A」で紹介していきます。
今回は、小児科医の工藤紀子先生に、「2歳以下の子供にマスクは必要がないの?」という質問に答えてもらいました。
Q.日本小児科医会が「2歳以下のマスクは不要」としていますが、どうしてでしょうか?
【回答者】工藤先生

「2020年5月25日に日本小児科医会が『2歳未満の子供にマスクは不要、むしろ危険』という声明を発表しました」
「マスク不要の理由の一つに、2歳以下の子供は自分の言葉で体の不調を大人に伝えることが難しいことがあります。小児科医も診察室に入ってきたときの表情や顔色の印象をとても大切にしているほどです。そのようなことを考えると、まだ会話ができない2歳以下の子供が、顔の半分以上をマスクで覆うことは避けた方が良いでしょう」
「また、顔にぴったりと付けるサージカルマスクは、2歳以下の子供が装着するのは難しく、呼吸が苦しくなることがあります。この年齢の子供がつけるマスクのほとんどは布マスクですが、すぐに汚れたり、マスクの表面を手でベタベタ触ったりするほか、よだれや吐き出したものでたもので窒息する可能性もあります」

「さらに、これから夏が近づき、気温が高くなるとマスクの内側に熱がこもりやすくなる点も注意が必要です。マスクで加湿されて、喉の渇きを感じにくくなると、2歳以下の子供は水分をとりたがらなくなる可能性があり、熱中症のリスクが高まります」
「マスクは新型コロナウイルスの予防には当然なりますが、統計的に見ても、2歳以下の感染は非常に少なく、小児科医会でも保育園や幼稚園でのクラスラー(集団)感染はほとんどないと発表しています」
「これらのことを踏まえて、『2歳以下の子供がマスクをつけることは不要で、むしろ危険』との声明が発表されました。日本だけでなく、米国疾病予防管理センター(CDC)やアメリカ小児科学会APPでも、同様の発表をしています」
予防になるマスクも、年齢によっては別の危険や問題の可能性があるということですね。ぜひ注意して使いたいですね。

工藤紀子先生
小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。日本小児科学会認定小児科専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/こころ新橋保育園嘱託医/東京インターナショナルスクール中目黒キンダーガーデン嘱託医。 夫の仕事でアメリカに渡り子育てを経験する。現在2児の母。都内クリニックにて、年間のべ1万人の子どもを診察しながら子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
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出版社、教材編集を経て2013年に「いこーよ」へ。小学生の女の子2人のママ。大学院、モンテッソーリ教育教師、華道、ダイビング資格有。ライフテーマは幼児教育から小学校、中学校、高校、大学、社会人へとどのように学びをつなげていくか。特に幼児教育から中学受験への連携に日々奮闘中。