厳しい冬の寒さからぽかぽかと暖かくなり、お出かけが楽しくなるこの季節。あちらこちらで花が咲きほこり、新緑は陽の光をたっぷり浴びてぴかぴか。でも、おうちではどんな本を読んだらいいのかな? 【季節の絵本連載・第2回】として、「春に読みたい絵本」を、認定司書の資格を持つ千代田図書館の大塚さんに紹介していただきます。
蝶々や花など、春ならではのテーマでわくわく感を高めて
春の匂いを全身で感じた後は、おうちで読む絵本も春を感じるものをセレクトしてみては。あちらこちらに咲き誇るお花やその周りを飛ぶ蝶々など、「『子どもが興味を示したもの』を鋭く察知して、それをテーマにした絵本を選ぶと良いです」と大塚さん。
戸外での活動が多くなるこの時期だからこそ、絵本を通して子どもの感性をさらに高めることができるのだといいます。子どもたちが発見した春の兆しをテーマにした絵本で、わくわくする気持ちを刺激してあげましょう。
3歳未満の子どもにおすすめの絵本
『ちょうちょう ひらひら』
(文:まど・みちお/絵:西巻 茅子/出版社:こぐま社/900円+税 /発行年月:2008年2月)
ちょうちょうがうさちゃんやシカさんにとまり、みんなが「うふふ」「あはは」と優しく笑う様がなんとも明るく楽しい絵本。ひらひらと飛んで、みんなに笑い声を運ぶちょうちょう、次は誰のところにとまるかな?
<おすすめポイント>
優しい絵と色使い、そしてリズミカルな笑い声で、春の訪れを感覚的に楽しめる一冊です。春を象徴するちょうちょうが次々に色々な動物にとまり、みんなが幸せそうに笑うことで、春は嬉しい、楽しい季節なんだと自然に感じられるはずです。
3歳〜4歳におすすめの絵本
『ゆうこのキャベツぼうし』
(作・絵:やまわきゆりこ/出版社:福音館書店/900円+税/発行年月:2008年05月)
ゆうこがもらったキャベツを一枚はがして頭に乗せると、なんとキャベツぼうしになりました。出会った動物にも一枚ずつあげたら、みんな喜んでかぶっておそろいになりました。ぼうしをかぶって「おおかみおに(おにごっこ)」をしていると、本物のおおかみが現れて…?
<おすすめポイント>
キャベツをモチーフにした物語なので、身近で旬な食べ物(春キャベツ)から春をイメージできる絵本です。キャベツをぼうしにするという楽しさと、「ぐりとぐら」シリーズでおなじみのほっこりした絵が、子供の心をしっかりキャッチしてくれること請け合い! 悪役になりがちなおおかみの意外なキャラクターも必見です。
『たろうのひっこし』
(作:村山 桂子/絵:堀内 誠一/出版社:福音館書店/800円+税/発行年月:1985年2月)
自分の部屋が欲しいたろうに、お母さんは古いじゅうたんを渡して「このじゅうたんを広げたところがあなたのお部屋よ」と言います。猫の「みーや」や色々な動物たちがお部屋にやってきて、その度に動物たちのリクエストにこたえてすいすいとお部屋は移動していきます。最後はまるでお花見のような、楽しそうなお部屋の出来上がり!
<おすすめポイント>
春の風物詩である「引っ越し」を、じゅうたん一つでごっこ遊びに変える豊かな子供の発想力が見どころ。桜の木の下に敷いたじゅうたんが自分のお部屋になったりと、絵からも春の匂いがふんだんに伝わってきます。一つの道具から遊びを発展させることができる一冊です。
『はなをくんくん』
(文:ルース・クラウス/絵:マーク・シーモント/訳:木島 始/出版社:福音館書店/本体価格:1,100円+税/発行年月:1967年3月)
雪に包まれ暗く静かな森の中で、動物たちが突然次々と冬眠から覚め始めます。一匹、また一匹と鼻をくんくんさせながら、何かに向かって走り出します。動物たちがたどり着いた先にあったものは…?
<おすすめポイント>
あえて色を使わずに冬を描写することで、春を待ち焦がれる様子が丁寧に描かれています。春の気配を感じてたくさんの動物たちが走り出す姿は躍動感にあふれ、その先に待つものに子どもたちはワクワクする気持ちをかきたてられることでしょう。シンプルなストーリーですが、その分モノクロの絵が引き立つ絵本です。
4歳〜小学校低学年におすすめの絵本
『たんぽぽ』
(作・絵:平山 和子/出版社:福音館書店/900円+税/発行年月:1976年4月)
たんぽぽの生態を、写実的な絵で子どもにもわかりやすく綴った科学絵本。誰でも知っている花ながら、「根っこを切って植えたらそこから芽を出す」「黄色だけではなく、白いタンポポもある」など、知られざる事実をたくさん紹介。
<おすすめポイント>
春になるとよく見かけるたんぽぽに、「そうだったんだ!」と新しい発見の喜びを味わえる一冊。道ばたに咲いていてすぐ観察できる身近な花だけに、子どもの探求心を絶妙にくすぐります。特に絵本を縦に使って描かれた実寸大のたんぽぽの根は必見で、子どもだけでなく親も興味を強く引き付けられることでしょう。
まとめ
「春」を様々な視点から感じられる絵本を紹介しました。ここで取り上げたものに限らず、子供が実際に体感した春の兆しを、絵本を介してさらに掘り下げることができたら、親子の会話もさらに広がるのではないでしょうか。
お話を聞いたのは…
千代田区立千代田図書館
平日は夜10時まで開館し、街案内も行うコンシェルジュサービスや電子書籍の貸出を行う千代田Web図書館、子ども向けから大人向けまで様々なイベントを開催するなど、画期的なサービスを実施。
住所:千代田区九段南1-2-1千代田区役所9・10F 電話番号:03-5211-4289・4290
月~金 10:00~22:00/土 10:00~19:00 日・祝・12月29日~12月31日 10:00~17:00 ※夏期は9時開館となる期間あり。
休館日:第4日曜日、1月1日~1月3日、特別整理期間
ライター紹介
吉田飛鳥
子どもを持ってからというもの、これまで生きてきた世界が色んな意味で全く別のものに見える、ライター兼一男一女の母。旅行が大好きな夫婦のもとに産まれてきた子どもたちは、2人とも1歳前から何度も飛行機を経験。子どもと一緒のおでかけ時に感じるリアルな声をお届けします。
※2016年4月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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